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  • 東京で自分らしく生きること そして韓流 第四回 セックスワークは聞こえが良いか

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セックスワーカーの医療に職業的に関わるようになったのはボストンのフリークリニックに勤めるようになってからだ。1994年からアメリカでエイズアクティビズムに参加して来たが、その甲斐あって次々と人々がエイズで亡くならなくなった替わりに、ある頃から次第に人々は事故や自死、精神疾患や殺人で亡くなっていることに気づいた。ヨーロッパの一部の地域でこそ、セックスワークは国で認められて保健管理等の法令が制度化されているが、ボストンで自分が見た心身の傷を負ったセックスワーカー達の現実は異なっていた。
 
中には若くてAV等に顔出し出演し、エスコートとして顧客との一見華やかな交遊をSNSで発信していた人もいた。しかしそれは全く営業用の氷山の一角で、実際には明日の薬代の払えない方々、ソーシャルワークの介入が急務な方々がたくさんいた。身に覚えのない薬物の急性中毒、傷害・レイプ、困窮と格差の複数世代に渉る連鎖、心身の複合障害、暴力とトラウマの後遺症、自殺・殺人未遂サバイバー、相次ぐ仲間の死。中でもトランスジェンダーの人の死亡率は、シスジェンダーのセックスワーカーの数十倍数百倍だった。
 
当時ベトナムからボストンに難民として移民したセクマイの男の子と友達になった。彼は母親がベトナム人で、父親が韓国の兵士だった。父親は韓国に帰り、ベトナムの村で母子共に凄まじい差別を受けて育ち、アメリカ移住を思い立ったそうだ。現在韓国では、民間団体がベトナム戦争時の韓国軍による戦時性暴力被害の調査・支援を行っている。日本はどうだろうか。
 
帰国して、性産業を消費する男達の無自覚な日常性に驚かされた。風俗経験を聞こえよく吹聴できる時代なのだ。その一方で売り専やソープで働いた経験のある友人も増えた。中にはSMクラブの女王様等、濃厚接触がなく健康リスクの低い方もおられたが、それは例外中の例外で、多くの性産業従事者は複数の心身の傷跡を無意識あるいは意識的に訴えていた。
 
国策としての厚労省管轄の啓発ポスター「いってらっしゃいエイズに気をつけて!」を覚えている世代は減りつつある。買春が国を挙げてユーモアとして成り立っていた恐ろしい社会である。第一次韓流ブーム以前の韓国観光の中にはJA等の団体旅行によるいわゆるキーセン観光と焼肉がセットのものもあり、民間団体から公式に批判されていた。冬のソナタで何が変わり何が変わらなかったのか。
 
 
韓流四天王に憧れた中年主婦達の中には献身的で熱心なファンがいて、チェジュ島ツアーや免税店、高価なエステとプチ整形が日本人で賑わったそうだ。夫婦間では最初から無かったかとうの昔に死滅していた性的な感動やエクスタシーを、経腟性交なしに代替消費出来るようになったのもヨン様達のお蔭だ。マドンナはLike A Prayerで宗教上のエクスタシーを性とクロスしたが、大挙して韓国に訪れた彼女達の高揚は、正に巡礼と呼ぶのにふさわしかった。
 
仕事で韓国のエイズ治療研究開発の拠点病院に行く機会が増えたが、韓国社会の性産業事情は本当にはわからなかった。新宿二丁目でも韓国旅行に行って現地の性産業を消費するのが流行った時代があったそうだ。SE7ENとMighty Mouthのサンチュが兵役中に性的なマッサージ店に出入りしたことに関して、営倉処分が下ったことがあった。ひと口でセックスワーク日本男性韓国男性と括れない極私的な感想だが、こういう情報にふれる度アメリカで出会ったセックスワーカー達を思い出して、働き手のことを考える。
 
現在日本では覚醒剤使用が露見すると、解雇、個人では返済不能な膨大な補償金を背負わされるようだ。性犯罪はどうだろうか。SE7ENが所属していた事務所YGの後輩、BIGBANGのスンリ(公称V.I.)のこともどう考えてよいかずっと考え続けている。性売買斡旋疑い他で立件されたとのことだが、被害者の人権は救済されるのだろうか。グループに迷惑をかけた引責引退をしたと聞き、暴力団との関係を問われた島田紳助が芸能界引退したのを思い出した。
 
更生の専門家に聞くと、公の場には出ない方が更生の可能性が高まる。こうした犯罪では十分本人に責任能力を問えると思われるが、更生のために今一度環境因子を想像すると、グループ最年少の子どもとしてデビューして成功し、飲食業から実業家としても自己実現していく中で、誤った同調圧力を社会規範にして育ってしまったのだろうか。誤った考えに基づく犯罪は更生の道筋も一筋縄ではない。加害者の処遇には同情も共感も覚えないが、社会全体として同様の犯罪の再発防止のためにも刑事手続きが搾取された側を保護する視点で進行することを願う。
 
KPOPのダンスでは年端も行かない若者達に露骨に性的な振付をさせる事が多い。(従来YG事務所が得意として来た)ヒップホップのジャンルでは特に顕わに煽情的な動きを、かなりの確率で年長の振付師によって二十歳そこそこの若者達がさせられている。これも性交を伴わない代替消費コンテンツなのだろうか。それとも若者を金銭で性的に支配されるべき商品として、大人による性的消費を煽っているだろうか。翻って北側の喜び組をも思わせる日本の48グループ産業は、現在の性犯罪の土壌を作っていないだろうか。
 
ハリウッドではアリッサ・ミラノ始めSNSリタラシーの高い女優達が立ち上がり、ネットでも#MeToo運動が奏効した。仲間を支援することがエンパワメントになる、と彼女達の一人が言ったのが心に刺さった。まず今苦しんでる仲間を助けることで、自分も今日1日生き延びられる。性犯罪という魂の殺人においては、仲間の救済なしにはとても生き延びられない、という「怒り」を共有した関係ならではの重い響きだ。
 
トランスジェンダー追悼の日は、1998年ボストンのヘイトクライムで殺されたリタさんの死への怒りで始まった。みんなでキャンドルデモをした。そして今、自分含め韓流に救われ生かされた命は日本中にある。だからこそ身の周りの日本社会そして韓流情報を通して、命を阻害する現在のトランスフォビア、ホモフォビアそして自分の当事者性も考察しながら、韓国のフェミニスト達からも学びつつ共にミソジニーについて考えていきたい。日本中で立ち上がって声を上げたかった人々の#MeToo運動がすでに始まっているのだから。
 
 
今日の連帯: itisrape_japan
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