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NHK独走の予感に震えた年末年始。まずは「松田聖子のおてもやん化」から…

高山真2015.01.13

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 推定6人の読者の皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 この連載をしているせい、とばかりも言えませんが、あたくしの年末年始は例年以上にテレビやらラジオやらをチェックしておりました。いや、2015年はNHKが民放を大きく引き離してしまう予感たっぷり。だってみなさん、1月1日の夜、NHKの地上波でタモリが出ている時間帯に、BSでは草間彌生が出ていて、NHKラジオではジャニー喜多川が蜷川幸雄相手にしゃべっていたのよ! あたくしと友人の間で、「どこを選んだらいいの!?」という悲鳴があがったのなんて何年ぶりだったかしら……。

 で、年末といえば「紅白歌合戦」ですが、12月の中旬、紅白の出演順が決まった段階で、「あたくしたちの紅白」はスタートしていたと言っても過言ではありません。「中島みゆきと美輪明宏の次、そして松田聖子の前」という順番に据えられた嵐を、心底気の毒に思うあたくしたち。バケモノたちの中に放り込まれたオトコの子アイドルがテレビにはどう映るのか。盲目的な嵐ファン以外の人々にとっては、ある種の人体実験を見るような緊張感を抱きながら31日はテレビを見ていたの。実際には美輪明宏のあとでサザンオールスターズが出ていたけれど、たいした毒消しにはならず。嵐の5人は「人間代表」として頑張っていたわね……。

 あ、そうそう。わりと早めの出番で、あまり話題にならない順序だったものの、森進一のスリリングな顔面は、今年もどの紅組歌手よりも人間離れしておりました。そろそろ皮膚が皮膚として機能しなくなってくるかもしれないわ。うふふ。

 で、大トリの松田聖子ですが……。去年の7月7日のこのコラムで「タメで歌う問題」について書いたけれど、さらに症状がひどくなっていたわ。聖子は、音楽面で彼女にきちんと物申せるスタッフが絶対に必要ね。ボーカリストとしては歴史に残るオンナなんだから、そちらのみに注力してほしいんだけどさ。美空ひばりにしたってマリア・カラスにしたって、「自分が作った曲を歌おう」なんて余計な色気出してなかったんだし。

 ま、でも、音楽面で目を覆いたくなる分、ビジュアルの仕上がりは鬼気迫るレベルだったのですが。そっち方面のスタッフはいまだ完璧な布陣ね。ダンナ、口腔外科医だし。まあ、それもファンにとっちゃ歯がゆいけどね。「音楽面でも人の言うことに耳を傾けろよ」と。

 ぷっくり膨らんだチーク部分に過剰なほどのピンクを塗り込んだ聖子。しかし体はタイトな白いドレスに包み、顔を見なければ銀狐さながら。なんかもうね、「表面はおてもやん、中味はひとり百鬼夜行」。本当に素晴らしかったわ……。

 ちなみに「バケモノ」ってのは、あたくしにとってはもちろん尊敬語。フランス語で「モンストル・サクレ」というのは「聖なる怪物」という意味ですが、圧倒的な芸能の力を持つスターのことを、フランス人はこう呼ぶわけね。『悲しみよこんにちは』を書いたフランソワーズ・サガンは「モンテカルロでディートリッヒに会って幻滅しちゃったわ。モンストル・サクレって苦手」と言ったことがあるそうですが、サガンはネガティブに使ったであろう「幻滅」という単語が、むしろマレーネ・ディートリッヒのバケモノ性を際立たせていて興味深かった。いいのよ、芸能人はそれで。圧倒的なお金の力と超一流のブレーンのセンスを結集してもなお、「おしゃれ」の枠に収まりきらないダサさや禍々しさが出ているから面白いのよ。「人間」として見ちゃうから幻滅するんだわ。

 今年も、そんな「モンストルたちから見えるもの」が、あたくしたちの生活にどんなインスピレーションを与えてくれるかを、自分なりに書いていこうと思っています。というのも紅白からこっち(正確には中島みゆきのパフォーマンス以降)、あたくしったらずっと松任谷由実のことを考えっぱなし。いまだ思考がまとまりません。次回では、相当長くなってしまいますが、ユーミンのことをきちんと書ければと思っています。改めて、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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