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第二次安倍内閣の女性閣僚たち…
 
 前々回、前回と、男性の履いた下駄を修正する仕組み=女性を増員するクオータの意義に若干言及してみた。前回には橋本聖子議員が高橋大輔選手に執拗にキスを求めていたことが報道されて脱力ではあったが、女性の中も多様であり、だからこそ一定割合以上いないと、その多様性を確保できない、前進前進!と気合を入れた。


 しかし、第二次安倍内閣の女性閣僚たちを知った今、空元気を出すことももはや無理…。「稲田朋美政調会長も含めたら6名が女性、文句なしに前進だろ、喜べ」?ええとどこから説明してよいのか…。
まず、有村治子女性活躍担当相については、栗林デバ子さんが既に書いてくれているこちらをご覧ください。男女共同参画反対、選択的夫婦別姓反対、人工妊娠中絶反対、3歳児神話…。女性の「活躍」を阻害しようとしているとしか思えない。2009年5月、中絶に反対する「天使のほほえみ」主催の講演会にて、「国政の決断で迷いのある時など、一人で靖國神社にお詣りして、英霊にお尋ねする。国難の時に生命を捧げられた英霊が、「最後に守るべき価値観とは何か」を教えてくださるのだと思う」と発言したことについては、さすがに「いや、英霊より国民に訊けよ」などとツッコむツイートが多数現れた。
有村大臣にはノーマークだったが、山谷えり子拉致問題担当相については以前よりウオッチャーである。山谷大臣も、「天使のほほえみ」主催の講演に登壇している。中絶も「左傾化」のあらわれ!?女性たちの今までの苦労を全く顧みない、論証不要のレッテル貼りにはおそれいる。まあこれだけで顎を外すのは甘い。山谷大臣は、性教育批判を強力に展開し、教育現場を委縮させる等、ジェンダーや性教育バッシングでは「高名」な存在であるのだから。
高市早苗総務相は、選択的夫婦別姓反対派で知られるが、山谷大臣、有村大臣、稲田政調会長も強硬な反対派である。高市大臣、山谷大臣など、旧姓を通称使用しているというのに、なぜ声高に反対を唱えるのだろう。相当屈折している。
選択的夫婦別姓の導入に賛成してきた松島法務大臣には唯一期待をかけたが、民法改正については言及せず、「旧姓では銀行口座を開設できないなど、女性が働く中で不便を感じている人が増える」「現実的な運用について議論したい」というにとどまった(9月5日の記者会見)。うーむ。夫婦同姓のみしか許されない現状は、不便というだけではなく、結婚により氏の変更を強制されない自由や、圧倒的に夫の氏に妻が改姓しているという現状に照らして平等とは到底いえないことが問題なのだが(厚生労働省人口動態統計によると、2012年に日本人同士で結婚した668,869組のうち、643,236組が夫の氏を夫婦の氏にした。つまり、妻が改姓したのが96.17%にも及ぶ)。

小渕経産相は、早速、9月21日、NHKの番組にて、「資源の乏しい日本はエネルギーについて良いバランスを取っていくことが大事。原子力を持たない選択をするということはなかなか難しい判断ではないか」と原発を再稼働させていく政府の判断を強調。原発を稼働させないで、1年以上が経過しているというのに(9月15日で祝1年)。それにしても何か既視感がある。そうそう、特定秘密保護法の法案審議の際に、森まさ子大臣(森前大臣も、通称使用である)が担当していたっけ。強面の反対派議員たちが女性の大臣を厳しく追及している映像は、「大臣かわいそう」という直観的な同情を誘うものと狙っていないか。ああそうか、「女性の活用」ってこれですか…(脱力)。
女性閣僚、政調会長の問題について挙げていくときりがない。ひとまず、こちらを参照してほしい。
女性の活躍だか活用だか知らんが、どんな女性でもいいわけないだろうっ!女性をなめてはこまる、騙されるかそんなので!と息巻いていたら、「女性閣僚が増えたことを評価する」が55%、特に女性の支持率は回復(前回36%から44%へ)だそうで…。何故に…。ちょ、ちょっと待って、支持する前に、どんな女性か、わかっておきましょうよ…。
と、9月29日、第187回国会における安倍首相の所信表明演説、の「成長戦略」中に、「真に変革すべきは、社会の意識そのものです。(略)国、地方、企業などが一体となって、女性が活躍しやすい社会を目指します」と謳われている。うーむ。閣僚や議員の意識も真に変革し、夫婦同姓を改め別姓の選択を可能にする等、差別的な民法の規定を改正してほしいものだ…。

 

 

 

どうしたんですか、報道の委縮ぶり

 女性閣僚については以上の経歴で十分どんよりしていたが、さらに、高市早苗大臣と稲田政調会長が、ネオナチ団体の代表とツーショット写真を撮っていたことが判明(9月9日共同通信)。英紙ガーディアンや、豪紙オーストラリアン、フランス通信(AFP、フィリピンのほか、シンガポール、タイ、香港などアジア諸国の新聞で掲載)も、写真について報じ、安倍政権の右傾化のあらわれと指摘した(9月10日ハフィントンポスト)。
 そして、在特会の幹部だった男性と記念撮影をしていたことが発覚した山谷えり子大臣は、9月25日の外国特派員協会の記者会見で、在特会との関わりやヘイトスピーチをどう考えるかという点について集中的に質問を受けた。在特会への評価も回答せず、在特会が主張する在日韓国人朝鮮人の「特権」が無いとも明言しなかった。あらら、それでは在特会の妄言を容認しているとしか思えないではないですか(涙)。
 大臣らとネオナチ団体や在特会との関わりという衝撃のニュースは、連日トップにしてもいいレベルのことだと思う。ところが、国内の報道のおとなしさときたら…。在特会について質問が集中する中、唯一、拉致問題について質問したNHKは、在特会に関する部分を見事にスルーし、拉致問題のみ切り取って報道した(いったんNHKオンラインで報じられたが、10月2日現在既に削除されている)。東京新聞等は取り上げているが、その他は一体どうしたのだろうという静けさである(取り上げても小さな記事のみ)。
 この静けさは、「吉田証言」を誤報だったことを認めた朝日新聞への「炎上」による委縮と関係があるのではなかろうか。
 う。今回は何といっても「慰安婦」をめぐる報道や政治の動きに唖然としたのだが、そこに入る前にボリュームオーバー。それでも、この件でぼけーっと週刊誌の吊り広告の扇情的な見出しで「へ?」と納得する前に、このHP中の岡野八代さんの論稿 、むちゃ先生のエッセイ、 WANでの岡野さんの連載、さらには渡辺美奈さんの「朝日新聞が世界の世論をつくったか?」を是非お読み頂きたい。
 圧倒的なバッシングに、ひいっ、と萎えているばかりではいられない。ウオッチするばかりでもなく、報道機関にコマメに意見を寄せていこうっと。渦に巻き込まれている人も、ふとクールダウンしてくれるかもしれないのだから。落ち込んでばかりいられないっ。


 
 

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打越さく良(うちこし・さくら)

弁護士・第二東京弁護士会所属・日弁連両性の平等委員会委員日弁連家事法制委員会委

得意分野は離婚、DV、親子など家族の問題、セクシュアルハラスメント、少年事件、子どもの虐待など、女性、子どもの人権にかかわる分野。DV等の被害を受け苦しんできた方たちの痛みに共感しつつ、前向きな一歩を踏み出せるようにお役に立ちたい!と熱い。
趣味は、読書、ヨガ、食べ歩き。嵐では櫻井君担当と言いながら、にのと大野くんもいいと悩み……今はにの担当とカミングアウト(笑)。

著書 「Q&A DV事件の実務 相談から保護命令・離婚事件まで」日本加除出版、「よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて」共著 朝陽会、「今こそ変えよう!家族法~婚外子差別・選択的夫婦別姓を考える」共著 日本加除出版

さかきばら法律事務所 http://sakakibara-law.com/index.html 
GALGender and Law(GAL) http://genderlaw.jp/index.html 
WAN(http://wan.or.jp/)で「離婚ガイド」連載中。

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