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ひさしぶりに、ひとつのテレビドラマを毎週見ています。「学校じゃ教えられない」というドラマです。学園モノで深キョンが教師役で主演ということですが、生徒たちの中の主人公がゲイの男の子という設定になっています。脇役ではビアンの上級生も出ています。その描き方がなんともさりげなくて素敵です。
初回からではなく途中から見始めました。最初はコメディータッチの雰囲気だけを楽しむドラマかと思っていましたが、丁寧な心理描写がなされていて、セクシュアリティを語るのではなく、人を好きになる気持ちを中心に物語が展開されていくので、フェアで見ていて気持ちのいいドラマです。
深キョンの必要以上に甘く可愛い発声法にも慣れてきました。ゲイ役の男子も最初は若い織田裕二にしか見えませんでしたが、ここのところ少し違う顔に見えてきました。
 
今週はついにそのゲイの子が好きな子に告白をしました。その描き方も丁寧でした。そのあと、そのことが周囲に受け入れられていく様子に、不覚にも泣いてしまいました。
 
ドラマを見終わって今付き合っているクロに電話をします。というか見ている最中に電話がかかってきたのですが、画面から目が離せなくてすぐ黙ってしまう私に、彼があとで掛けなおすことにしたのでした。そもそもこのドラマを私に教えたのはクロで、彼も見ながらかけているのですが、クロよりも私のほうがハマってしまったみたいです。
クロは若くて可愛い男子がいっぱい出てくるから見始めたようです。そう、テレビだから当たり前ですが、男子も女子も深キョンもみんな可愛い。ゲイやビアンを描くには可愛くなくてはいけないのか、という「エルワード」に対するような批判も妥当かと思われますが、かまわないからフェアでポジティブなメッセージはどんどん流して欲しいと思います。
 
もはやドラマに対する熱量はクロより私のほうが大きいので、電話の会話はそこでそんなには盛り上がりませんが、実はこのドラマが唯一、クロと共通して見ているテレビ番組だったりします。
このドラマを見る曜日はそれぞれの家で見ていますが、週に一、二回どちらかの家で過ごす時、クロは寝ているとき以外はずーっとテレビを見ています。
テレビっ子・・46歳、たしかにテレビっ子なのでしょう。私も一人でいるときは惰性のようにテレビをつけてボーっとするときはありますが、誰かと過ごしている時に目的もなくテレビをつけて過ごすということがあまり好きではありません。
食事中やそのあと部屋でいっしょにお酒を飲んでいるときに、私はテレビがわずらわしくなって突然ブチっと消してしまいます。それに対してクロは怒りませんが、やや不満という状態になります。あるいは、テレビを消すということがこれからセックスをするというサインに変換されることもあって、そうじゃなくて今テレビはいらないだけだから、と私は説明をしなければいけなくなったりします。
 
テレビを見ているとなにも考えなくてすんで楽だから、とクロは言います。
音楽を聞いたり映画を見たりするのは、しんどいそうです。
仕事で疲れている心身を休める一番の有効手段だそうです。
 
ふいに実家で、昼間一人でテレビを見ている母親の姿が浮かびました。
 
ゲイバーのマスターが、そんなクロの話に共感します。
「わかるわー。もうね、二十代の頃のように、新しい音楽を聞きたいとか、新しい情報が欲しいとか、そんな意識は薄いのよ。ただただ、疲れた体を休めたいの。そういうふうにテレビを必要とすることって、ほんとうは誰にも咎められないことなんじゃないかって思うわ」
 
また母親の姿が浮かびました。
クロと付き合いだしてから、なぜか母親の姿がオーバーラップしてしまうことが多くなってきています。
 
仕事が終わって彼の家にいくと、手料理が用意されていて冷蔵庫には冷えたグラスとビールがあります。
暑い、とか、疲れた、とか、ここの家遠い、とか勝手なことをブツクサ言う私に、クロは、シャワーを浴びるかビールを飲むか、と聞きます。シャワー浴びる、と服を脱ぐとそれを拾って、私がシャワーを浴びている間に洗濯機にかけてしまします。今の季節は干したら一晩で乾くから、と言いながら、翌日には洗われて乾いた衣類がきちんとたたまれて箪笥のうえに置かれています。たまにアイロンをかけてくれていたりします。
先日はとれかかったシャツのボタンをつけなおしてくれました。もとの同じ色の糸がないからといって、別の糸でぜんぶつけかえてくれました。私はそばで針の穴に糸を通していただけです。
常に部屋も片付いています。床にモノがあることが嫌なのだそうです。私の家に来た時は驚愕して、私の出勤中に半日かけて掃除していました。帰ってきたら、収納スペースがもはやない本やCDがすべて部屋の隅に積まれていて、洗濯物もすべてたたんで積んでありました。
これらのことを、クロはあたりまえのように淡々とやってしまう印象です。私も頼んでいるわけではなく、クロの動きを放任している状態です(私物を勝手に触られることに関する嫌悪が私の場合はほとんどなく、見られて困るのはこのコラムくらいです)。そんなあれこれが、まるで私が実家に帰ったときの母のようだわ、と思います。
 
これは、母子家庭の長男として育ったクロと、一日に二回は掃除する母親に育てられた私の、家庭環境の違いなのでしょうか。
家事に性別は関係ないし好き嫌いでもないだろうとは思ってはいて、私は自分の不精を母親とジェンダーロールのせいにはしませんが、それでも、クロってなにかの巡りあわせなのかしら、と思ってしまいます。
 
そして、そこまでしてくれるクロとのセックスを拒む私がいます。二ヶ月でセックスレスかよ・・みたいな申し訳なさに、あえて、二人で過ごす時に見える、この実家の母親がいる風景のようなものに、だってこの中でセックスするのっておかしくない? という言い訳をしてみます。


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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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