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辻元清美さんに関する中傷と私の責任・謝罪。

北原みのり2014.12.01

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「家庭で頑張っているお母さんも、子育てと仕事を両立させているお母さんも、両立させたいと考えているお母さんも、仕事で一生懸命頑張っている女性も、自分の目標に向かってしっかり進んでいくことができるような、女性にとってやりがいのある暮らしやすい日本を間違いなくつくってまいります」
安倍さんがにこやかな顔で街頭演説をしている。
最近、どこかで聞いた気がするセリフ。
「目標を持ち一生懸命な女性」
「女性の心情の理解を求めない」
「仕事のワガママは許すこと」
等々・・・というのが結婚相手の条件と言っているらしい俳優の戯れ言的な・・・
ふだんフェミっぽいことを話す女性の中にも、安倍のことは嫌いだけど女性政策は評価したい・・・みたいなことを言う人がいる。西島秀俊に騙されるならまだしも、安倍に騙されるなんて信じられないです。これほど過激な政権のもとで、かつてないほど「女性活用」がうたわれていることが、私には不気味だから。
これまで「従軍慰安婦問題」は「日本国の名誉の問題」であると言い続け、フェミニズムに対する偏見と無知のままジェンダーフリーバッシングの急先鋒に立ってきた安倍さんは、「男女平等」なんて興味ないでしょ。
男女平等の概念がないまま「女性活用」と声をあげる安倍首相の頭にある「女性政策」とは、国に協力できる女性を求めること。意見は言わず、目標を持って、国のワガママは許し、放置されても、理解を求めない、そんな「プロ女国民」求めてますよね。
国会を見ていると、安倍首相がいかに「女性議員」に対して不愉快な態度を取っているかがよく分かる。よく女性蔑視的な男の人がやる癖に、女の意見に「笑ってかえす」というのがある。「彼女」の言葉を嘲笑で返して軽く扱う・・・女としてこの国に生きていると、そういう目に何度もあいますけど、安倍さんは、「それ」をやるタイプの男だということが、国会を見ているとわかる。
特に、辻元清美さんに対する態度は、あからさまだ。鋭い質問を繰り返す辻元さんに安倍さんは、にやついて笑って質問と存在を無化するような、貶める方法で応えているのがよくわかる。
安倍さんは、辻元さんが恐いのではないだろうか。苛つくのではないだろうか。ひるまず質問をぶつけ、その言葉に力がある政治家の一人だから。その辻元さんを貶めるためには、「女である」辻元さんを軽視するように振る舞うのが効果的だと思っているのではないか。
そして、今の日本では、そんな「安倍さん」的スタイルな女性蔑視が珍しくない。女の発言を無化し、感情的に「感情的だ」、非論理的に「非論理的だ」と批判して、デマを書き立てて、貶めるようなスタイルが日常化している。
さて、本題に入りたいと思う。辻元清美さんのことだ。
選挙も近づいていることもあるだろう。辻元さんに対するデマや中傷があまりにも激化しているように感じている。その多くが、女性差別的であることも含め、目を覆いたくなる酷いものだ。例えば、産経新聞が流したデマに「辻元さんが自衛隊活動を視察した際に自衛官に対し『あんた!そこ(胸ポケット)にコンドーム持っているでしょう』と言った」というものがある。これもかなり拡散しているようだけど、辻元清美さんは産経新聞と記者を訴え既に勝訴している。また当事者であると言われた太田清彦自衛官は「そんな事実はない」と証言している。
そういう「真実」よりも、貶めるための「デマ」や「中傷」の方が力を持っているように見える今に、非常に危機感を感じている。
そして辻元さんにまつわる、げすな中傷、それでも拡散され面白がられ定着化しつつある中傷の一つに、私は責任を感じている。ここで辻元さんと、その支援者の方に謝罪、また事実関係を明らかにしておきたい。
2005年、ラブピースクラブが主催するイベントで辻元清美さんに講演していただいた。
そこでは歌手の笹野みちるさんなど他のゲストもいらして、みんなでバイブレーターにサインをした。そのイベントに週刊新潮の記者が紛れこんでいて、大げさな記事を書いた。
そのバッシング記事が10年たったいまもネット上にあふれている。
また、辻元さんを貶める合成写真が拡散され続けている(私の会社では絶対に販売しない、いかにも男性が”これは猥褻!”と喜びそうなグロテスクなバイブレーターとの合成写真)。
いつだったか、「辻元が持っているバイブの写真、お前のところで売ってるのか? 買いたい」と、男が電話をしてきたことがあった。見れば明らかに合成写真だと分かるのに、そんなことも分からずに「ネットにあることは真実」と思ってしまう人は、私たちが想像している以上に多いのかもしれない。
イベントに関する記事、そして合成写真の流布、それは全て私の責任だと思っている。
私が軽い気持ちでお願いをしたことで、週刊新潮にむざむざ攻撃材料を渡してしまったこと、辻元清美さんには本当に申し訳ない気持ちだ。
そもそも私が辻元さんに講演依頼をした時、辻元さんは国会議員ではなかった。
その後、2005年9月11日に衆議院選挙があり、辻元さんが出馬されることになった。
私たちのイベントは、選挙直後だった。国会議員になられた最初のイベントが確か、私たちのイベントだったのではないかと思う。断られても当然だと思っていたのに、「前からの約束だから」とご出演して下さった辻元さんの誠実さに、私は本当に感謝していて、だからこそ本当に申し訳なくてたまらない。
と、同時にバイブと言えば「猥褻」としか頭がない週刊新潮のクソ記者(あ~汚い言葉でごめんなさい~)と編集部に、私は私の仕事も貶められたと思っている。
女性の欲望が貶められ、性的な存在であることで危険な目にあい、性暴力にあっても声をあげられない社会で、女性が自分の性を主体的に語り行動する力を、どれだけ削がれているだろう。私がバイブを売っているのは、「<女>の欲望を貶められ、ないものにされたくない」と考えているから。そういう仕事を、私は週刊新潮に貶められたし、今でも、あの記事と記者を許していない。
仕事をする女は叩かれる。本当のことを男に突きつける女は叩かれる。
今の政権にとって、辻元さんの言葉は最も封じ込めたいものだ。その辻元さんに対してデマや中傷で潰そうとする力が、選挙を前にさらに大きくなっているように感じる。
デマなどに惑わされず、辻元さんの政策と言葉にきちんと耳を傾けてほしい。辻元さんがいない国会になったら、それこそ、安倍さんの思うつぼだろう。

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北原みのり

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めてフェミニストが経営する女性向けのプレジャートイショップ「ラブピースクラブ」を始める。2021年シスターフッド出版社アジュマブックス設立。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)・佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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