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だいたい酒飲んでいたら飲み過ぎて、
起きたらあれ?ということが多々。

我が家はマンション二階だから、
窓を開けて眠ることは防犯上しない。
だから夏はとても寝苦しい。

寝苦しいから、寝やすいところを探している、しらずしらずに。
シーツの冷たいところ・壁・ベッドの枠など、涼を求めながら眠るのは常で。

ここ近年と来たら、
目覚めたら、冷たい床で寝ているのはマシなくらいで、
バスルームまで移動していたり、
キッチンで冷蔵庫に身体をつけて寝ていたり、
はたまた上半身は室内に、ベランダに下半身を投げ出し熟睡していたこともあった。
しかもその時、下半身スッポンポンときたもんだ。
露出趣味は無かったはずなのに、、、と思いながらも、
防犯のために窓を閉じていたことがそもそも無意味だったという結果。
これは我ながらガッカリのシチュエーション。
仲間うちの酒のつまみに話したとて、
あまりにゴージャスすぎるつまみだったらしく引かれたのなんのって。

しかし目覚めた時、自分がどのようにしてここまで至ったのかを考える時間が面白くて。
自分自身に飽きないよ、全く。

ディスコで踊り、まだまだ踊りたくてクラブに行き、ナンパされた男とシケこんで、などという生活を送っていた時代も、飲み過ぎて目覚めたら知らない男が隣に、という事はチャメシゴト。

目覚めて甘い雰囲気になり再びセックスに、、、って稀。
だいたい二日酔いで気持ち悪いし、魔法が解けた男は薄汚く見えてしまうだけ。
薄明かりの爆音の中わたしを女王のように讃え傅いた男でも、
なんであんなに興醒めしてしまうんだろ(笑)

ガンガン痛む頭を抱えながら、
昨夜脱ぎ捨てた服を着て一歩外に出る。
現在地もよくわからない。
目に刺さる朝日は、まるで親から怒られているかのようで(笑)
なのに繰り返すんだよなー。

でもたまに違う日もあって。
ある朝目覚めた時ちんこが入っていた。
括約筋が自然に動いてしまうようなフィットするちんこだった。
秒速で記憶を辿るとオラオラではない奉仕型セックスだった模様。
途端ちんこと男に嬉しくなり覚醒後もほとんど抜かずにずっとセックスしていた。それこそ太陽が黄色くなるまで。
後日また会いたいなーあわよくば付き合いたいなーなんて思っていたのだが、
その男の噂話を集めてみると、いるわいるわの兄弟だらけ!
どれだけの女とやっていたのよーと叫んでいたら、◯人斬りを豪語する有名なちんこ男だったとのこと。
むむむーなるほどと唸るばかり。

社会人駆け出しの頃、全国出張の機会が多かった。
作物がその土地で違うように、
男もセックスもその土地の違いを知りたくて、出張時には必ず前乗りしていたわたし。
そう、テロワールを楽しむってね(笑)
北海道に住む女としていつも思うのは、
海を越えると、
男尊女卑の男が多いなぁ
女は男の後ろをついてこい的な男が多いなぁ
ということ。
そういう意味で北海道は女の自由度が高い土地で良かったと思う。
まあ昨今は北海道のリベラルも危機に瀕しては来たけれども。

閑話休題、

そんな時九州のバーで知り合った男と意気投合し、そのまま男の家でセックスした。
クリエイター系で(好み)
オシャレ髭で(好み)
イタリアの雰囲気もやや有りで(好み)
脊髄直撃系の声で(好み)
ときたら、シッポ振ってついていくに決まっているじゃーん。

あまり記憶に残らないセックスした後、
酔いも醒め男をじっくり見たら、
髪が、髪がーっ!髪が無いーっ!

ぽやぽや。
のみ。
がんサバイバーだった。

ピロートークが、サバイバル体験記となり。
抗がん剤治療の後、髭が戻るのは早かったものの、髪の毛がほとんど生えず悩んでいたとのこと。
全然ヅラだって気づかなかったわよ。
技術の進歩ってすごいのね。

彼女もいたのだが、
がんになりお互い気まずくなって別れたという。
うつらないと頭でわかっていても、
再発の不安に怯え結婚は考えられない、、、
そんな話されたとぽつりぽつり。

セックスもしたい気持ちはあったけれど、
どこか自信が無くて引っ込み思案になっていたからありがとう、なんて感謝されたらわたしももらい泣き。

つらかったんだね。
話せてよかったね。
セックスちゃんとしたじゃん。
お互い裸のまんま、ゆったり流れる時間を過ごして。

こんな出会いも悪く無い。
以降ラブコール幾度か来たが、会わずじまい。それくらいでいいんだよ、通りすがりの女は。

そうだった、がんサバイバーの男とのセックスは夏だったな、なんて思い出しながら今年の夏、
お年頃のホットフラッシュも相乗効果で、
ますます冷所を探しながら彷徨う夢遊病者のような日々だった。
今日はここ、明日はあそこ、
あたしは彷徨える湖ロプノール湖、か。

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昌浩子

昌浩子(まさ・ひろこ)

バブルのしっぽの時代に青春を謳歌。パーティコンパニオン/家庭教師/スナックのホステスのアルバイトのおかげで財布の中には常に30万円が入っていた学生時代を経て、テレビディレクターとして仕事に人生を捧げたものの、福島原発の事故により人生観がガラリと変わり、エシカルやオーガニックな世界に身をおくべく日々奔走中。東方神起とシャンパンと飛行機をこよなく愛する札幌在住の三碧木星天秤座。

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