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おかんとコピ Vol.3 珈琲と鼻血

李信恵2019.08.05

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子猫と出会ってから3日目。箱に入れると泣くので、起きているほとんどの時間は子猫をだっこしていた。もしくは膝の上か、服の中。まるで母猫になった気分。または、母カンガルー。寒くないかな、大丈夫かなと気になって仕方がない。寝る前には、友人のアドバイス通りペットボトルにお湯を入れて湯たんぽにしていた。けれど、離れると不安そうなので、翌日からは3階の寝室ではなく、1階にある仕事部屋で寝ることにした。不安なのは自分の方だったのかもしれない。目を離したすきに何かあったらと、すごく怖かった。あまりにも小さかったからだ。

ミルクは毎回、いっぱい飲んだ。2、3時間おきにと病院で聞いたときにはビビったが、飲ませないとどうしようもないので頑張るしかない。子どもを産んだ時は20代で、まだ若かったけど。それでも睡眠不足になってしんどかった。しかし、今ではもう50代も目前だ。体力がない分、気合で乗り越えることにした。気合があれば何でもできる。気分はアニマル浜口+アントニオ猪木だ。

朝晩のミルクには、病院でもらった抗生剤を混ぜる。飲んだ後には毎回、目薬を点眼。嫌がらずに、大人しく点される。なんて賢いんだろう。お腹がいっぱいになると、また眠った。まだ目やにも出てまぶたも腫れているけど、少しずつ開くようになってきた。しかし、そこからのぞく目は赤に近いピンク色だった。猫には第3のまぶた、「瞬膜(しゅんまく)」と云うのがある。この子猫は結膜炎で、この薄い白い膜が真っ赤に腫れ上がり、本来の目を覆い隠していたのだ。


出会って4日目になると、まぶたはさらに開き、まだ赤い部分が大部分を占めているものの、本来の目がちょっと見えてきた。歩くのにはそんなに問題なさそうで、よろよろしているがあちこち(私のからだを)よじ登る。なんでこんなに可愛いんだろう。親バカというか、メロメロになっていた。駄目だ、一時的に保護しているはずなのに。

最初は子猫が元気になったら貰い手を探そう、と思っていた。しかし、調べてみたら、地域でもどこでも保護猫を譲渡できるようになるのは2か月(8週)以降というところがほとんどだ。それぐらいまで保護したとしても、視力や前足のことがあるので、飼い主が見つかるのはなかなか難しそうだ。それならもう、いっそのことうちで(私以外の家族が猫アレルギー持ちなので、基本的には1階の私の仕事部屋で)飼おうかと云う話になった。展開が早すぎる。了承してくれた家族に感謝。そして、貰い手を探してくれていた友人に連絡すると、とても喜んでくれた。Facebookでも飼うことにしたと投稿したら、みんなから暖かいメッセージが届いた。ある友人からは「きっと信恵さんは(この子猫を)飼うだろうと思っていました!」と。…見抜かれていた。

真っ黒なので、名前は「コピ(珈琲の韓国語)」にした。ハングル文字で書くと「커피」だ。ちなみに韓国語で鼻血は「코피」で、こちらもコピ。ただ、発音は違う。「커피」は、コの母音のオの音を発音するときに唇をやや左右に開ける。「코피」の方は唇をさらに丸める感じで。韓国旅行に行かれる方は、カフェでオーダーするときに気を付けて発音してみてね。「インドネシア語でもコーヒーはコピと言って、コピルアックというジャコウネコの糞からとるコーヒーがあります!」と友人が教えてくれた。国際的な名前だ。

というわけで、新しい家族が増えた。君の名前はコピ、これからもよろしくね。

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李信恵(り・しね)

1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日2.5世。フリーライター。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
2015年1月、影書房から初の著作「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」発刊。 

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