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おかんとコピ Vol.4 過剰な愛情と猫ちぐら

李信恵2019.09.09

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子猫に「コピ」と名前を付けた直後に、アマゾンで購入した商品が届いた。折り畳み式のペットサークルと、通院用のメッシュのキャリーバッグだ。最初は一時的な保護と考えていたけど、それでもしばらくの期間は必要になるかと思ってポチったものだ。しかし、ペットサークルの中にコピをいれると泣く。なので、ひたすら抱っこしていた。外出するときにはサークルの中に入れるのだが、すごい勢いでひっかいて脱出を試みる。なので、数回使っただけで折りたたんでしまい込んだ。

部屋の中を自由に移動させるにしては、この部屋(私の仕事部屋)はあまりにも荒んでいる。なので、まず掃除をすることにした。次第に大きくなるだろうし、今のうちに遊べる場所を確保しようと思ったが、私は洗濯と同じぐらい掃除や整理整頓が苦手。しかし、そんなことも云ってられない。「ときめくー、ときめかないー」とつぶやきながら、自身にこんまりを憑依させて頑張った。

昔仕事をしていた雑誌などを200冊ほど、あとは部屋の片隅や机などでときどき雪崩を起こす書類などを処分。20年ほど前にグルメの記事を書いていた光文社の男性週刊誌「ディアス」(現在は廃刊)のバックナンバーなどが出て来て、懐かしいと思って読み返しては作業が中断する。ダメだ、前向きになるんだと、過去をビニールひもで縛りあげた。バッグや洋服なども片っ端からごみ袋に入れた。30袋以上になったのだろうか、ちょっとした引っ越しぐらいの量だった。家族は「この部屋に床があったのか」と驚いていた。おい。なにはともあれ、コピのおかげだ。

出会ってから1週間が過ぎたコピは、赤い腫れが引いて目がどんどん開いてきた。赤ちゃんのせいか、瞳はブルーがかっている。ちゃんと見えるようになりますようにと祈りながら、目薬を点す。ミルクもいっぱい飲んでいる。飲むときに手でブランケットをもみもみしたり、シリンジをぎゅっとつかもうとしたりするのが可愛い。たまたま入った100円ショップで、猫じゃらしを見つけたので購入。目の前で揺らしてみると、追いかけるように顔を動かしていた。反応しているので、少しは目が見えてるのかな?毛並みも良くなってきているのも嬉しい。

もう少し大きくなったら、猫用のベッドもいるだろうなと思ってネットでググっていたら、うっかり「猫ちぐら」と云うものを発見した。猫ちぐらとは、稲わらを編んで作った猫の寝床の一種。米どころである新潟県や長野県が発祥の地とされ、新潟県関川村や長野県栄村などの民芸品でもあるそうだ。猫ちぐらでうたたねをする猫の画像を見て、コピもこんなところで寝かせてあげたい!と思った。しかし、手作りの民芸品と云うこともあって、注文から完成まで時間がかかり、お値段は2万円以上と云う。げ、そんなにするんだ…とあきらめかけたその時、自作している人のサイトを見つけた。

猫まっしぐら!な猫ちぐらの作り方–準備

https://www.icoro.com/201409188020

何でもその人は、藁ではなく紙紐をほぐして作ったそうだ。そのサイトを読んでいるうちに、なんだか自分でも作れそうな気がしてきた。そうだ、自分で作ってしまえ!と云うことで、早速紙紐を買いに走った。そして、仕事の合間に猫ちぐらを編み出した。初めてにしては良い感じと自画自賛つつ、編むこと自体は楽しいけれど、サイトにも書いてあったとおり紙紐をほぐすのが大変だった。ほぐした紙紐は湯葉みたいで、見ているとお腹がすいてきた。それにしても指先の水分が奪われる。紙紐だけど、めちゃ藁っぽくって、考えた人すごいなあと思った。編みながら、自分はこのまま行くと、いつか包装紙で籠を編むおばちゃんになって行くんだろうと思った。ようこそ、オカンアートの世界へ。違う。

そういえば、小さいダーリン(息子)が小さい時、よくセーターやいろんな物を編んだり作ったりした。誰かのことを考えて、その人のために何かを作ること。そんな時間があるのは幸せなことだなあと思う。愛情が過剰で、しかも全く違う方向へ行っているような気もしなくもないが、まあいい。膝の上の真っ黒いかたまりが、安心して眠れる寝床が出来ますように、と思いながら編んでいた。

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李信恵(り・しね)

1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日2.5世。フリーライター。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
2015年1月、影書房から初の著作「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」発刊。 

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