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「言いたいこともいえないこんな世の中じゃ~」って、それ最悪じゃん!

2017.03.28

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 最近なにかとニュースで話題になる沖縄ですが、玖保樹がはじめて沖縄を訪ねたのは今から20年ほど前のこと。その時は那覇から糸満市にあるひめゆりの塔と平和祈念資料館を巡り、波照間島にも足を延ばしました。ひめゆりの塔は友人のリクエストで、波照間島は私がどうしても行きたかったから。その理由は私が国境や境界線などの「境マニア」なので、日本の最南端有人島を見てみたいという、非常に単純なものでした。

 人口約500人の離島は満天の星とどこまでも続く碧い海に囲まれ、「星キレイ!」「シュノーケル楽しい!」と、それはそれは良い思い出になりました。

 波照間島のことをもっと知りたい。東京に戻った私がネット検索すると、そこに書かれていたのは「戦争マラリア」でした。戦争マラリアとは第二次世界大戦中、波照間島の住民が西表島に強制疎開させられたことで起きた悲劇を指します。
 1944年、島に教師を名乗る青年がやってきました。彼の正体は陸軍中野学校の卒業生で、島の家畜や食べ物を住民から奪って日本軍に提供するために、当時マラリアが蔓延していた西表島に島民を移させました。抵抗する人には容赦ない暴力を加え、不承不承移住した島民約1600名のうち、500名近い人が亡くなったことがわかっています。波照間島では地上戦がなかったにも関わらず、戦争が原因で島民の3分の1近い人が命を奪われました。私が「キレイ!」「楽しい!」と旅ライフを謳歌した島は、こんな歴史を抱えていたのです。

 その後も記憶の片隅にありつつも、とくに戦争マラリアについて深く考える機会はありませんでした。しかしポレポレ東中野で公開が始まったばかりの映画『標的の島 風かたか』(三上智恵監督)を見て、うわーっと思い出してしまった。

 この映画にはミサイル基地建設と自衛隊配備が進められている、石垣島と宮古島の人たちが登場します。その石垣島でも戦時中、波照間島と同じように「マラリア地獄」があったと、83歳になる潮平正道さんが作中で触れていました。
 潮平さんは自身もマラリア地域に移住させられ、連日のようにおじいさんが死んだ孫を背負って埋葬に向かう姿を目撃していたと語ります。波照間島同様地上戦がなかった石垣島で、空襲で亡くなった人は178人、マラリアで亡くなった人は3,647人。日本軍は特効薬のキニーネを大量に隠し持っていたのに、住民には使わなかったそうです。
 なぜマラリアが蔓延する地域に日本軍は住民を移住させたのか。潮平さんは「軍隊の秘密を守ることが最優先ですよ。国民の命よりも。秘密が漏れちゃいけないから、軍の背後に有病地帯とわかっていながら住民の避難小屋を作ったわけですよ。その証拠に兄の同級生が石垣島での軍隊生活を経験していて、彼にマラリア地域に避難していたと言ったら、「敵が上陸していたらお前僕に殺されていたかもしれないな」と言うんですよ」
とも語っていました。
 このことからわかるように、戦時中に日本軍が大事にしていたのは軍機であって、住民ではありませんでした。だから波照間や石垣ではマラリア地域に住民を押し込めて薬すら与えず、有事の際には殺すつもりだったのです。

 それから70年と少し経ち、確かに世界はずいぶん変わりました。しかし沖縄では女性が暴行され命を奪われる事件が、いまだに起きています。2016年に20歳の女性が被害に遭った事件の犯人は、元海兵隊員のアメリカ人男性でした。戦後、犠牲になったのは彼女だけではありません。1955年にはなんと6歳の子までが米軍男性による性暴力に遭い、殺されています。「いずれもアメリカ人男性が起こしたこと」と思うかもしれません。でもその状況を眺めるだけだった日本政府はじめ、“日本の男性”にはなんの責任もないのでしょうか?

 3月12日、宮古島市議の石嶺香織さんのfacebookが“炎上”しました。石嶺さんが「海兵隊から訓練を受けた陸上自衛隊が宮古島に来たら、米軍が来なくても絶対に婦女暴行事件が起きる。軍隊とはそういうもの」と書いたこと(削除済)を産経新聞などが取り上げ、それを機に「自衛隊差別だ」などの石嶺議員へのバッシングが始まりました。沖縄タイムスによると石嶺さんのもとには「バカ」「キチガイ」などの罵詈雑言が寄せられ、22日には自宅に駐車場にブロックが置かれる嫌がらせも起きているそうです。

 ……ここまでやる? ねえ、ここまでやる必要がどこにあるの?
 なんで自衛隊への恐怖を言葉にしたら、徹底的に貶められなきゃならないの? 俺たちの自衛隊様が婦女暴行事件なんか起こすわけないって?
 でもつらつら書いてきたのを見ればわかると思うけど、戦時中軍隊は住民、守らなかったでしょ? それに沖縄ではないものの、3月7日には陸上自衛隊久留米駐屯地の3曹が飲食店店員女性への性的暴行で逮捕されてるし、2016年6月にも海上自衛隊の3曹が、女子大生を暴行して逮捕されてるんだけど。

 まだ起きてもいないことに対して「絶対」とは言えないのは私も認めます。でもこれらのことを見ていると、不安に思う女性がいるのは理解できるし、「バカ」「キチガイ」などでは決してない。彼女以外名簿に女性の名前がない宮古島市議会は、早々に石嶺議員への辞職勧告を決議したそうですが、その前に彼女が危惧を抱いた背景を話し合う余地はなかったのかと言いたいです。

 自衛隊に異を唱えたら即「バカ」「キチガイ」扱いされる世の中って、兵隊さんを罵ったら非国民認定の治安維持法時代と何が違うのだろう? 「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ~ポイズン~」と反町隆史が歌っていたのは約20年前の1998年ですが、まさかの予言ソングだったのかよと1人ツッコミを入れたくなるほど、唾棄したい気持ちになりながら今回は終わりにしたいと思います。ケッ。

『標的の島 風かたか』


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