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ラブ弐 コンドーム教の弊害―私はピル派、でも時代はIUSだった・・・

早乙女智子2014.05.14

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年度初めだというのに、そしてなぜかお金がないのに、自腹で桜咲くワシントンDCにお勉強に行って参りました。とはいえ、4月初旬はまだ肌寒く、ポトマック川の桜もようやくちらほら・・・といったところ。3泊5日の日程は丸3日早朝7時から晩までカンヅメ状態でお勉強。スミソニアン博物館見学なんて夢のまた夢。ランチタイムもそのままテーブル席で配給のプレートをかっ込みながらお勉強。時差ボケで午後は時に爆睡・・・

「アカデミーオブウーマンズヘルス2014」という家庭医と専門看護師のための女性の健康最新情報といったところでしょうか。男性も講師にも受講者にもちらほらいましたが、女性のパワーが凄い!何しろ、日本と違うのは、30分講義、15分質問でも質疑がとぎれることなく内容が濃く白熱すること。ただし、残念ながら私の英語力では質疑になるとパワーポイントの手掛かりもなくついて行けず。いつの日か質問に立つのが夢です。

昨年はプログラムに「レスビアンズヘルス」という講義があり、是非とも行きたかったのですが、日程調整できず。今年の全体テーマはone size doesn’t fit all(基準はひとつじゃない)ということで、様々な疾患についてこれが検証されていくわけです。例えば、乳がん患者のホルモン療法は5年か10年か、というテーマでは、エストロゲン受容体陽性の乳がんなら再発率、死亡率考えてやっぱ10年でしょ、ということが日本ではできない1万人以上のビッグデータで語られていく一方で、40-59歳女性のマンモグラム健診は死亡率を下げないのでハイリスク女性のみにすべき、など検査治療のし過ぎにも警告が出されていました。こちらを立てればあちらが立たず、にも注意喚起が。この辺りはアメリカも日々学んで進歩しているんだなあと、実感。

そしてこのような話題の中に同列で避妊や緊急避妊が語られていくわけです。アメリカでの緊急避妊薬はplanBといういかにも、なネーミングでOTC、つまり薬局で誰でも買える薬を2006年にFDAが認可しています。しかし、UPA(Ulipristal)の方が効果が高い・・・けど、薬局では買えないことが問題にされていました。日本だとノルレボというplanBと同じタイプのものが2011年にようやく医師の処方薬になったところ。2周遅れでしょうか。

膣炎の治療のところでは、病歴の確認として、おりものの状態、どんなセックスをしているか、コンドーム、おもちゃ、潤滑剤、アレルギーなどを確認・・・・とあり、ここまで聞ける産婦人科医がどれくらいいるかなあ・・・と思わずため息をつきました。

排卵障害の項目では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と心血管系リスクについて。循環器内科の医師がどのくらい婦人科疾患であるPCOSを念頭に置いて診察しているだろうか・・・・と気が遠くなりました・・・いや、ただの時差ボケか・・・

そして。じゃ~ん。今回もっとも私が気になった情報は、LARC(long acting reversible contraception:長期間作用型可逆的避妊)。日本と違ってアメリカのコンドーム使用率はたった16%!日本は50%だというと、周囲のみんなに驚愕の色が。LARCの意図は、コストを意識しながら継続的で効果的な避妊法を提供するもので、上腕に埋め込むインプラノン(日本にはない)やIUS(子宮内避妊システム)などが推奨され、もはやピルを服用して飲み忘れが・・・と言う時代は去っていたのです!コンドームは避妊具と言うよりSTI(性感染症)予防具。やっぱり日本はコンドーム教が強すぎるよ~(泣)そしてピルがたいして普及しないまま、次の時代に取り残されていく日本。ついに3周遅れ~。

夫婦間でコンドームを使用する理由を多くの日本女性は答えられません。「え?使うものでしょ」「マナーでしょ?」「避妊のため」「夫が責任を持つべき」に至っては私にとっては卒倒モノです。夫婦間が特定の決まった相手だとするならば、必要なのは子どもが欲しいわけではない時の避妊であって、性感染症予防ではないはず。浮気の時だけコンドームを使用すればよろしい。それならLARCなわけです。失敗なし、日々の生活ですることは何もなし。「妊娠を心配」するセックスは21世紀には要らないのだ。特に、それを10代にも勧めているところに衝撃を受けました。日本でもIUSは使用できます。特に最後の子は予定外、などと言うお母さん、意外に多いんです。その後にIUSをお勧めすると目が輝きます。産婦人科の外来で挿入したあと5年間、何もしないで避妊が完璧。でも、経産婦のみ、というのが日本の現状。10代の避妊にIUS使えたらそれはいいよな~。3年物のようですが。そしてできればお金がなくておろした人にはその後の避妊の費用をカバーして欲しい。でき婚推奨で何とか人口を保とうとするのはどこか間違っていませんか。

セックスは楽しい。そして、産むのはもっと楽しい!だから避妊もするし、産みたい時に産む。LARCはコンドーム教の罠から目覚める女性を応援します。

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早乙女智子(さおとめ・ともこ)

神奈川県医師会神奈川県立汐見台病院産科副科長 産婦人科専門医 「性と健康を考える女性専門家の会」会長 日本性科学会認定セックスセラピスト 家族計画国際協力財団(ジョイセフ)理事

1986 筑波大学医学専門学群卒
1986-1991 国立国際医療センター産婦人科研修医・レジデント終了臨床薬理学教室在籍
1991-2000 東京都職員共済組合青山病院産婦人科
2000-2003 NTT東日本関東病院産婦人科
2003-2006 ふれあい横浜ホスピタル産婦人科医長
2006- 神奈川県医師会 神奈川県立汐見台病院産科副科長
専門:人口問題、家族計画、セクシュアルヘルス
2009~神奈川県立衛生看護専門学校非常勤講師
2009~明治学院大学非常勤講師 
  2011~家族計画国際協力財団(JOICFP)理事
2012~性と健康を考える女性専門家の会会長
【所属学会】
日本産科婦人科学会(専門医)、日本女医会、日本不妊学会、日本人口学会、日本性感染症学会(専門医・評議員)、日本生命倫理学会(研究開発委員)、日本母性衛生学会、日本性科学会(認定セックスセラピスト)神奈川STD学会幹事
【著書】『避妊』(主婦の友社1999)『13歳からの恋とからだノート』(新講社2005) 『ガールズセックス』(共同通信社2003)他多数 

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