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第17回「母親のような女と子供のような男」

野沿田よしこ2016.03.02

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私の名前はよしこ。でも“よしこおばさん”となってこそ“私”であると人は言います。なぜ“おばさん”なのか?誰かの“おばさん”というわけではな く、 “おばさん”=加齢具合を表現しているわけでもありません。私の行動が“おばさん”以外では成しえないものであるからです。私の趣味は人の恋愛話、セック スの話を聞くことです。と、いってもガールズTALK的に盛り上がり話し、その場で共に聞くようなスタイルでは楽しめないのです。あくまでのぞき聞き、の ぞき見すること、百歩譲って1対1で根掘り葉掘り的なTALKが好きなのです。

“人の話を聞く”“心の中や状況を探る”という力はどうやら“おじさん”“お兄さん”“おじいさん”には装備されていないようです。“お姉さん”と呼ばれ る人達には盗み聞きする根性がないようです。そして“おばあさん”には興味と能力はあっても、盗み聞きできるほどの聴力がなかったり、長時間粘れる脚力が なかったり。でも、体力的にまだその余地がある。それが“おばさん”なのです。


と、いうことで、17回目の「よしこおばさんは見た!」よろしくお願いいたします。


「あっ!席空いた!」
「あと3駅で着くから(私は)いいから、座れば?」
「うん」

皆様、この会話、誰と誰の会話に思いますか?日曜日の夕方の千代田線。みんな疲れきった雰囲気が漂う中で交わされた会話でございます。女友達の会話?いえ違います。娘と母親との会話?いえいえ違います。正解は“恋人同士の会話”です。しかも座ったのは男性でした。

最近、このような風景をよく目にいたします。カップルで女性が立っているパターンです。よしこおばさん調べでは、座る前に、大抵女性が「いいから座わんなよ」という言葉をかけているようでございます。

先日、所用で飛行機に乗っておりましたら、通路を挟んだ横に20代後半のカップルが座っておりました。男性が女性の肩に腕を回し、チュッチュッしておりました。なんだか人形を扱うような腕の回し方に見えて、違和感を持ちながらも、女性が微笑んでいたために『嫌がらないのね。やっぱり異国の人はオープンなのね。今度は女性から攻めるのかしら。楽しみ』と思いながら私は早々に眠りにつきました。

1時間後、横を見ると男性は腕を回したままで、女性の肩にもたれかかり寝ておりました。女性は寝ておらず、ただ前を見ておりました。その2人の姿になにか異様なものを感じ、しばらく見ておりました。すると男性が目を覚まし、トローンとした上目づかいで女性を見上げ、女性の首を男性の口元に引き寄せまたキスを始めました。男性は完璧にイッてます。それに比べ、女性の目はまったくイッてない!先程と同じ微笑みでした。男性が女性を見つめる時だけ見せる慈愛の微笑み。おもいっきりもたれかかる男性の重さを感じ、相当疲れているはずなのに、女性は石のようにかたまり、体勢を崩しません。男性を起こさないように支えようとしているかのようでした。そして男性が目を開けるたびに同じ微笑み浮かべ、そしていつでも微笑むことができる準備をしているかのようにも見えました。2人の間には会話はありません。声を出すと、その世界が消えてしまうかの如く、一度も口を開くことなくこの行動を繰り返す2人のナイトフライト。

私はまたいつの間にか寝てしまい、5時間後に目を覚ましました。ロシア上空です。そして、横を見ると・・・・2人はまったく変わらない体勢で座っておりました。『これは夢かしら?』女性は起きたまま、耐えていました。顔が明らかに悲鳴を上げてます。そして数十分後、目覚めた男性はあのおぞましい上目遣いで女性を見上げ、首を持ちまたチュッ。その瞬間、女性の苦痛の表情がさっと消え、また微笑んだのです。そしてその時、ついに男性が口を開きました。
「さむい」
えっ!!!日本人なの?っていうか、さむいって何?!!!

14時間のフライトの中、このカップルを観察し続けました。そして、私の中の違和感は益々膨らみ、日本に到着する頃ははち切れんばかりになりました。それは男性が女性を人形のように扱うから、女性の目が微笑みながらも命が通っていないように思えたから、甘えまくりそれをプレイのように楽しむ男とファンタジーなどまったくないリアルな現実しかない女性の姿が異様だったから、それでも女性がその男の横に居続けるから・・・・。

息子を溺愛する母親とその息子。“女がどんなに甘えても動じない懐の深い男”“女より体力がある男”“男”という幻想を振りかざす社会にはもちろんうんざりですが、“男らしさ”を放棄して“女のためにがんばる”ことをやめた男、母親を求めるようにただ甘え、何をしても女性に許されることを望む男性が、増えているように思えます。そしてそんな男性を受け入れる女性もまた増えているようです。このタイプの男性に女性が「NO!」と言った時、男性は子供のように母親に訴えるのです。
「なんで僕を受け入れない?!なんで許してくれないの?!!」
ダダをこねるママの子供の拳が、そのまま女性へ向けられた時、その拳は女性を傷付ける凶器となるのです。母親のような女と子供のような男。そんな関係を想像させるカップルが増加しているように思えます。

2016年の2月。最後にこんなよしこおばさん調べのデータをご紹介しましょう。

相手の要求を受け入れず暴力を振るわれたもしくはその危険性を感じたことがある女性。82%。

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野沿田よしこ

野沿田よしこ(のそえだ・よしこ)

年齢敢えて不詳。私の名前はよしこ。でも“よしこおばさん”となってこそ“私”であると人は言います。なぜ“おばさん”なのか?誰かの“おばさん”というわけではなく、“おばさん”=加齢具合を表現しているわけでもありません。私の行動が“おばさん”以外では成しえないものであるからです。
私の趣味は人の恋愛話し、セックスの話しを聞くことです。と、いってもガールズTALK的に盛り上がり話し、その場で共に聞くようなスタイルでは楽しめないのです。あくまでのぞき聞き、のぞき見すること、百歩譲って1対1で根掘り葉掘り的なTALKが好きなのです。
“人の話しを聞く”“心の中や状況を探る”という力はどうやら“おじさん”“お兄さん”“おじいさん”には装備されていないようです。“お姉さん”と呼ばれる人達には盗み聞きする根性がないようです。そして“おばあさん”には興味と能力はあっても、盗み聞きできるほどの聴力がなかったり、長時間粘れる脚力がなかったり。でも、体力的にまだその余地がある。それが“おばさん”なのです。 

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