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「あかんもん」

茶屋ひろし2015.10.07

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民主系の(という言い方でいいのかしら・・)出版社が数社集まって、それぞれの推薦する自社本を何点か出し合ってフェアを企画する、ということが時々あって、今は「平和と戦争を考える棚」というテーマで主催の方から、注文して、棚をつくって、その写真を送って、と矢継ぎ早に攻められています。
夏前から・・。
のらりくらりと交わしてきたのは、それをつくるスペースがないというのと、そのラインナップに挙がった50タイトルは、すでに置いてある商品だったからです。

書店の奥は「社会科学書コーナー」になっていて、共産党中央委員会の出版物をいちばん奥に、マルクス資本論関係から始まって、あらゆる社会問題を網羅しようとしています。
今は安保法案関係の花盛りですが、マイナンバーに秘密保護法、TPP、辺野古、原発、従軍慰安婦、ヘイトスピーチ、LGBT・・とあまり広くないスペースにひしめきあっています。例えがおかしいですが、激戦区です。
ここらの棚はずっと平和と戦争について考え続けているよ・・、というわけです。

90年代後半に、「底が抜けた社会」と言ったのは宮台真司だったと思いますが、ついに国家も底が抜けたような気がします。マイナンバー、TPP参加、川内原発再稼働&原発輸出・・、法を犯した国家はやりたい放題です。
誰かがツイッターで、「美しい生活を維持することで抵抗できるとは思えない」というようなことをつぶやいていましたが、確かにそんなこと言ってられない状況だわ・・と思います。

それにしてもツイッター、見てしまいます。ほっとけばずっと30人くらいをぐるぐる見ています。
このコラムの更新が遅れてしまう言い訳になってしまいますが、書きたいことがもう人のツイッター上に書かれていて、しかも短くて丁寧で面白くて、私が書くことなどもはや何もない! などと思ってしまいます。

ヘイトスピーチのカウンターグループとして、「しばき隊」という名称を見たとき、まさしく・・! 気持ちを代弁していただきました、というのと、そんなこと言っちゃっていいのかな、と声をひそめてしまうような気持ちを両方味わいました。
「しばきたい」は、気持ちの表現で暴力の実践ではないと、のちに理解してから変な後ろめたさはなくなりました。

桜井誠をはじめ、街頭で汚い差別スピーチを繰り返す人たちを見たとき、私は3メートルくらいの鬼になって、彼らの尻をまくり、「そんなこと言うたらあかん!」と、次々と平手でお尻を叩いていきたい、と思いました。
人様に向かってそんなこと言うもんじゃない、というやつです。
サカキバラのあとで、「なぜ人を殺してはいけないのか」という問いが生まれていましたが、これも、「あかんもんはあかん!」ですませてもよかったような気がしています。
なんだか表現の自由や暴力への否定が、「あかんもん」も生み出していったような錯覚に陥ります。
実際に、子供のころに体罰やげんこつや平手打ちなどを受けてきたから、理不尽なものを止めようとするとき、それ以外の方法が思いつかないだけかもしれません。

カウンターの人たちの、こちら側から叫ぶことによって、彼らのヘイトスピーチをかき消してしまう、という非暴力なやり方は、私の考えていた「懲らしめ方」のもっと先をゆくものでした。
言葉が通じない相手にノイズで対応するのも理に適っているように思います。

職場では、あまり他の人の仕事を見ないで我が道をゆくスタッフたちに対して、「恐怖政治をしてくださいよ」と同い年のスタッフから冗談交じりに要請されます。
前の前の店長が、怒鳴り散らすタイプだったようで、言うことを聞かざるをえない状態に追い込まれていたそうです。

私が、その人の話を聞いて別の人に伝えてまたそれを返す、という方法をとっていることがまどろっこしくて仕方がないようです。
怒鳴ることや叱り飛ばすことは、したことがないし、しようとも思わないし、それでうまく伝えられる自信もないので無理ですが、そうすることで私ひとりがルールになることのデメリットのほうが大きいようにも思えて、その方法は取りたくありません。

変わりやすい人の気持ちに耐える力と、それでも思いを伝えることを諦めなければ何とかなる、と踏んでいて、その接し方のほうが、スタッフの人たちも我流だけではなく、協力的にもなって、日々の仕事に取り組んでいけるようになる、と思いたいのです。

今までいろんな職場を経験してきましたが、その中で「恐怖政治」は結構な数を占めていました。そうじゃなかったところは、京都のサークルKで、私の記憶には、あの店長のやりかたが残っているようです。

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茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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