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UK SAMBA~イギリスのお産事情~ 第1回「堕胎罪を廃止せよ! ある女性への判決から」(前編)

おざわじゅんこ2023.08.11

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世界中でわたしたちのからだは政治の道具にされ続けています。特に医療は抑圧の手段としてとても効果的に使われています。イギリスで目にするニュースやらわたしのしごと(助産師)やら通して感じた日英の女性の権利の課題について書きます。

日本の中絶をマシにする活動団体メンバーであり、かつイギリスに住む私にとって、2023年6月と7月は激動の二か月でした。まず6月12日(月)に、ある衝撃的な裁判の判決が出ました。中絶した女性が堕胎罪の28か月の実刑判決(14か月拘留のあと14か月執行猶予)になったのです。28か月の判決は、傷害事件でもそこまでのものは珍しいくらいの重い刑です。

イギリスには1861年に制定されたthe Offences Against the Person Act が残っています。この法律には堕胎罪規定が含まれています(後述)。その後、1967年にAbortion Act ができ、2023年現在、同法で定められた範疇で中絶は合法です。妊娠24週までは女性の意思で、二人の医師の了承のもと、中絶を選ぶことができます(女性か胎児の身体的理由の場合は24週を越えての中絶も可能)。新型コロナウイルスのパンデミック以来、妊娠10週以下の早期中絶であれば、Telemedicineと呼ばれる遠隔医療サービスを女性たちは受けられるようになりました。これは女性が中絶専門センターに電話を通じて診療を受け、二人の医師から電子カルテ上のサインを得て、郵送で中絶薬を受け取り、自分の選んだ時間・場所で、そして選んだ人と一緒に(もちろんひとりでも)中絶できる仕組みです。このサービスの普及により、女性はより早い段階で中絶ケアにアクセスできるようになりました。遠隔中絶サービスは安全で、中絶した女性はおおむね満足しているとの調査結果があります。

有罪を言い渡されたこの女性に中絶が必要になったのは、パンデミックが始まった頃でした。もろもろの事情から中絶ケアにつながることが遅れました。困り果てた彼女は10週以上の妊娠と自覚していたものの、BPAS (British Pregnancy Advisory Service 中絶専門センター)に連絡し、週数を偽って中絶薬を手に入れました。郵便で受け取った薬のうちの一つ、妊娠を止めるMifepristoneを服用してしばらく(1~2日)経過後、子宮を収縮させるMisoprostolを飲みましたが、自宅では中絶が完了せず、医療にたどり着きました。

彼女は当初Child  destruction ※の罪(胎児・嬰児殺)に問われました。その後the Offences Against the Person Act 1861(堕胎罪)つまりAbortion Act 1967 で許されていない中絶の罪を求刑し、上に述べた有罪判決に至りました。

※Child Destruction はInfant Life (Preservation) Act 1929に定められている罪で、生きて生まれるであろう胎児を殺すことに対するものです。

ところで、イギリスでは1967年にAbortion Act によって中絶が限定的に合法化されて以降1990年まで、28週以内の中絶が可能でした。ところが早産の生存率向上とともに、中絶可能週数が24週に見直されました。胎外では生存不可能な段階の妊娠を人工的に排出して終了させる選択肢が中絶なので、たとえば28週の早産児が生き延びられる技術があるときに、その週数の中絶には矛盾がある、という理論です。

この女性の妊娠は24週を過ぎており、32週から34週くらいだったのでは、といわれています。

中絶は心身の負担を小さくするために、妊娠週数のできるだけ早い段階で提供されることが望ましいです。そして同時に、その女性が必要とするならば、いつまででも中絶にアクセスできるようにしておくことが重要です。12週、21週、24週、28週などという区切りに関係なく、中絶が必要な女性には中絶にアクセスする権利があります。その妊娠を終える選択肢を奪われ、追い詰められた女性は、妊娠を止める手段として自らの命を絶つこともあります。胎外での生存可能性次第で中絶の可否が決まる理論において、女性は容れ物と見なされています。女性に自分のいのち・人生と妊娠を天秤にかけさせる、不遜で無意味な理論です。

日本では1880年にフランス流の旧刑法、1907年にドイツ流の現行刑法(どちらも堕胎罪を含む)が定められました。イギリスで1861年に制定されたThe offence against the Person Act は日本の堕胎罪と同じように中絶を犯罪化するものですが、中絶した女性を最長で終身刑にすることも可能です。1861年はヴィクトリア朝時代で、イギリスが世界各地を植民地化していた時代です。その頃、イギリスなどのヨーロッパ諸国に植民地化されていた地域では、軒並み中絶が犯罪化され、堕胎罪が導入されました。

北アイルランドはイギリス(Great Britain)の一部でありながら、2019年に中絶が非犯罪化されたので、このような判決が出ることはありません。つまりこの女性は同じ国の中でも北アイルランドにいたのだったら、Child destructionには問われても、堕胎罪では裁判にかけられないのです。不思議ですよね。

でもそれを言うなら、世界には21週まで中絶できる国もあれば12週までしかできない国もあり、ばらばらです。性暴力だったら、配偶者の同意があったら、胎児に異常があったら、指定医師の許可があれば、と様々な条件が示され、その枠内の中絶なら「許す」けれどそれ以外はだめ、というのが中絶の決まり事です。この根底にはやっぱり堕胎罪があります。

中絶の権利を完全に保障することに多くの国は及び腰です。これは、中絶の権利を保障しようとすると、既成の価値観・規範が脅かされるという理由によるところが大きいです。たとえば、女性は性に関して受動的で自分の意思で性的な行動を取らないものだという思い込みは、妊娠目的でない性交を能動的に求める女性の実際と矛盾します。女性とは妊娠すると必ずその妊娠を肯定的に捉え、自分の人生よりその妊娠を優先的に考えるものだという思い込みは、自分の妊娠のタイミングを自分で選び、妊娠によっては中絶を必要とする女性の現実に合いません。女性はどの妊娠でも受け入れるべき、妊娠は無条件にその女性によって肯定されるべきという社会の期待は強く、実際の社会・医療が提供する出生前診断などの優生的技術とのあいだで女性は選択を迫られ、かつ責任を負わされる立場に追い込まれています。

(後編に続く)

 

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