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子どもたちの性虐待被害こそ、潜在化したままに隠しとおされている事実

具ゆり2016.02.18

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女性のための困りごと相談をはじめ、DV専門相談など、無料の女性相談は、今ではほぼ全国の自治体に設置されるようになりました。この20年で女性支援、子育て支援制度も進んだといえます。一方で、民間のフェミニストカウンセリング(有料)に、DVや虐待被害、性暴力被害の当事者が来られるのは、珍しいことではありません。

ご存知でしょうか? DVも虐待も、毎年の認知発表件数グラフはほぼ同じ傾きの右上がりです。DVの裏には虐待があることは明らかですね。

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全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数(H25年度速報値)は7万件超え。
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でも、問題は中でも特に深刻な「性的虐待」が見えていない点です。
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子どもたちの性虐待被害こそ、潜在化したままに隠しとおされている事実がどれほどあるか、LPCの読者なら、想像していただけることでしょう。

被害は、まだ幼児期、児童期だったり、思春期だったりします。子どもにとっては、自分に何が起きたのかわかるはずがありません。ただされるまま、恐怖と痛みを抱えたまま放置されていたケースがほとんどといえるでしょう。誰かに気づいてもらわないと、誰かが子どもの異変に気づいて助けてくれないと、子どもはその被害を繰り返し受けてしまうというのに・・・。
無防備で、無力で、無知な子どもを狙う悪質な犯罪だというのに、気づかなかったり、気づいても見てみぬふりをする無責任で残酷なおとながいることも事実です。

「性虐待」被害を誰にもいえないまま、からだの、心の奥底に沈めてフタをしたままの「秘密」は、決してなくなるものではありません。記憶そのものを封印して欠落させてしまっていることもよくあるのです。
放置されたままでは、そのトラウマがさまざまに形を変えて、被害者を痛めつけ苦しめ続けます。生きる気力やエネルギーが感じられなくなる、「消えてしまいたい」「死にたい」と考えてしまう、存在価値そのものをもてなくなる。なぜそんなふうに考えてしまうのか、本人自身がわかりようもなく、自傷行為で、薬物で、アルコールで、あるいはセックス依存で・・・何かで切り抜けようとしたりもする。確かに、そんな行動は周りから理解されないことでしょう。そんな問題行動を繰り返す自分を責めて、本人はさらに苦しんでいることもあります。医者が本当の問題を理解しないまま治療を続けていることも多く、対症療法だけで解決できないのが性虐待被害のトラウマ治療なのです。

長い年月を経て、自ら語り始めた人たちは増えてきたと思えます。
「なぜ、そのことに誰も気がつかなかったのでしょう? 子どもの変化になぜ気づけなかったのでしょう?」
そんな疑問を持つ人は多いのですが、
子どもが、なぜそれを誰にも打ち明けないのか? 秘密にさせられてしまうのか?
それは、多くの場合が、相手が知っている人間で、それもごく身近な人だからです。
実の父親、兄、おじ、いとこ、母親の恋人、祖父、近所の人、そして教師・・・
たまりませんね。

ほとんどの加害者は、自分の悪事がばれないように、用意周到です。ましてや、ばれたときのうそ、開き直りも役者が格段上です。そして、たいていの子どもは脅され、だまされ、言いくるめられて、秘密を守らされ、声をあげられず、そして繰り返し被害を受けています。残酷なことに、子どもは自分が誰にも言えないことへの罪悪感を持たされます。

カウンセリングを始めたからといって、そんな当事者との面接は一筋縄ではいきません。こちらの気配や様子にも敏感です。自分の感情を麻痺させて、生き延びてきた人が、自分の一番触れたくない記憶と対峙していくのです。一度にフタを空けたら、何が飛び出てくるかわかりません。
長年の苦しみがどこから来ていて、何だったのか。その痛々しい事実を記憶の外に押し出そうとする被害者が、自分におきた残酷な事実に向きあうことは、やっぱりとても恐ろしいことです。受け入れがたいことだからこそ、忘れて、消し去って症状や自傷行為で切り抜けてきたのです。でも、ここに来たこと、出会ったところから、やっと始めようとする勇気と覚悟はある、それを信じて向き合います。

「人は無意味に“死にたい”“消えたい”とは思わないはず。
やっと考えられるときが来たんじゃないですか? あなたは何一つ悪くない。もし、そう思えないとしたら、誰のせいかな? 卑劣で、姑息な相手を許す必要もない。ゆっくり始めていきましょう」


・・・まだ、どこか遠くで言われているように感じているかもしれない・・・それでも、少しずつ、ゆっくり、現実感がもてるように。自分が悪いと思わなくてもいいんだ、本当にそう自分で思えるようになるまで。何度も何度も、自分の苦しみを外に放り出して話してみる。麻痺した感情をゆるめてみる。不当なことには怒ってもいいんだと自分を許していく。サバイバーとしての再構築には時間がかかることでしょう。

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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