ラブピースクラブはフェミニストが運営する日本初のラブグッズストアです。Since 1996

banner_2212biird

〈新刊発売特別寄稿No.2〉ソウルWoolf Social Club通信「壁に向かって悪態をつく女たち」

キム・ジナ2022.07.09

Loading...

ウルフソーシャルクラブでたくさんの女性たちに出会う。単においしいパイがあると聞きつけて訪れる人たちもいれば、私に会いに来る人たちもいる。積極的なお客さまは私の著書にサインを求めたり、記念撮影を頼んだりする。私と同じく内向的な人は、そっとメモを渡して帰っていく。

「私はアイドル実習生です。だから“ショートカット”も、“脱コル(脱コルセット)”も実践できません。自分はフェミニストだと公にすることもできません。私のような者のかわりに前へ出て戦い、悪口雑言を浴びるキム・ジナさんに感謝します。この言葉を伝えたくて来ました。応援しています」

私が声をあげ続けられるのは、まさにこんな瞬間のおかげだ。6月19日にアジュマブックスで開催してくれた「薔薇はいいから議席をくれよ」オンライン・ブックトークも、そんな経験だった。



実は開催の前、イベント案内ページに「ブックトーク定員200名!」とあるのを見てひそかに心配していた。「100名も集まるだろうか……」
しかもツイッターでは国境なき女性断罪者たちが、すでに私への否定的見解を展開し始めていた。身体によって差別されている女性の権利、そしてバウンダリーを守ろうとすることで「ヴォルデモート」(『ハリー・ポッター』シリーズに登場する敵役)扱いされてしまうのは、もう時間の問題なのだろうか?

ところが私の予想に反して、当日は200名に達する多くの方々がブックトークに登録してくださった。言語が違うため同時通訳者の助けと参加者の忍耐を必要としたが、イベントの間中ずっと熱気があふれていたのを感じた。

韓国の女性たちはどうやって政治的に覚醒し、女性の政党まで作ったのか?
どうやってバックラッシュと魔女狩りに立ち向かっているのか?
どうやって女性の連帯の難しさを乗り越えているのか? 

次々と発せられる質問から、答えを求める日本の女性たちの切実さがそのまま伝わってきた。
フェミニズムを真摯にとらえ、実践していけば必然的にぶつかることになるこれらの問題。一足早くフェミニズム大衆化を経験した韓国女性たちだけでなく、時代をさかのぼれば最初に女性参政権を要求したサフラジェットも、女性に対する性暴力・性売買・ポルノグラフィーに反対してきた第二波フェミニストたちもやはり、うんざりするほど味わってきたものだ。

「資金もシステムも議席もない女性の政党は、既成の政党と政治家たちからはもちろん、女性学界や女性団体からも透明人間扱いされるのが常です」
「女性の政治勢力化をはかって女性に代表としての権力を与えても、その力は外部の敵より内部の反対勢力との戦いに使われるのが現実です」
「もとよりそんな修羅場に足を踏み入れることもなく、巨大政党の非常対策委員長としてスカウトされた若い女性人材であっても、苦しい選挙戦の盾に利用されて捨てられるのです」

ともするとブックトークで私が言えなかったこれらのことまで、その場に参加していた女性たちは察したかもしれない。どうしても悲観せずにいられない状況は、彼女たちにとってもおなじみのものではないだろうか。
それでも金色に輝く日曜の午後、200名に達する人々がこのイベントに注目してくれたのは、自分と同じ問題意識と意志を持つ女性たちの存在を確認したかったからではないだろうか? 「シーシュポスの岩」(転がり落ちる大きな岩を山頂に押し上げる苦行が永遠に続く、ギリシャ神話のエピソード)のような戦いを繰り返さなくてはならないとしても、回避、そして棄権という選択肢は私たちにないのだと再確認したかったからではないだろうか?

故金大中(キム・デジュン)元大統領はこんな言葉を残した。

「私は勝利への道とは何か、敗北への道とは何かとはっきり述べることはできない。しかし必ず勝つ道もあり、また負ける道もある。勝利の道ではすべての人が公の場で、正しく政府を批判しなくてはならないが、それができない人は投票のときに悪い政党を選ばなければよい。そして多くの人々が悪い新聞を読まずに、デモに参加をすれば力が増してくる。小さな行動であればネットで意見を述べるのもよい。やろうと思えば実行できることはたくさんある。壁に向かって悪態をつくこともできるのだ」

7月10日は日本の参議院選挙投票日だ。女性にとって最も簡単で確実な必殺技は「投票」だということを忘れずにいよう。選びたい政党、選びたい候補者がいないって? 失敗する機会もなかなか得られない女性候補にチャンスをあげよう。女性候補すらいない地域だったら? 投票用紙に「女性には薔薇じゃなくて議席をくれよ!」とでも書いてやろう。

これだけははっきり言える。より多くの女たちが投票し、デモに参加し、ネットで意見を述べ、壁でもにらんで悪態をつくこと。それこそ美しく負け(散ら)ない*道だ。

キム・ジナ
作家、ウルフソーシャルクラブ代表  
*『薔薇はいいから議席をくれよ』の韓国語原題は『美しく負け(散ら)ないようにせよ』

アジュマブックス
https://www.ajuma-books.com/

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

울프소셜클럽(@woolfsocialclub)がシェアした投稿

Loading...
キム・ジナ

キム・ジナ(ジナ・キム)

コピーライター。イノーション・ワールドワイドのクリエイティブディレクターを経て2013年大韓民国広告大賞を受賞した。2016年江南駅殺人事件を起点にフェミニズムに目覚め、2017年春からフェミニズム空間「ウルフソーシャルクラブ」を運営している。2019年10月「女性新聞」の調査による「20代フェミニスト女性が目指すロールモデル」の一人に選ばれ、2021年4月、女性の党からソウル市長補欠選挙に出馬し4位の票数を得た。現在は日常に戻り、人生6毛作を構想中。
口コミだけで出版3カ月以内に5刷となった最初の本『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』(2019)以来2冊目のエッセイ『薔薇はいいから議席をくれよ』には、女性たちの「精神的勝利」でなく「現実的勝利」のための勇気と洞察力をくれる17の必殺技が載っている。

RANKING人気コラム

  • OLIVE
  • LOVE PIECE CLUB WOMENʼS SEX TOY STORE
  • femistation
  • bababoshi

Follow me!

  • Twitter
  • Facebook
  • instagram

TOPへ