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伊藤詩織さん口頭弁論の日に行われた、もう一つの性暴力裁判

2019.07.25

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7月8日、東京地裁では伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之氏から受けた性暴力に対し、1100万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が開かれました。詩織さんに対して原告側、そして被告側の弁護士からどのような質問や訊問があったかは北原さんが詳しく報告しています。個人的には読んでいるだけで吐き気をもよおしてしまう、目を覆いたくなるような内容でした。

実はこの日、ある別の性暴力を扱った裁判がありました。原告は2人の女性で、被告はうち1人のかつての勤め先の代表です。2人をそれぞれAさんとBさん、被告をC氏とします。今回は原告女性2人に起きたことを知ってもらいたいので、事件の経緯を紹介することにします。

Aさんは病気がきっかけで、それまで勤めていた会社を辞めることを余儀なくされました。次の職場を探していたところ、知人から紹介されたC氏の会社の理念に共感し「この人と一緒に仕事ができたら」と、彼の仕事を手伝うことを決めました。無事入社したAさんは当時を、「入社後は毎日が学ぶことばかりで、充実していた」と振り返ります。

ある時、自分がお酒が好きなことをC氏に話すと「じゃあ今度飲みに行こう」と誘われます。この時はそれで終わったそうですが、別の日に「僕が尊敬する人と飲みに行くことになったから一緒に来ない? 誰かかわいい子、もう1人連れてきてよ」と言われたと語りました。

「社内では私が一番年下だったから、そういうふうに言われるのは仕方がないとその時は思っていました。でもそれはセクハラを容認していたということでもあるのですが……」(Aさん)

そこでちょくちょく一緒に飲みに行っていた、友人のBさんに声をかけたところ快諾。ある金曜日の夜に4人で飲みに行くことになったのですが、Aさんは早い段階で「あれ?  何かおかしい」と感じていたそうです。

「妻と子どもがいるということは聞いていましたが、飲み始めて30分ぐらいで『もう離婚寸前だから、待っていれば君は僕の彼女になれるよ』と言われました。それまで一言も、彼女になりたいなんて言っていないのに。『Cさんってモテるでしょうね』という感じのことは確かに言いましたけれど、今まで全然そんな話をしたこともなかったし。いくら飲みの場とはいえ、上司が部下に言う言葉ではないですよね」(Aさん)

1軒目のレストランでは「彼女になれるよ」とは言われたものの、それ以上のことはありませんでした。だから4人は二次会、三次会とはしごし、Aさんがよく行っていたバーの個室で飲むことにしました。その際Aさんの友人女性2人も合流し、6人でシャンパンを飲みつつ他愛のない話をしたそうです。

夜遅くなったので女性2人と“尊敬する人”が帰ったため、3人でさらに飲み直すことに。一度は違う店に行ったけれど、C氏が「前の店がいい」と言ったため引き返し、再び同じ個室で飲み始めたのですが……。

「戻って1杯目を注文したあたりから、記憶がなくなっていて」(Bさん)

「気づいたらCさんが、私のブラジャーに手を入れてたんです。一瞬『え?』っと思ったのですが、そのまま寝てしまいました」(Aさん)

「私の意識が戻った時にAちゃんが寝てたのはわかったんですけど、私のパンツの中にCさんの手が入っていて『これってどういうこと?』って思ったんです。二度目に目が覚めた時も、まだパンツの中にCさんの手が入っていました。そこでまた意識がなくなりました。私が3回目に目が覚めた時はCさんが会計しようと部屋から離れたタイミングだったので、慌ててAちゃんを起こして『セクハラされてるから逃げるよ』って言ったんですけど、その時は私しか被害に遭っていないと思っていました」(Bさん)

被害に遭った後、手を握りながら2人は駅に向かいました。それはずっとC氏が、後ろからついてきたからだとBさんは語りました。

「ついてくるCさんが気持ち悪かったし怒りもあったけれど、それ以上に死にたいと思っていました。でもとにかくAちゃんを家に帰さなきゃとも思ってました。だって彼女は私より年下だから。なんとかC氏を振り払って電車に乗ったらすごく嫌になって、駅から家に帰る間ずっと泣きながら『もう死にたい』と思っていました」(Bさん)

「私は自分だけが被害に遭ったと思っていたので『なんでBちゃんはこんなに怖い顔をしながら私の手を引っ張っていくの?』って思っていて。『とにかく帰らなきゃ』と電車に乗って自宅の最寄り駅からタクシーで帰ったのですが、そこから何を考えていいのかわからなくなって。翌日はずっと茫然としていました」(Aさん)

2人は混乱しながらも、友人とのグループチャットで起きたことを報告しました。すると「あなたたちが受けたのは性犯罪だ」というコメントがいくつもつき、自分たちの身に降りかかったことと、2人とも被害に遭っていたことを知ったそうです。

同時にAさんはC氏の顔を見ることに恐怖を感じるようになり、どうしても会社に行くことができなくなってしまいました。それを知ったC氏はAさんに「やる気がないならもう来なくていい」と、突然戦力外通告をしてきました。

仕事を失ったら生活ができなくなってしまうAさんは勇気を振り絞り、社内の他の役員に起きたことを話すと、突然C氏から「2人で話し合いたい」という電話や「申し訳なく思っている」というメールが来るようになりました。そのあまりの情けなさに触れたことで「これは会社を辞めてちゃんと戦おう」と、訴えることを決意したそうです。

かくして2人はC氏を訴えることにしたものの、さまざまな困難が待ち受けていました。

それについては次回、記事にしたいと思います。

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