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「あなたは何一つ悪くない」

2017.04.28

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熊谷俊人千葉市長が、朝鮮学校の美術展に従軍慰安婦の絵があり、解説で日韓合意を否定したなどという理由で、朝鮮学校の補助金不交付を決定したと4月27日、自身のTwitterで明らかにした。

「朝鮮学校の地域交流事業への補助不交付を決定。朝鮮学校の運営に補助する他自治体と異なり、千葉市は外国人学校が地域と交流する事業に対して実施後に内容を精査し、経費の一部を補助します。昨年実施された美術展に従軍慰安婦の絵があり、解説で日韓合意を否定している等、目的に反すると判断しました」

千葉市長のTwitterを見てみると、トップページは子どもとハイタッチしている写真が掲載されていた。補助金不交付の発表をする前にはこんな投稿があった。

「今朝はありがとうございました。政治家になる前から、子どもと向き合うと自然としゃがんで目線を合わせる習慣があります。自分に子どもが生まれ、改めて大事なことだと気付かされました」

朝鮮学校の子どもたちの目線にも合わせてみたらどうかと思う。彼には朝鮮学校に通う子どもも、この社会に暮らす大切な宝であり未来を作る子どもだと、分かっていないんじゃないか。

この決定を知って、やっぱり思い出したのが橋下徹氏だ。以前にも書いたが、彼は知事時代、 高校無償化から朝鮮学校が除外されている問題について、同府東大阪市の大阪朝鮮高級学校などを視察。自身もラグビー部出身であり、同校ラグビー部員に対し「大阪代表になってがんばれ」と激励した。しかし、その後、知事は朝鮮学校への補助金支給の停止を表明した。

朝鮮学校の美術展は大阪でも毎年開催され、私もいつも観に行く。そのたびに、いろいろな発見がある。幼稚園から高校生まで、テーマも様々な作品が並ぶ。働く父親を描く子ども、遠足での様子、思春期の揺れ動く心を描いた自画像など。どの作品も、すごく自由でいいなと思う。 いつも会場には朝鮮学校の美術教員がいて、作品についてひとつひとつ解説してくれる。しかも、とても嬉しそうに。

ある先生に「先生は解説するとき、なんだか生き生きしていますね」と話すと、彼女は「私ね、子どもの描く絵や作品がすごく好きなんですよ。本当に大好き。いつも刺激を受ける」と笑顔で答えてくれた。私も、こんな先生に美術を習いたかった。
その先生が、決定を知った日の夜、泣いていた。
差別する側は、もっともらしい言い訳をいつもする。そして、弱い部分、大切にしているものを狙う。いつも朝鮮学校と、そこに通う子どもたちがターゲットにされる。

私はここ数年、ヘイトスピーチ問題について取り組んだり、裁判を起こしたりしているが、その際に「表現の自由」と云う言葉を何度も聞いた。「法規制は『表現の自由』が脅かされる」といった具合に。マジョリティの「表現の自由」は、それが差別であっても守られてきた。けれどマイノリティの「表現の自由」は、こんなに簡単に踏みにじられてしまう。

一方、もうすぐ韓国では大統領選が行われるが、日本軍「慰安婦」問題の日韓合意について主要な候補者らは「破棄し再協議すべき」と主張している。「破棄し再協議」が現実のものとなった時、千葉市長はどんな言い訳を考えるのだろうか。 日本軍「慰安婦」の絵を描いた学生に、「あなたの作品は素晴らしい」と云いたい。戦時中に尊厳を踏みにじられた女性がいたこと、そんな過去や歴史を直視することや記憶にとどめておくことは、戦争による被害者、または加害者を二度と生みださないために大切なことだ。 そして、「あなたは何一つ悪くない」と伝えたい。

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