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TALK ABOUT THE WORLD フランス編 コロナと共に年越し

中島さおり2021.01.06

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2020年から2021年にかけた夜が開けた。夜の8時以降は外出禁止という条件下で、フランスの人々は、あるいは家族、あるいは友だちと数を限った少人数の集まりを持ち、あるいは禁を破って大勢のパーティーに出かけて警察に職務質問され、あるいは一人で早々に寝てしまった。

どうしても友だちと年越しのパーティーをすると言う子どもが、感染が危ないから出かけるなと言う親と大げんかして出て行ったり、少人数だと思って出かけて行った友人の家に続々と知らない人が集まって来て、こんなはずではなかったと冷や汗を書いたり、がらんとした街の壁の内側で悲喜交々のドラマがあっただろう。
この夜を誰かと過ごすために、人々は事前の新型コロナ感染診断テストに並んだ。今では1日30万件のPCRテスト、15万件の抗原テストが無料で可能になっている。PCR検査ができないと嘆いていた第一次外出禁止令の頃とはなんという変わり様だ。

そしてワクチンもやって来る。ドイツのバイオテクノロジー企業バイオンテック(BioNTech)がアメリカの製薬企業ファイザー(Pfizer)と共同開発したワクチンが12月27日に解禁になった。
ところが、3日後の30日、ドイツでは13万人が接種を受けたのに対し、フランスではわずか332人しか接種されていなかった!
政府は、まず1月に危険のある老人医療施設の入居者100万人、次いで2、3月に自宅生活者の75歳以上と65歳以上の高齢者1400万人および50歳以上の医療関係者、その他は2021年中に、接種するのは一般医と予定していたが、その方針に抗議の声が沸き起こり、これを受けて政府は、50歳以上の医療関係者は1月4日の月曜日から優先的にすぐに予防接種を受けられるように変更した。オリヴィエ・ヴェラン保健相は、1月中に予防接種が受けられるセンターを街中に設け、初めは75歳以上、ついで65歳以上というふうに受け入れを図るとツイッターで発表した。ちなみにワクチン接種を12月8日に始めた英国では12月30日現在で94万4000人が予防接種をすませている。

しかし、フランスの予防接種の遅れは、フランス人たちのワクチンに対する消極的な態度にも起因しているだろう。受ける人、一人ひとりの了承を得ることにこだわったのが遅れの理由の一つに挙げられているが、フランスでは自分もワクチンを接種したいという人が全体の40%で、過半数以上が受けたいと答えている他の国に大きく水を開けられている。私のまわりでも、ドイツにいる従姉妹は、高齢の夫が年内に予防接種を受けられたことを「よいクリスマスの贈り物」と手放しで喜んでいるのに、私のフランス人の夫は「どうせ効かない。副作用が恐い。俺は受けない」と真っ向から反対だ。高齢者から順に接種するのは、新型コロナで死亡するリスクが高いからという理由だけれど、ワクチンに反対の立場の人は、「高齢者を実験台にする」とうがった見方をする。大統領や首相なども、自分たちは優先される年齢でないからと、ただちに接種は受けない。それは高齢者を優先する立派な態度とも思えるけれど、どこかワクチンを信用しない態度に見えてしまわないこともない。

しかしPCR検査も初期はずいぶん遅れを取ったフランスなのだ。今ではもっとも検査キャパシティの大きい国の一つになっているのだから、ワクチンに関してもこれから数カ月で大きく広がる可能性もあるのかもしれない。

政府はワクチン接種の日程を早めに修正し、老人施設入居者に続いて、自宅生活の高齢者は1月から春までに、65歳未満の人々も夏前に接種をすると発表した。夏までに2700万人の接種が目標だそうだ。

1月7日に期待されていた劇場など文化施設の解放は、先延ばしにされた。1月20日に開くはずだったレストランなども再開は難しいと予想されるが、3回目の外出禁止令は、出るぞ出るぞとささやかれながら、1月中は出ないようだ。東部を中心に15県で、夜間外出禁止が20時から18時に引き上げられただけだ。

ワクチンの拡がりと効果がどうあらわれるのかが注目される1月になるだろう。

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中島さおり

中島さおり(なかじま・さおり)

エッセイスト・翻訳家
パリ第三大学比較文学科博士準備課程修了
パリ近郊在住 フランス人の夫と子ども二人
著書 『パリの女は産んでいる』(ポプラ社)『パリママの24時間』(集英社)『なぜフランスでは子どもが増えるのか』(講談社現代新書)
訳書 『ナタリー』ダヴィド・フェンキノス(早川書房)、『郊外少年マリク』マブルーク・ラシュディ(集英社)『私の欲しいものリスト』グレゴワール・ドラクール(早川書房)など
最近の趣味 ピアノ(子どものころ習ったピアノを三年前に再開。私立のコンセルヴァトワールで真面目にレッスンを受けている。)
PHOTO:Manabu Matsunaga

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