ラブピースクラブはフェミニストが運営する日本初のラブグッズストアです。Since 1996

  • TOP
  • 深井恵
  • ドラマや映画にみる、性の多様性と喫煙シーン

ドラマや映画にみる、性の多様性と喫煙シーン

深井恵2015.11.12

Loading...


先日放送が始まったドラマ「偽装の夫婦」。主人公が、男性同性愛者である夫と偽装の夫婦を演じるという設定だ。主人公に好意を寄せる女性同性愛者も登場していて、これまで同性愛者が登場してきたドラマから一歩前進した感がある。これまでドラマに登場してきた男性同性愛者の多くは、派手なメイクをして「女装」し、いわゆる「オネエ言葉」で語るといった、ステレオタイプがほとんどだった。
しかし、「偽装の夫婦」に登場する男性同性愛者は、メイクも「女装」もしない。一見、「普通」の男性に見える容姿で描かれていて、よりリアルだ。同性愛者が私たちの身近な存在として、あなたの隣で生活していますよと、好意的に描いているように思われる。
これからどんな展開になるのか楽しみだ。笑われたり、悲しい結末を迎えたりするこれまでの描かれ方とはひと味違った、ハッピーエンドを期待する。

「偽装の夫婦」に注目していたら、今度は「トランジットガールズ」という10代20代の女性の同性愛を描いたドラマも始まった。
まだ第一話を見ただけだが、ステップファミリーの義姉妹が恋愛に発展していくのだろうか。こちらのドラマには、10代の女の子が疑似恋愛として女性に対して恋心を抱き、最終的には男性への恋愛に目覚める・・・といった旧来の展開にならずに、ハッピーエンドとなることを、こちらも期待してしまう。
10代で同性愛者であることを自覚したら、誰にも打ち明けられずに思い悩む人も多いという。セクシュアルマイノリティの方は、自殺を考えたこともある人の比率が高いという。そのことも踏まえた上でのドラマであってほしい。

同性愛者が主人公のドラマが、立て続けに放送され、性の多様性を認められる社会が構築されつつある。惜しむらくはこれらのドラマが比較的遅い時間帯の放送であることと、「トランジットガールズ」に至っては、一話が30分ない短時間のドラマであることだ。女性同士の恋愛に対する興味本位のドラマではなく、人間性にも迫る内容だと嬉しい。今回のドラマが成功するれば、近い将来には、大人の女性同士の恋愛ドラマも放送されるのかもしれない。
アメリカで「Lの世界」が放送されたのが2004年だというから、それから10年ちょっと。日本はアメリカの10年後に流行が訪れることが多いという法則(?)が、ここでも成り立っているのかもしれない。

時を同じくして、渋谷区のパートナーシップ条例による証明書の発行が開始され、元タカラジェンヌの東小雪さんと増原裕子さんが第1号となった。
性的少数者の差別解消を図り、性の多様性を促すこの制度は、世田谷区でも開始されたらしい。他の複数の自治体でも同様の条例が成立の方向で進んでいる。いまは都市部でのことだが、今後、同様の条例が全国各地で増えて行き、将来は民法改正にもつながっていくことになるのだろうか。

このパートナーシップの証明書、20歳以上の男女が署名押印するだけで提出できる婚姻届とは違い、互いが愛情と信頼に基づく関係であることを記した公正証書等の作成が条件だという。お手軽に出せるものではなさそうだ。
そういえば、婚姻届は365日24時間受け付けていたはずだが、パートナーシップ証明書は役所の開いている通常の9時5時が受付時間だろうか。証明書には法的拘束力はないというし、まだまだ「異性同士の婚姻手続き」と同じとは言いがたいが、まずは初めの一歩を踏み出したと言えるだろう。

女性同性愛の話といえば、ジュリエット・ビノシュ主演の映画「アクトレス」を先日観た。この映画も同性に惹かれる女性を描いている作品で、劇中劇のような設定だが、映画を観ていて気になったのが主人公たちの喫煙シーンの多さだ。
実はこの喫煙シーン、何もこの映画「アクトレス」に限らず、最近目にする映画やドラマで頻繁に見かけるようになった気がしている。自分自身がタバコを吸わないので、たばこには非常に敏感に反応してしまうのだが、喫煙者が周りにいなくなったことと反比例して、映画やドラマで喫煙シーンをよく見かけるようになった気がするのは、気のせいだろうか。
スポンサーになっているのか、補助金でも下りているのか、全くその当たりの事情は知らないが。

例えばドラマ(映画も)「MOZU」でも主人公の男性がタバコを吸っているシーンが映し出されるし(しかも一人ではなく複数の登場人物がたばこを吸っている)、「HERO」でも主人公がタバコを吸うシーンが何度も映し出される。俳優自身が禁煙者だと、喫煙シーンはさぞかしつらいだろうな・・・などと想像してみたりする。
先日観た映画「赤い玉、」でも主人公はヘビースモーカーで、何度も喫煙場面が出てきた。以前からそうなのか、最近そうなのか、詳しいデータはないのでなんとも言えないが、一つはっきりしていることは、タバコ自体のCMができなくなったこと。

CM禁止になって10年は経つようだが、タバコ自体のCMができないから、「喫煙マナー」のCMで、かろうじてタバコの存在をアピールしている状態が、今日のテレビCMや電車の広告なのだろう。それらを見る度に、タバコ会社にマナーについてとやかく言われたくない・・・などと思ってしまうのだが。

そんな視点で見れば、タバコに限らず、番組の中に宣伝が入るようになってきて久しい。食べ物番組も旅番組も、天気予報でさえも宣伝に利用されている。ケーブルテレビでドラマを見ていて、別のドラマの宣伝がバナーで勝手に入ってくるといった場面もある。
ドラマや映画を見ていて、宣伝に振り回されずに素直にストーリーや登場人物だけを追っていく、そんな素朴な見方ができにくい時代になってしまった。

Loading...

深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

RANKING人気記事

Follow me!

  • Twitter
  • Facebook
  • instagram

TOP