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TALK ABOUT THIS WORLD フランス編 女性大統領は現れるか

中島さおり2021.12.07

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コロナ第5波に襲われ、近隣諸国が次々にロックダウンに踏み切る中、なんとか持ちこたえているフランスだが、感染者数は4月初め以来の高水準に達し、明日12月6日には新しい政策が発表される。そんな不安な状況だが、今日は前回に続いて、大統領選の話題を届けよう。
昨日(12月4日)、保守の共和党の予備選で、ヴァレリー・ペクレスが対立候補エリック・シオッティを61%対39%の大差で破ったのだ。
これで大統領選の主要候補のうち女性候補が4人になった。前回決選投票に残った極右「国民連合」のマリーヌ・ルペン、現パリ市長で社会党のアンヌ・イダルゴ、トロツキスト政党「労働者の闘争」の党首、ナタリー・アルトー、そして現在、パリを含む地域圏、イル・ド・フランスの首長で、サルコジ大統領の下、フィヨン内閣の高等教育・研究相と予算相を務めたこともあるペクレスである。

第五共和制のフランスを長い間牽引していた中道右派の保守政党と左翼の社会党は、前回2017年の大統領選で無残なまでに凋落し、極右のルペンとわずか中道政党「共和国前進」のマクロンが決選投票で争った。立ち直りを賭けて元二大政党から立った候補がいずれも女性だったというのは興味深い。女性カードを切らなければ、再生は難しいということではないか。
マリーヌ・ルペンは父ルペンが女性にそっぽを向かれたのとは対照的に、確実に女性票を獲得している。ライバル、新たな極右候補となるエリック・ゼムールには、女性の3分の2が「投票しない」と表明しているのと好対照だ。

フランスは女性首相も90年代はじめのエディット・クレッソン一人で、意外と女性大統領への壁は厚い。2007年にはセゴレーン・ロワイヤルが社会党の候補になり、ニコラ・サルコジと決選投票を争ったが敗れた。ロワイヤルは、女性票を集めることはできなかったそうだ。女性だからというだけで女性票が集められるわけではないだろうが、今回は極右から極左まで、ずらりと女性候補が並んだ。それぞれの政治的傾向に合わせて、投票できる女性の選択肢がある。

2022年の大統領選、社会党のイダルゴは、残念ながら左翼をまとめる候補にはなれないようだが、ペクレスには失った保守の票を回復する可能性が秘められているようだ。
賃上げと公務員削減、移民制限の強化を掲げる。経済を重視し、「移民ゼロ」の極右ゼムールとは一線を画す。様々な右派をまとめることができ、前回マクロンに流れた穏健保守層の票を取り戻すなら、マクロン現大統領にとって、一番の脅威となる。政策が近い上に女性というアピールがあれば、逆転も夢ではないかもしれない。
とはいえ、現在のところ、世論調査によれば、第一回投票で投票すると返答した率は、マクロン24%、ルペン20%に対し、ペクレス11%、イダルゴ5%である。

女性大統領は誕生するだろうか。1984年には、女性大統領を是とする国民は男性40%、女性でも55%だったが、現在ではともに80%に達しているという。

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中島さおり

中島さおり(なかじま・さおり)

エッセイスト・翻訳家
パリ第三大学比較文学科博士準備課程修了
パリ近郊在住 フランス人の夫と子ども二人
著書 『パリの女は産んでいる』(ポプラ社)『パリママの24時間』(集英社)『なぜフランスでは子どもが増えるのか』(講談社現代新書)
訳書 『ナタリー』ダヴィド・フェンキノス(早川書房)、『郊外少年マリク』マブルーク・ラシュディ(集英社)『私の欲しいものリスト』グレゴワール・ドラクール(早川書房)など
最近の趣味 ピアノ(子どものころ習ったピアノを三年前に再開。私立のコンセルヴァトワールで真面目にレッスンを受けている。)
PHOTO:Manabu Matsunaga

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