ラブピースクラブはフェミニズムの視点でセックスグッズを売り始めた日本で最初のトーイショップです。Since 1996

スノボー選手の服装

北原みのり2010.02.16

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オリンピックのスノボー選手が、腰パンしてドレッドでネクタイゆるめた格好で成田空港に登場して問題になった。その後の記者会見で「反省してまーーーーーーーす」という態度で決定的に叩かれた。絵に描いたような「反抗的」な態度とはいえ、それでも「開会式に出さない」という制裁を加えるほどの話なのか。
 
 
数日前の東京新聞が、このファッションについて各国の記者の意見を掲載していた。星条旗や国家というものの威信を骨の髄から信じているようなアメリカの記者は、スノボー選手がオリンピック開会式に出られなかったのを当然の処置と考えていると答え、他のヨーロッパの記者も似たようなものだったという。意外なのは、中国の記者。「厳しすぎ。個人の自由では」と語ったのだとか。中国、広すぎ、深すぎ、価値観の基準、わからない。
 
 
ジェンダー的なことを言えば、国母選手の態度、あれが女子だったら、選手生命が終わるくらいの国民的批判をもっと浴びただろうってことは容易に想像できる。名字よりも下の名前で呼ばれる「愛されるべき」女選手に、反抗的な態度は絶対に許されない。きな粉色のスーツにそまるような地味さで、アスリートらしい健康的な笑顔で、中年男たちの「こんな部下がいたらなぁ」やら「ああこんな娘に育ってほしかった」という妄想をかきたてられるオンナノコが求められるのだから。
ああ、国母が女だったら事件。考えるだけで、コワイコワイ。
 
 
と思ってはみたが、今の時代、男とか女とか関係なく「無垢っぽいカワイサ」は求められてはいるよね。むしろ、男の方に。子供店長とか石川遼とか。余談だが、子供店長やにたついた石川遼がもちあげられていると、「ああヤダ。亀田兄弟や朝青龍の方がいい」と心の中で毒づく自分がいて、は? と自分に驚く。フェミ的にやさしい害のない柔らかい雰囲気の男より、筋力男がマシだなんて、フェミとしてコレどうなのか。
 
 
今回の国母選手の洋服は、なぜ問題になったのか。
ハッキリ言えば、服装そのものが問題だったのではなく、彼の空気の読めなさに日本の空気を読むことに必死になって生きている人たちが苛立ったんじゃないか。オリンピックなのに、国が与えた制服なのに、代表選手なのに、成田空港なのに、きな粉色の制服なのに。あいつ、空気読めない、かっこわるい、バカじゃん、情けない、恥ずかしい、辞めさせろ、おかしいだろ! 
・・・ああ、嫌だ嫌だ。なんて了見の狭い社会。
と書きながら思ったが、子供店長や石川遼が好きな女性たちと、今回、スノボー選手に苛立った人って、集団として大きく重なっていたりしない?  そういえば子供店長も、石川遼選手も、空気読むのが、すごく上手そうじゃないですか。
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北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めて、女性だけで経営するセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」を始める。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)など。佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・最新刊は香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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