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 民放テレビM6が11月に放送開始したMariés au premier regard (一目で結婚)という新手のリアリティ番組が今、話題になっている。相性ピッタリの男女を「科学的」に割り出し、会ったその場で結婚させるというコンセプト!

 「科学的」なお見合いおばさん&おじさんは、セックス専門家、心理学者、社会学者の三人。「科学的」なテストとは、体臭と声のテスト、アンケートを元にした男らしさ、女らしさの計測、外見の計測、心理とセックス傾向のテスト! これらの結果を付き合わせて、三人が相性の良い候補者を選び出す。紙の上では、この二人が出会えば必ず、恋に落ちるというわけだ。

 当事者たちは「あなたと相性87%の相手が見つかりました。結婚しますか?」という手紙を受け取り、承諾するところから撮影が始まる。まだ顔を合わせることなく、結婚への期待をそれぞれ別々に語る当事者たち。会ったこともない相手と結婚すると聞いて困惑する家族。候補者たちは、いつなんどきなりと、中止を申し出てよいことになっているそうだ。そして結婚式当日。相手が現れるか、緊張する当事者。初めて相手を見たときの反応。そして市長の前で「・・・さんを伴侶としますか?」という問いに「ウィ」と言うか言わないかのサスペンス…

 この番組、視聴者は300万人を超え、侃々諤々の議論を呼んでいる。「結婚をバカにしている!」と憤慨する人もあれば「ヤラセじゃないのか」と出演者を詰問する人あり、「出演料はいくらか」とか「離婚したらどうなるんだ」とか、視聴者の反応がかまびすしい。
 結婚式を執り行う市長は、本物の市長で、「会ったこともない男女を結婚させるのか!」と問われて「私は何十年も結婚式をやって来た。私の役目は法的に書類が整っていて問題がないか見ることだけ。愛し合っているかどうかは、私の管轄じゃないよ」と答えた。

 2回目の番組で結婚したトマとティファニーは新婚旅行の後でだめになり、ティファニーは科学的には選ばれなかった別の参加者とくっついたとか、3回目で結ばれたブノワとナタリーが番組のモンタージュについて批判めいたことを言ったとか、スキャンダラスな番組だと批判が上がる一方で、視聴者が夢中になっている様子がうかがえる。

 その背景には、若者の「結婚難」(厳密には「ステディな関係を築く困難」)があるらしい。
 「フランスの独身者は1300万人、こんなに独り者が多くなったことはかつてなかった」というテロップで番組は始まる。次いでインタビューされる女性のアップ「私は35歳。この歳ではカップルになっていて子どもが二人いるものと思っていたけど、ぜんぜん違う」。場面変わって男性が「出会いはむずかしくない。ただ、良い人に巡り会うのがむずかしいんだ」と言えば、また別の女性が「私は出会いのためにありとあらゆることをしたわ。でもいつも結局うまくいかなかったの」。
 なんだか他人事に思えないだろう。フランスでも意外や、若者は良い相手を見つけるのに困難を覚えているようだ。出会い系サイトは隆盛だが、長続きする関係にはなかなか出会えないという。
 そして再び流れるテロップ。「何千人という独身の男女が、ある科学的実験に参加することを許諾した」…。

 若者たちは絶望しているんだろうか? 結婚費用と離婚費用はテレビ局持ちで、試してみようという人があるのは分らないでもない。ひょっとすると日本でやっても流行るかもしれない。が、口説きの手練手管をお家芸としていたフランスで、恋をただ生理的、性的なものと考える似非科学が信用されるのを見ると、若者になにが起きているのか、不思議な気持もしてくる。

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中島さおりさんの新著出ました! フランスの教育制度を母親として体験した中島さんのリアルなフランス教育の現実。「パリの女は産んでいる」は、「ああフランス、羨ましいよ~!」の思いでいっぱいになりましたが、「哲学する子どもたちは」を読んで思うのは、、、、パリの女が産んでいる背景にはパリの教育があるのだ、という実感です。まさに、「パリの子どもは考えている」。そして「教育」が人生に与える意味、重さを改めて考えさせられるのです。
中島さおりさんにラブピースクラブがインタビューしています! 近々掲載予定です。

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中島さおり(なかじま・さおり)

エッセイスト・翻訳家
パリ第三大学比較文学科博士準備課程修了
パリ近郊在住 フランス人の夫と子ども二人
著書 『パリの女は産んでいる』(ポプラ社)『パリママの24時間』(集英社)『なぜフランスでは子どもが増えるのか』(講談社現代新書)
訳書 『ナタリー』ダヴィド・フェンキノス(早川書房)、『郊外少年マリク』マブルーク・ラシュディ(集英社)『私の欲しいものリスト』グレゴワール・ドラクール(早川書房)など
最近の趣味 ピアノ(子どものころ習ったピアノを三年前に再開。私立のコンセルヴァトワールで真面目にレッスンを受けている。)
PHOTO:Manabu Matsunaga

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