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「思考停止の緊急事態」にならないように、冷静に考えて行動を

深井恵2020.03.11

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まさか、アベの一声で全国一斉休校の事態になるとは思わなかった。何の権限があってそんな要請にこちらが従わされるのか。あまりに突然の休校要請。科学的な根拠は何も示されないまま、「やってる感」のため(?)に、多くの国民が振り回され、影響を受けている。

なぜ、言われるがまま休校にしなければならないのか、わけがわからない。トップダウンでそのまま休校を要請した自治体のトップの大半は、思考停止ではないか。

アベ→各都道府県知事→教育委員会→学校長。言われるがままに「一斉休校」して、誰が責任を取るのか。誰も責任を取らない気がしてしかたがない。

2月28日金曜日の朝、いつものように出勤したところ、勤務時間が始まる前に緊急会議が開かれ、今後の対応についての協議が行われた。

週明けの3月2日月曜日には、卒業式が予定されていた。休校要請が出される前の段階で、卒業式は実施するものの、在校生は出席しないことになっていた。在校生で出席するのは、送辞を読み上げる2年生の生徒会長のみとし、他の在校生は自宅学習という予定だった。

ところが休校要請を受けて、来賓も出席せず、送辞は録音したものを流すことになり、生徒は3月2日月曜日から当分の間自宅学習期間とすることになった。28日の授業は5時間目まで実施して6時間目は卒業式に向けた大掃除の予定が、1日の日程を1時間繰り上げて、大掃除して放課ということに。

月曜日からの生徒自宅学習に、金曜日のうちに印刷できるだけの教科の課題プリントを配布して対応することとなり、授業と並行して課題プリントの準備をしなければならなくなった。

課題プリントとは別に、事前に進路指導分掌が注文購入していた国語・数学・英語の課題冊子が、ちょうど28日金曜日に配達予定だった。運送会社が何時に届けてくれるかによって、生徒に配布できるかどうかが決まる。生徒がいるうちに届けば、クラスごとに冊子を分けて、各クラスで配布して、持って帰らせることができる。祈る思いで運送会社を待っていた。

だが、「当分の間」に「春休み」が加わった期間となれば、課題冊子だけでは量が足りないため、冊子とは別に、課題プリントの印刷をする必要があった。自分が担当していた金曜日の授業は、1、3、4時間目。課題プリントを印刷するなら、唯一授業のない2時間目にするしかなかった。

1時間目の授業を終えて職員室に戻り、さぁ課題プリントを印刷しようとした時、進路指導分掌の担当者から、「国語・数学・英語の課題冊子の扱いについて、生徒向けの指示文章をワンペーパー作って、生徒に周知してほしい」と要請され、まずは指示文書を作成することになった。

指示文書を作成して1年生全員分印刷しようとしたところ、いつまでたっても自分のPCから印刷送信した文章はプリントアウトされない状態だった。

おかしいな……と思って、コピー機のところにまで行くと、「待ち時間35分」の表示。他の教科担当者が課題プリントを印刷している真っ最中だった。

その後、かろうじて指示文書は印刷配布できたものの。自分の担当教科の追加課題プリントを印刷することはできないまま、生徒たちは自宅学習期間に入ってしまった。

数日でも準備期間があっての休校なら、それなりの用意ができたはずだ。しかし実際の準備期間は、多くてわずか数時間、少ない場合は、私のように1時間に満たなかった。

小さい子のいる家庭やひとり親家庭では、金曜日にいきなり「来週月曜日から休校です」と言われて、対応に苦慮したことだろう。非正規労働者が増えている現在では、仕事を休めば休んだだけ賃金の減に直結する。有給休暇を潤沢に行使できるとも限らない。場合よっては解雇につながるおそれもある。

学童保育で対応できる部分もあるようだが、休校を要請しておいて、学童保育を行うことに、政府は矛盾を感じないのだろうか。

給食の食材を扱っている業者の方々も、大きな損失を被っている。長期保存のできない食材の場合は、新たな大口の消費も急には見込めず、大打撃だろう。

給食の調理員の方で非正規労働の場合、仕事がなくなることは、イコール収入がなくなることになるいつ再開されるかもわからないから他の仕事に就くわけにもいかない休業補償は次の給料日に間に合うのか金額も見合ったものになるのだろうか。

ニュースを見た限りでは、新型コロナウイルスの政府の対策会議のメンバーには、いつものように、女性はほとんど含まれていなかった。

女性の声がほとんど反映されていないから、こんな急な要請がまかり通るのだろう。ジェンダーギャップ指数が121位に下がった、この国らしい政治だ。

各種イベントも中止や延期を余儀なくされ、こちらも大きなダメージだ。観光業界も、韓国中国の観光客のみならず、国内観光客も激減して、経営が危ぶまれる事態になりかねない。

目に見えないウイルスへの対応に、科学的根拠のないまま全国一斉休校が行われた今回の状態は、目に見えない放射能に、誰も責任を取らない東日本大震災の状態を想起させる。さらには、「上からの命令に従っただけだ」と責任を取らなかった戦時中にもつながる。

このまま「緊急事態」だからと、国民生活への制約を行うことになれば、自由や人権を侵害されかねない。思考停止は政治の暴挙を容認してしまう。政治の動きを注視して、権力の暴走を許さず、冷静に考えて行動する。

かつてない事態のただ中にいる今、一人ひとりの落ち着いた判断と行動が求められる。

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深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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