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スクールフェミ 日本の「女性の性的自立」に欠かせないラブピースクラブ〜創立25周年への思い〜

深井恵2021.09.14

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ラブピースクラブ25周年、おめでとうございます。1996年創立ということは、筆者の新採用の年と同じ。ラブピースクラブと共に歩んだ教員生活です。先日行われた相川さんと北原さんとのトークショーを拝見しながら、これまでを振り返っていました。
長年「スクールフェミ」を読んでくださっている読者の方はご存じのことかと思われますが、このコラムが始まる20年以上前の事から、振り返ってみたいと思います。

まだ北原さんと出会う前、正式に採用される前の1994年。臨時講師として高校で働いていた職場の組合女性部の方から学習会に誘われて、初めて「慰安婦」の方の講演を聞く機会をいただきました。その方の体験談を聞き、加害の歴史をほとんど知らなかったそれまでの自分の無知が恥ずかしく、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
その学習会は、戦争と性暴力がつながっていると知った最初の出来事となり、女性の人権を考える上で、今でも欠かせない視点となっています。
北原さんが韓国のフェミニストの方々とつながり、ラブピースクラブが出版部門を立ち上げて書籍を通じて「慰安婦」の問題について情報発信されるようになって、「さすが北原さん!」と敬服することしきりです。コロナ禍でなかなかラブピースクラブには行けなくなっていますが、九州から応援しています。

ラブピースクラブ創立の1996年、筆者は新採用で初めてクラス担任をしていた年でした。当時、生徒の名簿は「男女別男子優先名簿」を用いる学校が大半を占めていました。その名簿が嫌いだったので、教職員組合に入っていないにもかかわらず、自分1人で、自分のクラスだけ、性別で分けない「男女混合名簿」を実践していました。クラスの生徒には「なぜ、男女別名簿にしないのか」を詳しく説明し、納得してもらっていました。
2年後の98年に組合加入。その職場で組織的な協力を得て職員会議で議論を重ねながら、学校全体で「性別で分けない名簿」の導入に踏み切ることができたのが、2000年でした。その年に異動。異動した先の学校が、またしても「男女別男子優先名簿」の学校でした。
また1からの実践開始。同じ組合員男性から、「性別で分けない名簿」導入反対の声もあり、説得するのにかなりの労力を使いました。それでも前任校と同様、「性別で分けない名簿」の導入に無事こぎつけることができました。

時を同じくして、「ジェンダーフリー・バッシング」が吹き荒れていました。小学校に「こころのノート」が導入されたのもこの頃でした。日教組女性部から動きが始まった「性別で分けない名簿」も、ジェンダーフリー・バッシングの煽りを受けて、管理職の鶴の一声で、元の男女別名簿に戻ったという話が他県から聞かれるようになりました。
北原さんも、産経新聞などからバッシングを受けていて、かなりきつい状況だったと記憶しています。そのきつい状況の中、無理をお願いして学習会の講師にお招きしたのが、北原さんとの最初の出会いです。

当時、組合女性部の常任委員をしていて、学習会の講師に誰かいい人はいないかと探していたところ、1番の候補に上がったのが北原さんでした。バッシングは、相手から見たら「脅威を感じる存在」だからこその行動でしょう。女性部も、北原さんと同じくバッシングを受ける同志として、共に戦う決意でした。
学習会で北原さんは、ジェンダーフリーバッシングの問題だけでなく、実際にお知り合い(姪っ子さん?)が持っていた「こころのノート」を読んで、その恐ろしさと問題点についても触れられました。
20年ほど前に「こころのノート」だったものが、今では教科書のある「道徳」になってしまっていることに危機感を抱いてしまいます。
北原さんの講演が終わった日の午後、組合女性部は引き続き「権利の学習会」を開催していました。帰りの飛行機まで時間があるということで、北原さんは午後の学習会にも参加してくださいました。

産休も育休も満足に取れなかった時代から、長年にわたる県との交渉の積み重ねで、権利が獲得できるようになったこと。権利は使わなければなくなってしまうこと。「生理休暇」の取得もしっかりと…などといった内容でした。
北原さんは興味深そうに参加していて、「ラブピは女性だけで少人数で仕事しているから『生理休暇』を全員が取ると困るかも・・・」と話していたことが印象に残っています。雇用者側と労働者側の立場の違いを感じた一コマでした。

その学習会が終わって、北原さんから「ラブピースクラブのホームページでコラムを書かない?」と打診されました。書けるかどうか自信はなかったものの、この九州の一教員がジェンダーについて全国区で情報発信させてもらえるなんてありがたいと、お引き受けして今日に至ります。タイトル「スクール・フェミ」の名付け親は北原さんです。
組合女性部では、「女性の身体的自立、経済的自立、社会的自立、精神的自立、性的自立」などを掲げて様々な取り組みをしています。これらは、北原さんがこれまで取り組まれてきたことと、共通点があると思っています。

1つ目は、女性の経済的自立。女性を雇用し、経済的自立ができる職場としてのラブピースクラブ。セクシュアル・ハラスメントのない、女性が働きやすい職場として、就職を希望する女性が多いのではないかと思います。
社会的自立や精神的自立につながる取り組みは、#MeToo運動や伊藤詩織さんに寄り添う活動です。女性たちを孤立させずに、つながる・つなげる場としてのラブピースクラブは、女性たちにとって心強い存在となっています。
そして、性的自立においては、日本の「女性の性的自立史上」最も大きな役割を果たしているのがラブピースクラブではないでしょうか。女性が自らの性に向き合い、性欲を肯定し、声を豊かに楽しんで良いという積極的なメッセージを発信し続ける存在は、ラブピースクラブをおいて他にありません。

ラブピースクラブがこれからも発展しながら、ずっとずっと続いていくことを願ってやみません。

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