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 寒くなってくると、
 最近はハロウィンだーと町中がオレンジ色に染まるけれど、
 バブル時代はハロウィンなんて楽しまなかったわよね。

 寒くなってくると、一夏の恋を終えた狩人が、
 十分休息も取って充電完了した身体を野に放つ。
 クリスマスの獲物を探しに。
 それが今の季節。

 だってバブル時代のクリスマス、盆や正月より大切なイベントだったもの。

 シティホテルは満室。
 おしゃれなレストランも満席。
 高級アクセサリー店はてんてこ舞い。
 キラキラ光る場所はどこもカップルで埋まり、
 街は一年で一番浮き足立っていた。

 彼女ができるかどうかわからないのに、
 1年も前から高級ホテルの宿泊をリザーブした男の話。
 実話なのか都市伝説なのかわからないけれど、よく聞いた話。

 「クリスマスイブに彼氏がいないなんて、ひとりなんてありえない!」

 未だわたしを縛る呪いの言葉。いやホント。

 バブル弾けて何年経つのよ!
 もうひとりでホテルも泊まるし、
 レストランも行くし、
 アクセサリーは好みのものを自分で買いたい!とまで大人になっていても、
 当時の呪いはまだ有効。

 彼氏がいないクリスマスには、
 SNSにすら登場せず外との連絡を遮断し、
 大掃除したりマッサージしたり自分の周りをひたすら磨き、
 ひとりで過ごしているという現実から逃れようとする。
 これもちろんわたしの実話。

 普段は男が居なくちゃ死んじゃう〜という生活を送っていないけれど、
 やっぱり冬は人の温もりが欲しいわぁ〜。
 彼氏捕まえて見せびらかしながらデートしたいわぁ〜と思ってしまうのだ。

 生き物として発情期の春より、
 彼氏とデートするクリスマスの方にヴァギナが反応してしまうのは、
 ホイチョイの洗脳の力ってすごいと改めて思うね全く。

 クリスマスディナーって、
 一年に一度これから盛大にセックスしますよーという告知でもあり、
 自分たち以外目に入らない非常に視野狭窄な時間。

 あるクリスマスイブ、東京の有名レストランに女の友人同士で行った。
 とても美味しそうなクリスマスディナーのインビテーションを頂いていたので
 (というのが大きな名目だが、この年クリスマスを過ごす男の狩りに失敗していたのだ)、
 2〜3回転目ならばきっとカップルも少ないと思い行ったのだが、
 見事カップルの巣窟。
 それもレストラン慣れしていないカップルばかり。

 観察。

 お肉料理になってもまだ乾杯のシャンパンを飲んでいるのは、

 酒が弱いのか、
 緊張して飲むのを忘れているのか、
 話に夢中なのか、
 酒を飲みすぎるとこの後のセックスに響くから控えているのか、
 お金が無いのか、
 ワインを頼むという知識が無いのか、
 料理とワインのマリアージュという最高の食事の楽しみ方を知らないのか、
 兎にも角にも、星付きレストランで何たる冒涜か!とわたしは大怒りしてしまった。

 食事ってエロい。
 特にレストランでの食事ってとてもエロいと思う。

 クリスマスイブのディナーはもうその後のセックスにしか直結していないから、
 ある意味エロくもなんとも無い。

 上手にドアを開けてくれたりとエスコート上手な男がいたら、
 昨今そんな男性にとんとお目にかかっていないからそれだけでキュンとするし、
 まんこの反応も始まる。
 そう、レストランでの一連は女性をどのように考えているかが即座にわかる、
 男の女に対する踏み絵と同じなのである。

 ワインの知識も無いよりあった方が粋だし、
 サービスマンにお礼が言えたりキャッチボールできるというのは、
 社会性の高さと賢さだし。

 もちろん相手との会話も然り。
 何も上品なことを話すのではなく、
 下ネタもいかにその場に合わせて話せるか、脳みそが問われている。

 カトラリーのさばき方、食べ方、咀嚼の仕方、全てが、
 その人がどのように毎日食べて何を選んで命を繋いで己を形成してきたかの歴史そのものだし。

 食事というのは、その人そのものを表すといっても過言では無い、とわたしは考える。

 初めての男とのデートのとき、
 食事の仕方や会話にグッときたら、男のセックスに興味が出る。
 どんな風にこの男をおとしてやろうかと、断然食事も楽しくなる。

 焼肉を食べるカップルはエロい関係というけれど、
 フレンチを楽しみながら食べるカップルの方がどれだけエロいか。

 そこでブヒブヒなり過ぎて、
 はい飲みすぎましたーセックスしませんでしたー。
 はい食べ過ぎましたーめちゃ良い友達になっちゃいましたー。
 はいエロくなりすぎちゃってスカート濡らしちゃいましたー。
 まぁ失敗枚挙にいとまがないのではあるが。

 とはいえ、食事は人そのものである。

 思えば、子どもの頃からレストランという場で社会性やマナーを教えてもらい、
 バブル期にはここをジャッジの場にして男とセックスをし、
 それは以降も人を見極める手段として利用してきた。

 いまわたしにはレストランで食事をする男性がいる。食通だ。
 5年にはなるかな。しかし
 その人に妻がいるのか彼女がいるのかわからない。
 セックスもしたことがない。
 ただ、ふたりで年に数回レストランに行く。

 1回の食事がとにかく長い。
 口腔内粘膜や五感すべてで食を楽しみ切る方法を教えてくれた。
 食べることを喜び、語ることを喜び、ワインとのマリアージュに悶絶しながら、
 ふたりで過ごす時間をふたりで徹底的に愉しんでいる。

 恋人でもない。
 セックスすらしていない。
 「プラトニックだから」とお互い言う。
 でも、
 毎回の食事でお互いを徹底的に観察しあっている。
 お互いずっと公共の場で腹の探り合いをしている感じ。
 ずっと寸止めされている飢餓を楽しむ感じ。
 エロい、この上なくエロい関係だと思う。
 年齢重ねてきたゆえの楽しみ方かもしれない。

 さあ美味しいものを食べに行こう。
 レストランに食べに行こう。

 ギャルソンがクロッシュを開けたら、
 素敵な男が、、、

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昌浩子(まさ・ひろこ)

バブルのしっぽの時代に青春を謳歌。パーティコンパニオン/家庭教師/スナックのホステスのアルバイトのおかげで財布の中には常に30万円が入っていた学生時代を経て、テレビディレクターとして仕事に人生を捧げたものの、福島原発の事故により人生観がガラリと変わり、エシカルやオーガニックな世界に身をおくべく日々奔走中。東方神起とシャンパンと飛行機をこよなく愛する札幌在住の三碧木星天秤座。

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