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TALK ABOUT THIS WORLD ドイツ編 路面を占拠するテーブルと新しい生活

中沢あき2021.06.21

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今年の春は寒かった。いつもなら4月に入ると晴天が続くようになり、気温も一気に20度を超え、爽やかな初夏がやってくる。ところが今年は4月には何十年ぶりという寒気で雪が降り、5月の末頃まで薄手のセーターやジャケットを着込むような寒さがずーっと続いて「いったい夏はいつやってくるのかしら?」が挨拶がわりになっていたくらいだった。やっとこさ、6月に入って気温が上がり始めると同時に、ドイツ国内の、10万人に対しての新型コロナウイルス感染者指数がぐんぐん下がり始めた。4月には200に近かった数値が5月に入って100を切り、70まで下がって停滞していたのが、ズーン、ズーンと下がっていって、今は15を下回るようになった。現在では成人の半数近くが第一回の接種を終え、2割以上がワクチン接種を完了している効果もあるだろうし、天候が良くなって皆が屋外に出たり部屋の換気が促されたこともあるだろう。もっともワクチンのなかった昨年の夏だって、感染者数はどこの国でも下がっていたので、本当にワクチン接種の効果だけによるものなのかはまだ明言できないし、ワクチン接種が進んでいる英国では新たな変異株の感染が拡大しているし、秋になったら次の波が来るとも言われている。とはいえ、現時点で感染者数が減ってくれば、目指すはできるだけ元の生活に、で緩和開始だ!

その緩和、段階的にということではあるが、受け取り予約やオンライン注文だけ受け付けていた生活必需品以外の各種店舗が再開した。そして、過去半年内にワクチン既接種か罹患して回復した証明がある、または事前48時間内の検査陰性結果の提示で入店許可という条件下で、カフェやレストランが再開した。こうして昨年11月からのロックダウンで静かだった町に人々と喧騒がやっと戻ってきた。

とはいえ、まだ接触人数制限やマスク着用義務などが完全に解除になったわけではないので、店内に客を満杯に入れるわけにはいかない。そこで現れたのがこれ。カフェやレストランが店内からテーブルと椅子を表に出し、道路に並べ始めたのだ。もともと夏場はこうして店の前の通りにテーブル席やパラソルが設置されてテラス席にする店はあったのだが、その数が増えた。以前は駐車スペースだったところにもテーブルと椅子を並べたり、建物の壁際などにも小さなテーブルを並べて、とにかく屋外の席数を増やそうとしている。正直なところ、歩行者の邪魔にはなるし、歩道のルールには抵触しているのではないかと思うが、皆大目に見ている。そこに座って対面で友人家族と座ってにこやかに食事をする人々は、マスクを外し(たまに顎にかけたままの人もいるが)、おしゃべりを楽しんでいるのだが、そうした店の周りには、コロナ簡易検査所がここそこに立ち並ぶようになった。カフェやホテルのロビー、携帯電話ショップの一角にと簡易検査ルームができて、ここで皆さっと検査を受けて、店に行く、というわけだ。これまたシュールだなあ。まさに新しい生活スタイルだわ。

映画館や美術館などの文化施設も、カフェなどと同じ入館条件とマスク着用ルールで再開した。そう、マスクの着用義務も段階的に解除するか政府と専門家の間で議論されているが、今のところはまだ義務である。なのに、あれ? 公園では子どもはしなくても保護者の着用義務はあったはず、だが、今ではちらほら見かける程度。先日は歯医者の待合室で、向かいに座っていた白髪の男性の顔を真っ直ぐに見たら、なぜかサングラスはかけているのにマスクがなくて、混乱した。

歯医者って一応病院のくくりだよね? いや、美容院とかでも、というかスーパーでもまだマスクしているよね。この人は明らかに高齢だからもうワクチンは接種済みなのかも。でもマスクはしなくてもいいのか?(正解は「ワクチン既接種でもマスクは着用する」です……。)

極め付けは、一年遅れで開催されてただいま大盛況のサッカー欧州カップである。たまたま見ていたテレビの試合中継がブカレストのスタジアムでの試合だったのだが、観客席にはズレたマスクを顎にぶら下げている人が一人いただけ、あとは皆マスクなしだった。まじか!? もうルーマニアってマスクしなくてもいいんだ? ちなみにこのサッカーのイベントの後、感染者数がまた上がるだろうという識者たちからの警告はもちろんある。うーむ。

盛り上がっているのはサッカーだけじゃない。とある晴天の日曜日の午後。子どもにせがまれて大きな公園へ行ったのだが、そこの芝生の上はピクニックをする人たちでイモ洗い状態であった。一応、友人同士家族同士で集まっているのだろうから、接触制限ルール内の人数のグループもいるのかもしれないが、隣のグループとの距離は皆無である。暑い日差しの中で、マスクなんて当然してない。あまりの人混みに踵を返した我が家であったが、自転車を漕ぎながら考えてしまった。ワクチン接種済みの人も増えてるし、と肯定してみようとしたが、いやいや、1回接種の人は現時点で5割弱である。見たところ若者が多い中で、どれだけの人がワクチン接種を終えているのか……。というか、こんな大きな集まりってもうやってもいいんだっけ? ルールが何度もコロコロと変わるのでいちいち追わなくなった上に、人々もそれをきっちりと守ることがなくなってきたので、今の規制がどうなっているのかがもうよくわからない。

冷静になって思い返せば、去年の夏も感染者数は減って規制が緩和され、こんな感じだった。けれど、やっと戻ってきたこの以前の風景が非現実的に見えるのは、昨年末から続いた長ーいロックダウンの後遺症だろうか? なにせ天気同様、人々の様子の変わりっぷりが突然過ぎて困惑するというか、心躍るはずなのに胸中複雑、といった気分なのだ。感染の可能性はまだあるのだが、つい数週間前まであった警戒感や緊張感が一気に消えたはじけっぷり、ちょっと大丈夫かしら?

とはいえ、検査が気軽に受けられて、友人に会ったり外食に行けるようになったというのは素直に嬉しい変化である。これが定着すれば、もしまた感染者数がある程度上がったとしても、すべてを閉鎖する必要はなくなるかもしれない。まさに新しいウィズコロナの生活だなあ。

人が動けばウイルスも動く。先のことはわからないというのは、昨年からの経験で多くの人が思っているだろう。本音は皆、自由に動けるうちに動いておけ、と思ってるのかもしれない。

写真1:
©︎ Aki Nakazawa
このストリートテラス席は以前から夏場には設置されていたもの。こうしたテラス席が今年は増えています。入店条件があるとはいえ、店内にも人が座れるようになり、やっと以前の風景が少しずつ戻ってきていますが、やはり完全に元通りの営業とはまだいかないようです。

写真2〜4:
©︎ Aki Nakazawa
この壁際にピタリと並べられたテーブル席や、本来は駐車スペースであるところに並べられたテーブル席。歩行者の邪魔にはなるのだけど、大目に見てあげたい苦肉の策ですね。でもこのごちゃごちゃとした感じ、暑い国々の路面店を思い起こして、ちょっと異国を旅している気分。これはこれでちょっと楽しいです。なんだかんだ言っても、皆がうれしそうにしているのを見るのはいいですね。と思っていた矢先、気をつけて生活をしていた友人夫婦がコロナに感染してしまったという知らせ。幸い軽症のようですが、感染者数が減ってきたときに彼らが感染するなんてと、やっぱり気を緩めるのはまだ早いよな、と思った次第です。

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中沢あき

中沢あき(なかざわ・あき)

映像作家、キュレーターとして様々な映像関連の施設やイベントに携わる。2005年より在独。以降、ドイツ及び欧州の映画祭のアドバイザーやコーディネートなどを担当。また自らの作品制作や展示も行っている。その他、ドイツの日常生活や文化の紹介や執筆、翻訳なども手がけている。 

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