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いまから100年ほど前のイギリスの、女性参政権を求めて闘った女性たちの姿を描いた映画『未来を花束にして』を見た。数十年もの間、話し合いで「女性にも参政権を」と訴え続けてきた女性たちが、権利を手に入れるために命がけで、実力行使で闘うしかなかったという史実に胸が痛んだ。いま当たり前に一票を投じることができる私たちは、選挙権を簡単に放棄している場合ではないと肝に銘じる必要があろう。

この映画、日本国内向けの邦題やポスターが、海外での扱い方と全く趣旨が異なり、映画本来の内容から大きくかけ離れていることが、ネット上でも取り上げられている。原題は「SUFFRAGETTE(闘争的女性参政権活動家)」なのに、邦題は「未来を花束にして」。日本のポスターからは、命がけで闘った女性たちの緊張感はほとんど伝わってこない。

キャッチコピーも「百年後のあなたへ」であり、海外の「いましなければ」とはほど遠く、事態を先送りしている。フランスでは、映画の一場面にある、声をあげるために立ち上がった多くの女性たちの様子をポスターに掲載しているようだし、台湾では『女權之聲』というわかりやすいタイトルをつけているというのに、日本の映画界は残念な対応だ。まあ、いまの日本では、上映されただけいいのかもしれないが。

森友学園塚本幼稚園の問題がニュースを賑わせている。豊中市議の木村真さんの調査を発端に表に出てきたが、木村市議が取り上げなかったら、ほとんどの人が知らないまま、小学校の設置は認可され、あの教育方針で教育活動が行われ続けていただろう。教育勅語の暗唱に、軍艦マーチの演奏、「安倍首相がんばれ」と言わせた運動会の選手宣誓等々、「教育の政治的中立性」はどこ吹く風、あんな教育が平然と日常的に行われていたとは・・・。

「道徳」の教科化も含んだ新学習指導要領のめざすところは、公立学校の「森友学園化」ではないかと考えると恐ろしい。しかし、塚本幼稚園の教育方針に少なからず賛同する人がいるということ(賛同する議員の発言やネット上での賛美する声など)にも、驚きを禁じ得ない。国有地の破格の安値売却、教育勅語を暗唱させる幼稚園・・・今回の森友学園の件だけでなく、ほかにも日本のどこかに同じような事例があるのかもしれない、私たちのあずかり知らぬところで。

政治家のはたらきかけを「問い合わせ」と言い、共謀罪を「テロ等準備罪」、戦闘ではなく「衝突」、待機児童はゼロになっても「保留児童」は増加する日本。アメリカだけでなく、この国でも、「POST・TRUTH」(もう一つの真実)がまかり通っている。言葉遊びをしている場合ではなく、税金の無駄遣いをせずに命を大切にする政治を行うべきだ。

昨年来、男子大学生らによる集団強姦事件があとを絶たない。学生だけにとどまらず、中には人の命を預かる医者も含まれているというから驚きだ。これらの事件は氷山の一角で、実際の被害者はもっと多いのだろうと推測される。表に出やすくなった要因には、「声をあげてもいい、性犯罪を許さない社会の流れ」に時代が変わってきたことに加え、性暴力被害を訴えてきた被害女性に対応する、女性警察官が増えてきたことも挙げられるようだ。

千葉大学医学部の男子学生らによる集団強姦事件の千葉地裁で、被告人の一人は「(飲み会では)セクハラまがいの行為が行われ、乱れた雰囲気だった」「(犯行については)被害者が泥酔していたので良いと思った。罪の意識はなかった」と述べた(3月2日(木):千葉日報オンライン)という。

このニュースを読んだとき、自分の目を疑った。「泥酔していたので良い?」「罪の意識はなかった?」。いったいどんな感覚なら、そんな認識になるのか。あきれ果てて、開いた口がふさがらなかった。自分がそんなことをされたらどんな気持ちになるか、相手のことを想像する能力が欠落している。それほど、女性の性を蹂躙してはばからないのが日本社会のありようなのだろう。

アメリカでも大学内でのレイプ事件が問題視され、『Sweet/Vicius(原題)』というテレビドラマが話題となっているらしい(2月21日(火)12:00「コスモポリタン」配信)。このドラマは女子大学生がレイプを取り締まる自警団として活動する姿を描いているという。少々長くなるが、その記事の中で、主演者のテイラー・ダーデンさんがインタビューに答えたという内容について触れたい。

「若い女の子たちはみんないつも『短過ぎたり、タイト過ぎる福は着ないこと』、『お酒を飲むなら、自分の面倒を見てくれる人と一緒に飲むこと』と教えられてきました。でも、誰も若い男の子を座らせて、『女の子が酔っ払ってマトモに喋れなかったり、イエスと言わない時は、何もしないこと』と教えません。男性がレイプしないように言って聞かせるのではなく、女性がレイプされないように気をつけなさいという捉え方なんです。個人的には、やっとみんなこのことを話題にし始めてくれたことを嬉しく思っています。」

職場や学校など、公的な場でのセクシュアル・ハラスメントが「犯罪」として認識されるようになったものの、まだまだ日本社会にもセクシュアル・ハラスメントが溢れている。女性の人権を無視したような性産業もなくなっていかない。このような背景が、性暴力加害者に「泥酔していたので良いと思った。罪の意識はなかった」などと言わしめているのであろう。
このドラマの日本での放送は未定らしい。放送されることを願っている。

「JKビジネス」と呼ばれる、飲食店などで女子高校生らに接客させる「ビジネス」も、まかり通っている。女子高校生が水着姿で接客する「ガールズ居酒屋」、添い寝やマッサージする「JKリフレ」、一緒に散歩などをする「JK散歩」など、さまざまな営業形態があるらしい。それらのサービスを提供する店舗によっては、「裏オプション」として性的サービスの提供も確認されているという。

さすがに警察もこれらの実態を放置したままにはできないとしたのか、「JKビジネス」の初の全国一斉調査を来年度行うことにしたらしい。子どもたちを性的搾取から守るために、そして、性暴力加害・被害をなくすためにも、実態把握とその後の対策に期待したい。ここにメスを入れることが、女性の(ひいては男性も含めた)人権擁護へとつながる道筋となる。

性犯罪の厳罰化を図る刑法改正案が閣議決定された。「親告罪」の規定を削除し、被害者を女性に限定せず男性にも適用するようだ。刑罰も強化されるらしいが、「暴行脅迫要件」は残念ながら残っている。声を上げて闘う女性を花束で覆い隠すのではなく、女性の声をきちんと受け止める教育や政治が求められる。

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