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最近韓国ではオタク業界を中心とした魔女狩りが流行っています。それはある声優さんの解雇事件から始まりました。2016年7月18日、声優キム・ジャヨンさんはGirls Do Not Need A PRINCEと書かれたシャツを着た写真をSNSに載せます。そして韓国のフェミニズムのサイトであったメガリアに「ミソジニーに対抗するサイトだと思っています」と意見を表明しました。それに対して韓国の男たちは大きく激憤、それでも彼女は「私は自分が間違っていると思わないし、そもそも何かを釈明する必要があるとも思えない」と自分の頭を下げることはありませんでした。それによって大手のオンラインゲーム企業ネクソンは彼女を専属声優から下ろすことを決定。全ての収録が終わった後だったため、ギャラは支給済みだといいます。

それからちょうど7年が経った今年2023年の7月、プロジェクトムーンのゲーム「Limbus Company」の女性イラストレーターが解雇になりました。彼女が解雇になった事件の発端はこうです。7月21日、プロジェクトムーンは自社のSNSにリンバスカンパニーのある女性のキャラクターのイラストを載せます。男のユーザーたちはこの海女の服装をしたイラストを見た途端、「女のキャラの露出が少ない。これはきっとプロジェクトムーンにフェミニストがいるのだ」と激しく抗議しました。そして女性のイラストレーターをターゲットに個人のSNSをベースとした身元調査に入りました。そこで彼らが見つけたのは、盗撮や性犯罪に反対するデモに関するツイートの引用、護身用アイテムへのイイね! をした履歴、またガラスの天井や女性嫌悪に関する皮肉に関して書かれた文章をリツイートした痕跡でした。そのうちいくつかは既に削除されたツイートだったが、男たちは削除されたツイートが見られるプログラムまで使って彼女のTwitterを徹底的に調べたといいます。それにより専属イラストレーターだった彼女は不当解雇。会社側は会社への名誉棄損だとし、社内ルール違反であり契約違反としての正当な解雇だと表明しました。

そして先月の2023年11月、長年のファンが大勢ついているネクソン社のメープルストーリーというゲームのある動画が公開されることで、ネットはまた炎上しました。ダンスを踊っている場面の手の仕草が「男性嫌悪の象徴である」とのことでした。人差し指と親指を近づけているようなこの仕草は「韓国の男のペニスは小さい」とあざ笑うフェミニストたちのサインだとして、許されてはいけない犯罪と同様と知られています。そこで韓国の男性たちの探偵ごっこはまた始まりました。彼らは該当ゲームのイラストを担当していたスタジオプリのイラストレーターたちのSNSを調べました。そしてそこに所属するイラストレーターTOMOGYさんがフェミニズムに同意するツイートを一つリツイートしたのを見つけ、彼女は悪徳なフェミニストだと騒ぎました。ネクソン社は「私たちは全ての嫌悪に反対します」と言う意思を表明、最善の対応をすることを約束しましたが、そこで言う「全ての嫌悪」の中に女性への嫌悪は存在しませんでした。騒ぎはそこで終わりません。彼らは彼女が担当していた他のゲーム、エターナルリターンにまでケチをつけました。該当ゲームの開発者であるNimble Neuronは速攻彼らの意見を受け入れ、彼女が作ったゲームアイテムに関して全額払い戻しをすると公表しました。

魔女狩りのターゲットとなったTOMOGYさんは「当時は女性嫌悪事件が相次いだため、誤ってリツイートをしてしまっただけ。私は反フェミニストです」と長文の謝罪文を発表しました。もちろんその謝罪によって変わることは何もなく、女性嫌悪の動きが成功したことをミソジニーの男たちが確かめただけでした。彼らは「所詮仕事がなくなることを恐れて謝るふりをしているだけだろ?」「最初からフェミニズム思想なんかに染まらなきゃよかっただけの話だ、自業自得さ」とあざ笑い、多くの女性たちは「悔しいけど私でも生計がかかっていたらああ言うしかないと思う。彼女を責められない」と不当解雇で女性が屈辱を受けたことに対して納得する様子でした。韓国でラディカルフェミニストと呼ばれている女性たちは「そこで謝るのは間違っている。男たちの魔女狩りに頭を下げても何も解決しないし、長期的により多くの女性たちが被害に遭うことになってしまう」と恐れています。

そして彼女たちの心配は的中しました。メープルストーリーの曲に参加した声優さんも同じく魔女狩りのターゲットになり皆に謝罪。彼女がターゲットになった理由は7年前のSNSでキム・ジャヨン声優を支持する内容のツイートをリツイートしたリツイート罪です。

しかし今回の事態になった例のアニメはスタジオプリで書かれたわけでもなく、外注した全く違う会社のイラストレーターが書いたものであって、しかも男性イラストレーターによるフレームだったことが分かりました。また該当シーンは手の動きを自然につなげるためたった0.1秒挟まれたフレームに過ぎません。「その誰もわからないような0.1秒でフェミニスト思想を伝播しようとしたからより悪質だ」と主張していた男たちは、もうそれについては触れていません。最初から、女性の人権を訴えた方が悪いとただただ女性のイラストレーターをけなし、たたき落とし、女性の命綱を弄ぶことに快楽を感じているだけです。

韓国の男たちはフェミニズム思想検証と言う騒ぎで色んなものを手に入れました。何も悪くない女性から謝罪をされることでの優位占有、いつでも自分たちの気に障れば女性をクビにできるという男性権力の再確認、女性の人権を訴えると社会的に殺されてしまうかもしれないという女性たちの恐怖、それによる自然な順応、そして「そのままじゃダメだ」と頭を下げる女性たちを批判することでより大きくなる女性同士の葛藤まで。彼らの完璧な勝利です。

実際の魔女狩りが行われていた昔と何も変わっていません。男たちはいつでも気に入らない女性を殺すために色んなデタラメを言い、言い訳をつけ、魔女狩りをします。女性たちが自分は魔女じゃないと否定すればするほど、より残虐な拷問は行われ、男たちは女性を支配しようとします。今回はオタク業界だけで行われたこの魔女狩りは、そうやって順応してしまった女性たちをターゲットに徐々に徐々にと、他の業界に広まって行くでしょう。

だからこそ女性たちはフェミニズムを手放してはいけません。反フェミニスト宣言は何の役にも立ちません。自分の首を絞めるだけなのです。女性自身が人権回復から手を離してしまったら、女性の人権は底なし沼に墜落していくのみであって、たどり着く底なんて決してありません。こういう時こそ女性たちは協力しあわなければならないのではないでしょうか? 一人、二人じゃ何も変わらないかも知れない。でも私たちは人類の半分は女性でもあることを忘れているのではないでしょうか? 女性の皆さんがフェミニスト宣言を恐れないときこそ、この世は変わっていくのではないでしょうか?

私はこの場を借りて再びフェミニストであることを宣言します。だから皆さんも是非力を合わせてください。

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JayooByul

JayooByul(じゃゆびょる)

JayooByul (ジャヨビョル)日本のお嫁さんとオーストラリアで仲良くコアラ暮らしをしています。堂々なるDV・性犯罪生存者。気づいたらフェミニストと呼ばれていました。毒娘で幸せです。

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