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捨ててゆく私「夏のタイムマシーン」

茶屋ひろし2022.06.29

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春先に小泉今日子さんのデビュー40周年コンサートに行ってきました。誘ってくれたゲイの友人は、俺はキョンキョンと同い年、56歳! とうれしそうでした。
茶屋君誘っても明菜じゃないから来ないかと思った、と笑います。
いいえ、行きますよ。たしかに中森明菜に比べたらそこまでじゃないけど、キョンキョン、松田聖子、斉藤由貴、工藤静香は人並み以上には聴いてきました。人並みってどれくらい……? シングル曲のほとんどが歌えるくらい? いや、そうでもないな、わからない。

会場の中野サンプラザに行く前に、一杯飲んでから行こうかと商店街に向かったらキョンキョンのシングル曲が流れていました。若いバーテンさんたちがいるイタリアンに入ったら、そこでもキョンキョンの曲が!
町中で祝われてるねー、私たち今から行くのよ、とカウンターでお酒を注文していると、うしろのテーブル席にいた同年代の男女のグループが、私トシちゃん好きだった―、と話し始めます。

あのころのアイドルはなんて華やかだったんでしょう、なんて大阪のゲイバーのママとも話していたところでした。彼も50代。
若いころは聖子派だったけど、今となれば明菜もキョンキョンもみんな好きよ、テレビで毎日のように楽しませてくれたわよね~、と二人して遠い目になります。

BTSの人たちが「アイドルという体制は人を成長させない」と言って話題になっていましたが、そこから宇多田ヒカルの「人間宣言」や安室奈美恵の引退が連想され、それは90年代にまでさかのぼり、「小娘の言うことで大きな会社が右往左往することが怖くなった」と言ってニューヨークへ飛んだレベッカのNOKKOや、「あのころは毎日、ホテルの窓から飛び降りたら楽になれる、と思ってた」と語った明菜まで思い出しました。

そうなんですよね、89年の明菜の自殺未遂はマッチとセットにされがちだけど、本当のところはその忙殺にあって、マッチはきっかけのひとつにすぎなかったのだと、今は理解しています。
木を見て森を見ず、とはこのことか、なんて。

ただ、安易に結び付けちゃいけないと思いながらも、人間じゃないような生活をしていた人たちが見せたあのきらめきは何だったんだろう、と思います。熱狂するファンを生み出したあの魅力。
奥田民生が最近のステージで泥酔して、ちょっと下の世代のミュージシャンに叱られていましたが、誰もがその存在を知っているという「アイドル」を一度でも経験した人は、個人では受け止めきれない何かが残りそうです。

そんな大変な目にあっている人たちから放たれるエネルギーのおこぼれに、子どもだった私は魅了されていたのか、と思うと何とも言えない気持ちになります。
この10年の明菜さんは、体調を見ながら、曲を発表したり休んだりを繰り返しています。

彼女の歌っている姿はいつでも見たいけど、それを要求することは決してできないこの感じ。引退せずにいてくれているだけでもありがたい、と往年のファンは思っています。
そうすると、キョンキョンは最強サバイバーに見えてきます。時代時代を潜り抜けたり交わしたりしながら、なによりいつも楽しんでいる感じがすごい。

明菜や聖子ほど浮世離れしてなくて、最近ではSNSの使用もあってか、年を経るごとに身近な人になってきているように思います。
なめらかなシフトチェンジ。そのせいか、コンサートに向かう気持ちも、あ、あきな……! とか、聖子ちゃん!  といった興奮はなく、親戚の面白いお姉さんを見に行く感じでした。

どこかの民族衣装の刺繍のようなカラフルな舞台もかわいかったし、舞台の手前に降りてくるシルクスクリーンを使ったビジュアルも楽しかったし、全シングルをほぼノンストップで歌い切ったエネルギーにも圧倒されたし、アンコールで一曲だけ撮影オッケーにして、観客が総立ちでスマホをかざすなか、「戦争なんかいきたくねえ!」とシャウトする演出も格好良かった。

そのあと新宿二丁目に繰り出せば、ゲイバーのマスターが「ぼくが一番好きなのは、夏のタイムマシーンという曲なの!」と言うので、まさしく今回のコンセプトがそれだったのよ!  と私はその曲を知らなかったくせに盛り上げてみました。

それは88年の曲で、「夏のタイムマシーン、少女の私にだいじょうぶだよと伝えてよ」と過去の自分を励ます歌でした。

そういえば、明菜のヒット曲は季節感がないものが多くて、スナックカラオケで夏の歌を探すのに苦労します。キョンキョンや聖子は春夏秋冬そろっているのに、明菜の場合は、夜の都会とか、雨とか、砂漠に行ったり海に沈んだりしていて、心象風景を歌う曲が多い。

ああ、明菜。キョンキョンにかこつけて、私は明菜の40周年について書きたかったんだわ、とここまで書いてきて思いました。でもあまり楽しそうな感じにはならないから、キョンキョンを使ったのかしら。
明菜の1989年の野外コンサートがNHKで放映されるというニュースが飛び込んできた2022年の初夏。全シングル曲を三つの衣装とそれぞれのダンスで演じ歌い切った舞台。もちろん大人になってからもDVDで(最初はVHS!)何度も繰り返し見てきました。カメラワークも素晴らしくて様々な表情をとらえています。

忙殺の極致にいた23歳の女性、タイムマシーンに乗って今でも救いに行きたい。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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