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ドキュメンタリー映画『日本と原発4年後』 ~フクシマから目を離さずに~

深井恵2016.06.09

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 久しぶりに東京へ行って、ちょうど上映されていたドキュメンタリー映画『日本と原発4年後』を観た。この映画は、これまでに二十数件もの原発訴訟で原告住民側の弁護をしてきた、弁護士の河合弘之さん自らが映画監督を務めたドキュメンタリー映画だ。

 いま、この時間にも、福島では、原発事故の処理に多くの作業員が働いており、放射能に汚染された地下水は海へ流れ続け、「除染」された表土が処理されずに山積みになっている。「アンダーコントロール」などと言えた状態でないことは、周知の事実のはずなのだが、原発事故から4年以上が経ち、多くのマスコミや人々の記憶から、原発事故が風化していっているように思えてならない。東京オリンピックを控え、「なかったこと」にしたがっているようにさえ思える。

 映画『日本と原発4年後』は、いまなお続いているフクシマの現状を伝えるとともに、裁判で闘って「原発の運転差し止め」を勝ち取ってきた草の根の運動の現状も伝えている。大地震が起きようと原発の運転を止めなかったという現実、新たな再稼働を進める動きをなかなか止められない現実を前にして、「もうこの国はダメなのか」と諦めかけていた気持ちを、奮い立たせてくれる元気の出る映画だった。

 4月の熊本・大分地震の報道でも、鹿児島県の川内原発と愛媛県の伊方原発について、ほとんど触れられていなかった。南海トラフ等、今後の大地震が発生する予想が出されても、川内原発や伊方原発がどのような影響を受けるのかといった報道は、ほとんどされていない。福島の原発事故と同等の事故が起きれば、西日本も放射能汚染が広がり、日本国内に安全な生活を保障できる場所が激減してしまう。にもかかわらず、フクシマの教訓は活かされていない。

 テレビニュースでは都知事の政治資金の使途を巡り大騒ぎ。なぜ、いまこの時期に、都知事に就任する以前の政治資金の話が取り沙汰されるのか。情報公開がこの時期になったのか。都知事としてふさわしくない資質の持ち主なら、都知事選の時に報道されてもよかったのではないか。国民の目を何かからそらすためではないか。桝添さんを推した自民公明は何の責任も追及されなくていいのか。さまざまな思いがよぎるが、真意はどうなのだろうか。

 2016年6月6日(月)福島民友新聞の報道によると、初めて5歳以下の子供の甲状腺癌が確認された。その報道によると、「県と福島医大は6日、福島市で県民健康調査検討委員会を開き、東京電力福島第1原発事故発生時18歳以下の県民を対象にした甲状腺検査2巡目の本格検査(3月末現在)を報告した。福島医大によると、がんや『がんの疑い』と診断された57人は男性25人、女性32人で腫瘍の大きさは5.3~35.6ミリ。事故当時の年齢は5~18歳で、初めて5歳の子ども1人が確認された。検討委は中間取りまとめで『事故当時5歳以下の発見がないこと』などを理由に『放射線の影響とは考えにくい』と評価していた。星座長は『現段階で放射線の影響かどうかは判断できない。科学的な分析が必要だ』とした。また、福島医大は1巡目の検査を受けた約30万人のうち、がんや「がんの疑い」と診断されたのは116人(手術で良性と確認された1人を除く)で、このうち101人ががんと診断されたと説明した。」という。

 この事実をもってしても、「放射線の影響とは考えにくい」と言いつづけるのだろうか。この事実を多くの国民に知らせようと、報道は動いただろうか。私たちはフクシマから目を離さず、我がことのように向き合っているだろうか。

 リーマンショックを引き合いに出し、サミットを政治利用し、「新しい判断」などと言葉巧みに自らの責任をかわし、消費増税を先送りにして支持率を維持し、なんとしてでも議席を減らすまいと躍起になっている安倍政権。その背後には憲法改悪が控えていることを、「第三者の厳しい目で」、いや、当事者としての厳しい目で、チェックしていかねばなるまい。

 7月16日から東京のユーロスペースで、3・11フクシマ原発事故当日、首相官邸で何が起きていたのかを描いたジャーナリスティック・エンターテインメント映画『太陽の蓋』が上映される。当時の政権、菅内閣の政治家は全て実名で登場、「『あの日』をセンセーショナルにあぶり出す」という。いまなお収束していない原発事故のことを、一人でも多くの人の心に留めておける、そんな映画だと期待して、来月も東京に行ってみよう。

『日本と原発4年後』


『太陽の蓋』


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深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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