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「明菜の紅白」

茶屋ひろし2015.01.13

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新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
このところ、「仕事に追われる」とはこういうことだったんだわ、と実感する日々を送っています。2年前まではずっとアルバイトをしながら生きていましたが、あれは、時間給をもらって時々不満をもらして、そのお金を使って憂さを晴らす、という仕事でした。ちょっとしたミスをのぞけば、ほとんどの責任は私にはなく、だから時間で割り切ることもできていたように思います。
中島みゆきの歌に、「仕事をしていてよかったわ、愛どころじゃないふりができる」(『彼女によろしく』)というシーンがありましたが、てっきり私は、ふられた女が意地を張っている、と解釈していました。自分がふられたときは、仕事中もずっとそのことにとらわれていたからです。
相手への恋慕というか執着心は、「遺伝子に組み込まれちゃうからねぇ」とか、「まともに向き合えるようになるには最低でも3年はかかるわね」とゲイバーのママに脅されていました。
だったら早く3年経ってしまって! と働いていた時給は1,000円でした。
店長代理から店長に近づくにつれて、どんどんやることが増えていきます。日々のルーティンに加えて、とつぜんレジのネット回線がつながらなくなったとか、昔からの人間同士の混線の調整にも追われます。
すぐになんとかしなければいけないものから片付けていくうちに、他のことを忘れてしまって、そういえばと思い出したときには日が経ちすぎているといった具合です。
そんな状態でも今回の紅白(歌合戦)を待ちわびていました。それはもちろん中森明菜が出演するらしい、という噂を耳にしたからです。2009年から活動を休止していました。
去年の「あまちゃん紅白」を見ながら、淡い期待がふくらみました。この2年位のあいだに、友近さんはともかく、テレビや週刊誌にちらほら明菜の話題が続くわ・・と感じていました。
おおむね肯定的に取り上げられている印象で、ファンの私だけではなく、けっこう復活を待たれているんじゃないの? と思っていたら、去年の夏に発売されたベストアルバムが25万枚のヒットになったと知り、彼女はスターなんだわ、と実感しました。
週刊誌といっても、とくになにもないときでも明菜の記事を書いてくれるのは、週刊女性か自身かセブンなのですが、毎朝、品出しをしていると、月に一度くらいはどこかが書いているという印象です。
一緒に品出しをするスタッフに同い年の女性が二人いて、話もよく合いますが、私が「書いてくれてうれしい」などと言うと、引き気味に笑われます。
勝手なファン心理としては、記事の真偽などどうでもよく、忘れられていない、という事実のほうが重要だからです。
「頭がおかしくてすみません」と謝ります。今年は『婦人公論』にも出て欲しい。
一昨年だったか、週刊ポストでは安田浩一さんという『ネットと愛国』(講談社)を書かれた方が明菜の自伝を連載していましたが(早く本で読みたい)、男性誌でも紅白直前になってちらほらと話題が出てきて、その中でも最低だったのが、『週刊実話』の、野外でのセックスシーンを激写、というものでした。
スタッフの女性と「これは違う人でしょう」とワーワー言い合いましたが、それでも、これはこれで『実話』らしい応援の仕方かも、とポジティブに捉えてしまうことをやめられませんでした。
今回の紅白は明菜だけではなく、松田聖子も薬師丸ひろ子も出るし、中学生まで好きだった長渕剛に、ずっと好きな中島みゆきに美輪明宏と、これで、NOKKOと尾崎豊が出てくれれば、私の思春期がコンプリートされてしまう勢いです。紅白でこんな日が来るとは思いませんでした。
もうひとつの特別ゲストだったサザンオールスターズにはそんなに思い入れがありませんが、話題になった『ピースとハイライト』と、椎名林檎の『NIPPON』と対になるような『東京VICTORY』のバランス感覚はさすがだわ、と思いました。
あっちが日の丸を背負って立つなら、こっちは自分で旗をつくっちゃうよ、という違いでしょうか。
オリンピックに使うお金があったら被災地へ、原発廃炉に向けた地域支援へ・・と私は思いますが、スターはやはり、開催に喜ぶ人々のことも無視できないのだと思います。リベラルには汎用性が必要だということかもしれません。
歌詞に、「時が止まったままの あの日のMyhometown 二度と戻れぬ故郷」というメッセージが入っていることもふくめて。
というか、肝心の紅白での明菜の感想を書いていませんでした。中継の声が聞き取れないのは、歌うときのために普段は小声だったマイケルジャクソンと同じだからと思っていますが、歌唱は正直、物足りませんでした。期待しすぎたのかしら、と反省までしてしまいました。新曲はとても嬉しいけれど、この曲だったら、もう少し派手に、もう少し低音でやってほしかった、なんて。
誰かがtwitterで、歌舞伎町を通ったら鳴ってるような曲調やんけ、とつぶやいていましたが、それはいいのよ、過去じゃないということだから、とまたもやポジティブ脳が頭をもたげはじめて、今度発売されるカバーアルバムのリストに、EXILEと倖田来未の歌が選曲されているのを見て、ほら、明菜の魅力は、他に類のない孤高と、この大衆性というかヤンキー性も込みですから、と一人で息巻いてしまいました。でも、エグザイルは聴けない・・。

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茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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