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第11回「よしこおばさんへの手紙」

野沿田よしこ2015.09.15

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私の名前はよしこ。でも“よしこおばさん”となってこそ“私”であると人は言います。なぜ“おばさん”なのか?誰かの“おばさん”というわけではな く、 “おばさん”=加齢具合を表現しているわけでもありません。私の行動が“おばさん”以外では成しえないものであるからです。私の趣味は人の恋愛話、セックスの話を聞くことです。と、いってもガールズTALK的に盛り上がり話し、その場で共に聞くようなスタイルでは楽しめないのです。あくまでのぞき聞き、のぞき見すること、百歩譲って1対1で根掘り葉掘り的なTALKが好きなのです。

“人の話を聞く”“心の中や状況を探る”という力はどうやら“おじさん”“お兄さん”“おじいさん”には装備されていないようです。“お姉さん”と呼ばれる人達には盗み聞きする根性がないようです。そして“おばあさん”には興味と能力はあっても、盗み聞きできるほどの聴力がなかったり、長時間粘れる脚力が なかったり。でも、体力的にまだその余地がある。それが“おばさん”なのです。

と、いうことで、11回目の「よしこおばさんは見た!」よろしくお願いいたします。前回、ご紹介できなかった、読者の方からのありがたいメッセージをご紹介させていただきます。


突然のメール、失礼いたします。

とんでもございません。

時々、サイトを利用させていただいており、コラムも拝見して、とっても共感できました。

あらあらどんなバイブがお好きですか?

更新を楽しみにしています。

今週はちょっと送れてしまいまいてすみません。

相談というか、述懐というか、適切に表現できませんが、聞いてくださいませ。

とても楽しみです。

私は現在42歳。会社員です。私は、2回結婚しました。1回目は、初恋のひとと20歳で。2回目は、41歳で。恋愛経験は、この2回。その2回ともが不倫でした。1回目は、高校生の時に出会った歳上のひとでした。お付き合いするまで、結婚していることに気が付きませんでした。奥様も同じ職場でしたが、別姓で、奥様も結婚を隠しており、つまりは離婚協議の只中だったのです。初恋が、不倫なんて本当にショックでした。彼はその後離婚し、私が20歳になるのを待って結婚しました。

結婚して、子供をもうけ、一途に夫を愛し、ずっとこのまま歳をとって、子供の成長を楽しみにして孫の世話をして。姑の介護をし、いつかは歳上の夫を見送って死ぬと思ってました。そんな人生で良いと思ってました。それが一番大切だし、まっとうだと。普通の家庭が一番大切で一番難しい。それが、39歳の時、職場で出会った年下の男性とダブル不倫。お互いにわかっていても感情を抑えることができませんでした。まさか、自分がそうなるとは思いませんでした。当事者にしかわからないことってあるのか。わかりたくなかったけど。
相手にも家庭があり、私にも守るべきものがあったのに、一時の気の迷いとか、魔が差したのではなく、本当に好きになってしまいました。

倫理観や、正義や、世の中のまっとうなこと全てに苛まれ、苦しくて、どうにもなりませんでした。夫や子供を裏切った罪悪感。後悔。でも、彼に惹かれてしまう。
もともと拘束したがる夫にモラハラやら無理矢理Hさせるセクハラやらを受けていて、もう、Hなんてしなくても良いと思っていました。触られるのがイヤで。
と、いうか、初恋で結婚したので、男のひとってこういうものかなあ、と思っていたのです。子供にとっては良き父親でしたし。お付き合いした年下の彼は人柄も、ですが、Hも、しっくりくるというか、初めて快感だと思いました。本当に好きなひとに触れられるとこんなに感じるんだと。セックスや、性って、かなり大事だと改めて認識しました。彼との関係が家族に露呈し、夫婦関係は破綻。私は家を出ました。

その後、離婚。私の離婚が成立した1年後に、お付き合いしていた彼が離婚。
私は2回目の結婚をしました。いまは、二人でそれぞれの子供の養育費を送りながらの生活です。時に昔のことを思うと、特に子供の心に残した傷を思うと、やりきれない気持ちになります。私の人生そのものが間違いを基盤にしていると思うと、本当に情けないです。けれども、そう思うこと自体、今、私と共に生きることを選んだ一緒に居る彼に失礼だし、申し訳ないように感じます。いまは、1日1日を出来るだけ大切にしています。毎日、一番大切なひとにおはようとおやすみなさいを一番そばで言える幸せが何よりだと思っています。どこまでいっても、心に引っ掛かりがあって、堂々と生きることはもう気恥ずかしくて出来ないけれども、今の夫に出逢えたこと、さらには、今まで出会った全てのひとに感謝してます。

友人は、2回ともが不倫で両者と結婚するなんて信じられない、と言います。
私も、信じられない気持ちです。誰からも理解されないだろうな、とも思います。
沢山のひとを傷付けてよくものうのうと生きてられるな、と自分でも思います。
こんな私が情けなくも望むことは、こんな私でも、いつか、はればれと笑って生きて行きたいってことです。今はお仕事を頑張って、頑張って、学費を仕送りして、子供達の夢が叶う頃には、少しは罪滅ぼしができると良いと思っています。

わたしは、よしこさんに、ダメ人間って叱ってほしいのか、そうでないのか。あるいは両方かも。うーん、分からなくなってしまいました。変な開き直りもあるんです。
人生何でもあり。間違いはある。それでも、言い訳しない、潔い生き方ができたらいいな。って。よしこさんはどのようにお考えですか?
拙いメール、読んでくださって本当にありがとうございました。



ありがとうございます。匿名希望さん。
匿名希望さん、私はあなたの顔も声も知りませんが、エプロンの似合う女性でしょうね。
1回目の結婚の時、匿名希望さんはエプロンをかけ、どんな時も家族のために働き笑みを浮かべることが幸せというものだと思っていただのではないでしょうか?
私は、このような現象を

“白雪姫と七人の小人たち現象”

と、名付けております。
よく、見かけませんか?庭先にいる陶器でできた白雪姫と七人の小人達。ワンセットの8人が円を描いて花を囲んでいたり、時には玄関先で一列になっていたり、実は私、この8人組の陶器を飾っている家を覗き見することを日課としているんでございます。どうでもいい情報ではございますが、私はココロの中で“白雪姫と七人の小人たち”を“チーム姫”と呼んでおります。奥深いチーム姫。熱く語りたいところですが、ここは“白雪姫と七人の小人たち現象”に戻りたいと思います。

私は、この陶器には本物の魔法が掛けられていると思っています。妖気が漂っているのです。「私は幸せ」と、家族の幸せをチーム姫で表現している人、アピールする人、そして自分自身に暗示という魔法をかけている人。いずれにせよ、魔法の根底には、家族神話に横たわり、家族に囲まれ子育てすることが“女の幸せ”という価値観が陶器の80%を占めているように見受けられるのです。家事や子育てで苦労しても、小人のように微笑みニコっ。そして満足しないセックスでも「しょうがない。そんな喜びを求めるなんて恥ずかしい、セックスは子供を作るためのもの、欲望なんてダメダメ私は白雪姫なんだから」と、スカートの裾を持ち、くるっと回るようなそんな人生。それが“白雪姫と七人の小人たち現象”なのです。

しかし、その現象にはかなりレアなケースで例外が存在するのです。家族神話の中にいる自分を客観視しながら、そんな主人公になっている自分を楽しめる方、また “そういう生活を送る自分”をどこか遠目で観察し、苦労も幸せのエピソードも自分で気がつかないうちにストーリーテーラーのごとく脚本を手掛け、演出、出演もこなすバイプレイヤーとなっている特殊能力を持つ方、そんな方がレアなケースの主人公です。

“レアケースの探し方。そんなお家はチーム姫が教えてくれる説”
を私は説いております。個性的なチーム姫の置き方としている家は、きっとレアケースに当てはまる奥様なのです。なんせ、アピール力が半端ない!圧倒的な自己主張なのです。3・3・1の戦隊を組んで、戦さながらの様相を見せているチーム姫。にらみ合う4対3の小人。それを笑って傍観する白雪姫。小人の笑顔は残虐な軍人のようで、白雪姫の微笑みは企みと血の匂いで高揚しているようでございました。兵器を持たずしても、戦を起こせるこのチーム姫を再編した奥様は只者ではありません。今思ったのですが、これはもしや安保法案に反対する社会運動?!
最近見つけたお家は、1週間に一度、位置やコンセプトが変えられ、今週は、みんなで駐車場の車を見つめていました。40代の夫のものであろう家族を乗せるには不向きな90年代に流行った青い改造車はチーム姫のせいで、車庫から出られません。これはもやは、庭の装飾などではなく、女性の心の叫びを表現したアートではと思うほどの完成度でした。

匿名希望さん、勝手な推測でごめんなさい。というか、推測してしまいすみません。よしこのたわごとだと思って読んでくださいまし。でも、私、思うんです。匿名希望さんの1回目の結婚は白雪姫と七人の小人たち現象”に囚われた結婚生活を送っていたのではないでしょうか?しかし、その現象化の中にあっても、匿名希望さんは実は元々レアケースに入る、キャラクターの持ち主なのではないでしょうか?幸せにも苦労にも溺れず、自分を客観視できる能力を持ちながらも、チーム姫の一員であることを望む癖も持つ。しかし、根本は自由人。実は欲望に忠実な方なのではないでしょうか?けしてそれは悪いことではありません。子供に対する想い、申し訳ないと思う懺悔の言葉。その痛みの深さの中でも、あなたはきっと、冷静に自分の声を聞くことができる能力も持っているのではないでしょうか?

匿名希望さん、私はもしあなたがチーム姫を飾ったらどんな庭になるか、本当に見てみたいです。きっとすばらしい庭になるでしょうね。今の結婚のベースにも、“白雪姫と七人の小人たち現象”が横たわっているように私には見えます。しかし、その中にも、あなたにはあなたの生きる力、自分を見失わない能力が備わっているのではないでしょうか?

しかし、匿名希望さん魔女の魔法をあなどってはいけません。“家族=幸せ”“家族や夫のための苦労ならがんばらなきゃ!それが本当の幸せ!”そんな価値観が、あなたを包む日が来るかもしれません。魔法はいつ何時、あなたの心とカラダを奪うかもしれません。でも、匿名希望さんならきっと、そんな魔法を振り払えるはずです。だって、あなたの手には、魔法除けのラブピースクラブのグッズがあるのですから。

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野沿田よしこ(のそえだ・よしこ)

年齢敢えて不詳。私の名前はよしこ。でも“よしこおばさん”となってこそ“私”であると人は言います。なぜ“おばさん”なのか?誰かの“おばさん”というわけではなく、“おばさん”=加齢具合を表現しているわけでもありません。私の行動が“おばさん”以外では成しえないものであるからです。
私の趣味は人の恋愛話し、セックスの話しを聞くことです。と、いってもガールズTALK的に盛り上がり話し、その場で共に聞くようなスタイルでは楽しめないのです。あくまでのぞき聞き、のぞき見すること、百歩譲って1対1で根掘り葉掘り的なTALKが好きなのです。
“人の話しを聞く”“心の中や状況を探る”という力はどうやら“おじさん”“お兄さん”“おじいさん”には装備されていないようです。“お姉さん”と呼ばれる人達には盗み聞きする根性がないようです。そして“おばあさん”には興味と能力はあっても、盗み聞きできるほどの聴力がなかったり、長時間粘れる脚力がなかったり。でも、体力的にまだその余地がある。それが“おばさん”なのです。 

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