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「あなたの人生ですよ。この夫とこの先も生きていく?」

具ゆり2015.09.17

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秋ですね。汗っかきの私は夏が苦手。大好きなカーディガンを着て、これからはあちこち出かけようっと♪ウキウキです。 この季節が待ち遠しかった~。

フェミカンルームでのさまざまな女性たちとの出会いは、時に長いお付き合いになることもあれば、短期間で終了することもあります。
Eさんは、2年前にお会いした時、夫のモラハラとDVで満身創痍状態でした。

Eさんの相談:「うちの夫婦関係は変かもしれない。夫はすごく優しい人。でも、気に入らないことがあると、不機嫌になる。物にあたったり、大きな音をたてるから、怖い。朝までお説教されて寝かせてもらえないこともある。女性センターでDVだといわれたけれど、どうしていいかわからない。」

「夫のこと、本当はどう思ってるの?」
Eさんの夫は、生育歴において母親との葛藤があったようです。母親への愛情飢餓感で「私に母親を求める」人という。
夫はEさんが自分以外のことに関心を向けたり、他者と関係をもつことに、強い嫉妬と拒否を表しました。交際し始めた頃から、ことごとくEさんの行動を知りたがるので、気の休まる思いがしなかったそうです。結婚してからは、さらにエスカレートして、暴言も出るようになりました。常に気を使い、夫の顔色を見てご機嫌をとらないと意地悪をするのです。はじめは「それほど君のことが好きだからだ」と言われることを信じていました。「私が怒らせたから悪いんだ」と思って、夫に従っていたEさんでしたが、その執着心と粘着質な態度に、しだいに心身が疲弊してうつ病になります。当然のことですね。

そのうち、夫の顔を見ると過呼吸になるくらい状態が悪くなっていきました。
Eさんはもともと読書家です。彼女はこう言いました。
「殺人で何度も相手を刺す場面がありますよね。その犯人の心理や憎さがわかるんです。夫が何度もせきをします。それは私に聞かせるため。それを聞くと、頭の中で夫の手足を縛り、アイスピックで突く想像をしてしまうのです。」
夫のせきばらいはEさんへのマインドコントロールの手段でした。これほどの嫌悪感や憎悪感を増幅させる状況に追い込んだのは、夫自身です。ゆがんだ愛着行動が、大切な人を失うということを、まるでわかっていない、愛し方を知らない不幸な人なのです。

Eさんにとって、夫のDVを、その事実を認めることは辛く苦しいことでした。
自分が愛されていると思えた恋愛期、そして幸せな結婚のはずでした。夫の愛情はちょっと過剰だな、重いな、負担だなと思ってはいたけれど、ある意味満たされることもあったといいます。確かに幸せな時間もあったでしょう。すべてを否定しなくてもいいのです。
でも、夫のしていることはDV、モラハラであること、自分がモノのように扱われて支配されていること、夫の束縛と監視で自分を失っていることに気づき始めたEさんは、勇気をもって自分を取り戻す行動を始めます。

「自分に起こっていたことは何だったのかな? そこに気づけるといいね」
カウンセリングは自分を語ることで、自己探求・自己覚知・自己理解を深めていきます。
Eさんは、夫との交際から結婚にいたるまでを振り返りながら、本来の夫と自分の姿、2人の関係に向き合っていきます。

優しくて頼りがいのある彼氏だったこと、Eさんのやりたいことを応援して理解してくれる一方で、過干渉を負担に感じたこと、自分だけを見てほしいと一途な愛情を向けられてうれしかったこと、友人たちとは距離をとらざるを得なくなり疎遠になったこと・・・
そして、結婚。退職。

Eさんは「夫と2人だけの世界」で生きることになります。これは、孤立です。
一方で夫は、咳払い一つでEさんを思い通りに支配できる世界が確保できたのです。
夫は、アメとムチを使い分けていきました。
夫の「機嫌のいい・悪い」のスイッチは常に夫が握っています。Eさんは、彼の態度や言葉の裏を読まなければならず、何度も失敗します。そして叱られます。
当たり前ですね。意図して失敗させられるのですから。
そして、夫の思い通りになる忠実なしもべになるべく飼いならされていったのです。
Eさんは、その時々のエピソードを語りながら、夫のDVとモラハラのメカニズムに取り込まれていったこと、その学習性無力感の効果に徐々に気づいていきました。
「私が悪いと言われ続けてきたから、自分でも自信がもてなくなっていった・・・」
「だから苦しかったんだ、訳がわからなかったんだ、そうだったんだ」と。


「あなたの人生ですよ。この夫と、この先も生きていく? どうしたい?」
自分の意思を取り戻した人は強いなあといつも思います。それまでの恐怖感をのりこえて、行動して、変化を生み出します。
慌てるのは夫のほうですね。Eさんが自分の意思をもち、自分のことを決めて行動し始めると、下手に出たり機嫌をとるようになったり、泣き落としにかかったりと忙しくあの手この手で懐柔しようとしてきました。
Eさんには、かえってそれがこっけいに見えて、夫への恐怖心が減ったようです。

「私がどうしたいのか、決めていいんですね!?」

「大丈夫、自分で決めていいんです!」


夫の人生を生きるしかないとあきらめていたEさんでしたが、カウンセリングを通して自分の人生を軌道修正する決心がついたようです。私もちょっと背中を押したけどね。
今は、モラハラにありがちな様々ないやがらせを乗り越えて、無事「離婚」を勝ち取って自由を獲得しました。大丈夫、人生はいつだってやり直せるってことです。

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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