ラブピースクラブはフェミニズムの視点でセックスグッズを売り始めた日本で最初のトーイショップです。

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東京では各地で、区議会選挙を控え候補者達が街を闊歩している。

自転車に荷車を装着し、ガタガタと音を立てながらのれんを立て、駅に向かい仕事場に向かう人達を送り出している姿をよく見かける。

「皆様、今日も行ってらっしゃい!子供を元気に育てられる街を目指し、私〇〇は待機児童0を目指しこれからも活動してまいります」

「〇〇でございます。朝から失礼いたします。私は、ほにゃらら小学校の建て直しを実現します。母の力で〇〇区に安心安全な街を作ります」

「おはよーございます。まもなくオリンピックです。スポーツを振興して、未来を担う子供達を育てていきましょう。私は皆様の健康を守ります。」

・・・・・・・・というある日、

「区議会議員に立候補しなよ」

突然、友人に言われた。なぜ?と聞くと

「アンティルがなったら、面白そうだから」

という。

『何を言う?!!!?』

ちょっとした怒りが沸く。男として社会活動をしている私にとって、選挙に出るということは、私が積み重ねてきた仕事を失いかねないことだ。男だと思っていた人が、女だからといって仕事はなくならないだろう。・・・という人もいるかもしれないが、甘い! 

『これまでの30年間、この社会で自分の仕事を見出し、続けていくことがどんなに大変だったか。簡単に言うな!!』

冗談でも腹が立つ。友人の提案につられ、別の友人がキャッチフレーズを考えはじめ勝手に盛り上がってる。セクシャルマイノリティーへの理解が深い人でも、当事者でないとわからないものなのだと少し悲しい気持ちにもなった。カミングアウトすることがどんなことなのか。その想像力にも限度があるのだとも思った。

社会にカミングアウトして区議会に出る時は、私が一生を政治に捧げる時だ。

そんなことをその友人に言うと、

「カミングアウトしなくてもいいじゃん。性別は言わなくてもいいみたいよ。届け出する時も性別の記載はないらしいよ」

と言うのだ。

 「えっ!」

ちょっと驚いた。印鑑登録証明にも性別記載がある区もあるのに、立候補の時はいいの!? なんだそれ?!

区議会議員のことを調べてみた。

「月収60万」

ってことは、720万?!!高収入ではないか?!!!

さっきまでの怒りが、ほんの少し引いていく。

 

国政選挙と違い、マイクを使って大音量の演説を流すことなく、地声でがんばる区議候補達。4年に1回はやってくる選挙の割には、区議候補の演説を真剣に聞いたことがなかったことに気が付く。大義を説く中で挙げられる具体的な政策がなかなか興味深い。

“子供の未来を守ります”→“三角公園を安全な環境に整備します”

“皆様の安全を守ります”→“5丁目をカラー舗道にします。”

区議は町、いや、丁単位でものを見ている。当たり前だが、より具体的な例を求められる。それが区議なのだ。それは毎日の生活に密接に関わる大事なことだ。私はどのような政策を立てたらよいだろうか。

 

その1 座って用を足す男子100%を目指し、幼児から座りション教育を!

区内のトイレには、尿が着くと赤色に発色する壁や床や天井の建材を使い、尿の可視化を図り、尿飛び散りの驚異、恐怖を男性に認識させその罪を悔い改めさせる。

その2 区内で立ちションした場合、本名を区の“立ちション野郎HP”で公開。再犯者は7日区内立ち入り禁止。

特殊な機械を7日間足首に巻き取れないようにし、区内に立ち入るとブザーがなり即連行!

しかし、そんな権限は区議会にはないはずだ。ならば、権限を持てばいい!東京都からの独立だ!!それでも権限は弱いか?!ならば、日本からの独立してもいい。そうだ、我が区は独立国家にした方がいい。

・・・私は政治家になってはいけないタイプの人間なのかもしれない。

 

いや、しかし、まともな政策も考えられるはずだ。

「住民票、印鑑登録証明、区民税・都民税申告受付書などすべての帳票から性別記載をなくします。」

「LGBT教育を未就学児から学べる区に」

どうだろうか。まともな感じだ。“あって困ったもの” “なくて困ること”そう考えると、シンプルに政策が出てくる。国政から政治を公共機関から行政を見ることに慣れているこの目を少し足下に寄せると、政策はより私に近づいていく。なんか政治って不思議。あ、政治家っぽくなってきた気がする。しかし、これでは私がセクシャルマイノリティーだとカミングアウトしなくてはならない!  これはまずい。

 

そんなことを書いている最中に、珈琲を買いに行ったら “我が区” についてこんな会話をしている人がいた。

「港区に住んでみたい。〇〇区って、地味だしファミレス少ないし・・・・。」(私の住む区は港区的な軽さはないのだ)

 

そこで

その4 区の歴史教育 

「アンティルが住んでいる〇区って〇〇だよね」

などと言われ、その〇〇がまったく的を射ない事実、歴史、風土を差すことが多々有る。苦々しい。それは大抵、“渋谷”を東京の中心だと思っている人達だ。渋谷が東京の中心など、なんと東京の歴史、文化を知らない無知な人間なのかと呆れてしまう。古地図を見ろ! 渋谷も青山もただの原っぱだ!

正しい歴史教育を!!

愛国ならぬ愛区精神なくして、我が区に住むべからず!正しい歴史を学び給え!港区よりもすばらしい歴史が我が区にはあるのだ!!知らないなら私が教えてやろう!!!我が区の素晴らしさを!!!!!

♪(区歌)

心の中で“我が区”の歌が流れたのを私は聞いた。これではまるで、あの団体のようではないか?!!しかし区歌は止まらない。

もし私が区政に出たなら。そんな妄想をもう少ししてみようと思います。

 

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アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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