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No Women No Music Vol.10 うつみようこ姉さん

ほんま えつ2003.11.25

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皆さん、‘うつみようこ’というアーティストをご存知でしょうか? 80年代、“メスカリン・ドライブ”という女3人のガールズバンドにて活動し、同じ関西出身であった“ニューエスト・モデル”という硬派かつ骨太な男バンドと合体して、93年ソウルフラワーユニオンとなる。わたしは、このソウルフラワーのほうで、初めて内海洋子(以前は漢字表記でした)という人の歌声を聞きぶっ飛んだ!すんげぇ、ニッポンのジャニスやん!!

 「カムイ・イピリマ」というソウルフラワーのデビュー盤を、私は発売当時、毎日毎日聞きまくった。このデビュー盤は内海洋子のヴォーカルがかなりメインに押し出されており、当初はメスカリン・ドライブのアルバムとして制作されていたものが、ソウルフラワーユニオン結成と共に、記念すべきファーストアルバムとなったとのこと。以降、リーダー中川敬の反体制的サヨク色濃いめのバンドカラーが強化していき、気になりつつも何となく聞かなくなっていった。

 月日も経ち、ソウルフラワーもかなり安定した人気バンドとなった2001年、私がその歌声に熱く魂を震わせた内海洋子姉さんが、ソロアルバムを出した。なんとこの時点まで彼女がソウルフラワーを脱退していたことを知らなかったのだ。ビックリ!このファースト・ソロ『YOKOLOCO』のあまりの素晴らしさにまたまたぶっ飛んだ。アルバム発売と同時に行われたタワレコでのプロモーションライブで、生の彼女の歌声に感極まって涙した。

 改めて‘うつみようこ姉さん’のファンとなり、彼女のことをちょこっと調べてみると、幼少期をニューヨーク、プエルトリコで過ごしてきたという。そうかそうだったのかと、いくつかの歌を思い浮べる。その詞にはニッポンという国への違和感が、ひしひしとつたわってくるのだ。メスカリン時代に作られた「アイ・ドント・ライク」という歌、10年余過ぎたというのに、色褪せぬどころか今のほうがよりいっそう深く感ずるもの有り。  

♪私は自分の国(国家)が嫌い。都合顧み、ポーズで逃げる。
  …論理の摩り替え、狸寝入り。
  …ダブルスタンダードが隠されたまま、それぞれが自らの正当性を主張するばかり♪

 日本で生まれ育ち、男社会な純日本型会社組織で働いて生活を立てている身にとって、この日本の嫌な部分を身につけていないと、やって行けない。そんな自分もやってらんない。でも無自覚に染まるのと、男社会組織をサバイブする為にその方法を身につけて確信犯としてやっていくのでは違ってくる。私は後者だ。

 2002年にリリースされた、うつみ姉さんの2枚目のソロアルバム『ANTI WAVE』では 今現在のうつみ姉さんの正直な気持ちととれる詞に、大人になる…月日を感じる。


 ♪時間をかけるんだ タイムアウト、
 実現することのない夢を、独り言のように話すのにはあきた
 年をとってきたから そろそろ遊んでかっこよくいこう…♪

 こんな詞を歌いつつも、かつてないほどアグレッシブなバンド演奏で、元気に力強く歌ううつみ姉さんのヴォーカルが身にしみる。今をときめくばりばり弾けた若手男ミュージシャンたちを従えて輝いている。

 決して生きることに器用な人とはいえない。。。と思う。同じメスカリン~ソウルフラワー在籍の、伊丹姉さんのほうが、ずっとずっとしたたかに、女ミュージシャンを続けているように見える。自分のライブを、ソウルフラワーのコンサートとバッティングする日程にもってくるなんて、全くうつみ姉さんのアンチで、生き下手な性格を垣間見る。ライブでは、自分のメガネをフッ飛ばし、そこまでやるかってくらい自己陶酔(??)でノリノリで狂乱すれすれのパンク・ソウル・ロックンロールに行き果てる。でも見にきているみんな、そしてバックバンドの若い野郎どもは、そんなうつみ姉さんが大好きなのだ。

   ♪あたしの話しはあなたに伝わらない ただラララなの
  あなたの言葉は誰にも聞こえない ただラララなの♪

こんなはじまりの「くうき」で幕を閉じる最新作『ANTI WAVE』。こんな虚しさを私もかみしめることが多くなった。同世代にうつみ姉さんのようなすばらしいミュージシャンがいてくれたことを、とても嬉しく思う。


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ほんま えつ(ほんま・えつ)

音楽、映画、本をこよなく愛して生きる趣味人女。
小学5年生のとき同級生の友達宅で聴かせてもらった「クィーン」に感動。
以後、洋楽を貪り始める。初めて買ったLPレコードは「アバ」のベスト盤。
いまではこれぞと思った音楽はジャンルを超えてなんでもござれの雑食派。
本連載、約10年ぶりのカムバックです。

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