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今週土曜日です! さしみちゃんと語る生理の話。障害のある女性から見た生理の「あたりまえ」を一緒に変えていくために。トークイベントのお知らせ

北原みのり2022.10.28

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大阪の大丸梅田店で「MOONDbyLPC」というお店を開いたとき、大阪在住のスタッフを募集したことがあります。3年前、2019年8月頃の話。何人かが応募してくれたのですが、その中の一人が、中久保希穂さんでした。
生まれたときからの脳性麻痺の障害があり、車椅子で生活をしている女性。社交的な性格で、接客の仕事をしたいと考えていたけれど、どんなに応募しても1度も採用されたことはなく、求められるのは家でできる事務ばかりだったという。

「どうしても接客業を諦められない」という中久保さんの履歴書を読みすぐに面接をしました。物怖じしない明るさや、テキパキとした応答の適確さで、会って数分で採用しましょう! と決めたのだけれど、中久保さんが百貨店で働くためには「しなければいけない」ことがいくつかありました。
たとえば大丸梅田店の従業員入り口は階段だけ。しかも、建物内で従業員が使うエレベーターは限られており、通勤時にもなると大変な混み方で十分単位で待たなければいけない。車椅子ユーザーが働くことがそもそも難しい、というか入店すらできない環境。これは大丸梅田店に限らず、ほとんど全ての百貨店の現実でしょう。
そこでまず大丸の社員の方々に、お客様のエレベーターを使って、オープン後に入店できるようお願いすることからはじまりました。百貨店のスタッフがお客様エレベーターを使うなんてあり得ない社会で、そういう「常識」を変える必要があったのです。
また、内装用に既に発注していた家具も見直さなければいけませんでした。というのも車椅子で働く中久保さんからすると、什器の高さが使いにくかったから。立っている人の目線からすればちょうどいい高さでも、接客をする中久保さんには使いにくい高さ。そこで什器の高さを中久保さんが手に取りやすい低さになおし、車椅子で動ける導線をつくることにしました。

車椅子ユーザー、障害のある人たちと共に働く、共に生きるということは、「私たちの当たり前」を丁寧に点検し変えていくこと。そんな「当たり前」のことを、恥ずかしながら具体的に動くことによって私は初めて実感として知りました。
そしてそれは環境のことだけでなく、私の会社が販売するバイブレーターや、月経用品などについても言えることでした。
バイブも生理用品も、ハッキリいって、車椅子ユーザーや手に麻痺のある女性たちにとって使い物にならないものばかり。それまで、車椅椅子ユーザー用の特別な生理用品というものがあるんだろうな・・・くらいにボンヤリと考えていたことが恥ずかしい。この社会は本当に驚くくらい、障害のある女性に向けた商品がつくられていない。トイレ介助が必要な女性向けの生理用品1つ、作られていないのです。

中久保さんとの対話を通して、障害のある女性の生理や、セクシュアルウエルネスをどのようにサポートできるか・・・ということを企業として考えなくて・・・と試行錯誤しているときに、「ミライロ」という障害者向けのサービスサイトと出会うことができました。
ミライロには多くの障害のある当事者が登録しています。そこでミライロさんの協力を仰ぎながら、彼女たちが生理をどのように迎えているか、何に困っているか、どのような生理用品を求めているのかなどのアンケートを取るプロジェクトを、今年の春にはじめました。156人の女性たちからの回答をいただき、このアンケート結果をもとに、これからどのようなことを私たちはできるのか、じっくり考えていきたいと思います。

というわけで!  ミライロさんの協力で取らせていただいたアンケート結果をもとに、その声をリアルにするために何ができるかを考えるイベントを行うことになりました。
そこで車椅子ユーザーでありYouTuberとして発信しているさしみちゃんとトークイベントを行います。こんなご時世なのでリアルでのイベントは難しいのですが、15人ほど会場にご参加いただけますので、どうぞミライロのページからお申し込み下さい。イベントの様子はYouTubeでオンライン配信します。
また近々、中久保希穂さんとのインスタライブも予定しています。中久保さんの高校時代が記録されているドキュメンタリーもぜひご覧下さい。コチラです!


イベントリアル参加ご希望の方は以下のリンクからお申し込みください

https://www.mirairo.co.jp/mirairo-house/event/event136_221029

当日のイベントは以下のYouTubeからご覧いただけます。ぜひご参加していただき、チャットなどでご意見、ご質問をお寄せください。

さしみちゃんと、先日打ち合わせをしました。
車椅子ユーザーであり、働く一人の女性として、性の話、生理の話をしていきたいというお話をしてくれました。
ラブピの中には、さしみちゃんのinstagramやYouTubeのフォローをしていて、さしみちゃんのメイクやファッションに憧れているというスタッフもいます。私とは世代的にかなり離れているけれど、さしみちゃんのインスタやYouTube見ていると色んな思いにかられます。車椅子のさしみちゃんが外出すると出会うリアル(車椅子に乗っているさしみちゃんがエレベーターに乗れない、中に乗っている人が誰一人降りようとしない様子など)に、想像力の欠如って暴力なんだな・・・と憤りを味わったり。ハードな美容整形をした後の様子を丁寧に報告している姿に圧倒されたりなど。さしみちゃんの世界をもっともっと知りたい、という思いが深まります。

どんな話ができるのかまだまだ未知数ですが、たっぷり1時間、さしみちゃんと話したいと思います。車椅子ユーザーも一人一人違う、障害が違えば困りごとも違う。でもまずはなにより話すことから始められたらと思っています。さしみちゃん、今週土曜日15時〜、どうぞよろしくお願いします。


■さしみちゃん
「身体ガチャ失敗」して車椅子で生活『障害者』は名前でも肩書でもない。『障害』もある、1人の等身大の私自身として生きる。をコンセプトに車椅子ギャルさしみちゃんとしてSNSで自身の生活を発信。これまで、自身のことを障害者・健常者どちらにも共感できず孤独を感じた経験から、自分も新たな側面から発信することに。美大を卒業後、グラフィックデザイナーとして働く側面も。
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCggFlA3Vu0kJJO8dYNsf3uw
Instagram:https://www.instagram.com/sashimi_channn/
TikTok:https://www.instagram.com/sashimi_channn/

■北原みのり
作家・ラブピースクラブ/アジュマブックス代表
女性が性を安全に、安心して楽しめる商品がほしい、と1996年にLOVE PIECE CLUB設立。2021年ラフォーレ原宿にフェムテック専門店を出店。シスターフッド出版社アジュマブックスを立ち上げる。性暴力に抗議するフラワーデモの呼びかけ人。著書に『毒婦。』(朝日新聞出版)『メロスのように走らない』(KKベストセラーズ)など多数。
Instagram:https://www.instagram.com/minorikitahara

 

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北原みのり

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めてフェミニストが経営する女性向けのプレジャートイショップ「ラブピースクラブ」を始める。2021年シスターフッド出版社アジュマブックス設立。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)・佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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