ラブピースクラブはフェミニストが運営する日本初のラブグッズストアです。Since 1996

banner-1906dame06

コーヒーを一杯いかが?

中沢あき2016.08.12

Loading...

 イングリッシュティーと言われるだけあって、英国といえば紅茶。お茶の時間にしましょう、という台詞は英国の小説や映画でもよく聞く。じゃあドイツはというと、コーヒーである。日常会話の表現でも、今度一緒にお茶でも、とは言わず、コーヒーを一緒にいかが、となる。ティータイム、に相当する言葉もあるけど、耳にしたことがない。むしろコーヒーブレイク、に相当する、カフェパウゼ、だ。他所の家に招かれたときも、世代を問わずにまず訊かれるのは、コーヒーを一杯いかが?である。その他、お茶も用意できるけど…と、お茶はあくまでオプション扱いだ。
 でも納得できる。ドイツのコーヒーは本当においしい。私自身、ドイツに来るまではお茶党で、自宅で飲むものは紅茶、緑茶、ほうじ茶、たまにインスタントコーヒーを、コーヒーは外で人に会う際に飲むくらいの程度だった。でもドイツに来てからの午後のおやつの時間は必ずコーヒーで、同じく在宅で仕事をする夫とどちらともなく、コーヒーかな?と言い出しては一杯を淹れる。電気式のエスプレッソマシンを持っている友人たちもいるが、我が家はそのときどき、フレンチプレスだったり、ペーパードリップだったり、またはマキネッタでエスプレッソを淹れたりする。  我が家の定番のコーヒー粉は大手のメーカー品だけど、パートナーがこだわって買ったエスプレッソマシーンにお値段も張る地元の有名コーヒー店のコーヒー豆で普段飲んでいる友人が我が家に遊びに来たとき、一口飲んで、これ、美味しい、どこの!?と声を上げていた。豆がフレッシュだったのかな?まあ、結局値段じゃないのよねえ、とパートナーのこだわりに呆れ顔だった彼女と笑ってしまったけど、こだわりたくなる人の気持ちもわかるほど、コーヒーの豆や粉も各種、様々なメーカーのものが、スーパーから専門店まであらゆるところで手に入る。オーガニックのものは勿論、フェアトレードのものもあって、値段もピンキリだ。
 街角のカフェやスタンドで飲むコーヒーも、ときどき、はっとするようなおいしいものがある。高級店というわけでもなく、普通のカフェやケーキ屋さんだったり、駅のキオスクだったりすることもあって、何が違うのかよくわからないが、そこらのカフェのコーヒー1杯が約2〜3ユーロ程。この1杯でも香り高くて美味しい。日本でいうとドトールみたいなコーヒーチェーンは以前はなかったが、街角や駅のキオスクでもコーヒーは買えるし、街のカフェやケーキ屋のコーヒーの値段もどこもこれくらい。というわけで、お馴染みスターバックスが増えてきたのは、やっとこの数年程。最初にドイツに参入したときは、かなり苦戦したそうだ。  今でもスターバックスの顧客は観光客を始めとした外国人が多いんだとか。ドイツ人の生活感覚からすると値段は高いし、日本のような「スタバはお洒落」というイメージもない。むしろ、こだわりの地元のカフェで飲む方がお洒落、という感覚がある。周りのドイツ人にはアンチスタバ派が結構いるのだが、中でも日本に行ったことがある人たちに言わせると、ドトールでいいじゃないか、と。安さでいうならシャノアールがあるだろ、という日本通にはさすがに(コーヒーにこだわるドイツ人なのにそれでいいのか!?)と笑ったが。
 ちなみにドイツでのコーヒーの消費量、2014年のドイツ•コーヒー連盟の調査によると、平均して年間で1人当たり162リットル(2014年)。ちなみにビールは107リットルだそうで、ビールよりも多いとは…。アルコールが入ってないとはいえカフェインが含まれているわけだけど、一般的には朝食にコーヒー、そして昼食後や休憩時にと飲むことを考えると、1日に約3杯を飲む計算は妥当なのかも。
 そんなにコーヒーの消費量が多いのにも関わらず、コーヒーが飲めない、または飲みたくない、という人も結構いる(ということは、1日に3杯以上、ガンガン飲む人もかなりいるってことだ)。飲みたくない、の理由は大方、健康志向の理由だ。カフェインは体に悪い、とかカフェインを午後遅くに摂ると夜眠れなくなる、とか。コーヒーは(というより飲み過ぎは)体に悪い、という説や、ホメオパシー療法ではカフェインの摂取が禁じられているので、自然志向の人にコーヒーを避ける人が多いのだが、そういう人に向けたハーブティーだとか、ノンカフェインコーヒーの種類もかなり多く、麦芽だとかタンポポだとかチコリだとかのコーヒーと、よりどりみどり。大抵のカフェにもノンカフェインコーヒーがちゃんとメニューにある。こういう多様性を受入れる大らかさはドイツらしい。
 さて、夏休みに娘と共に泊まりがけでヨガのワークショップに参加してきた友人のエピソード。ワークショップでは体を浄化する目的の元に、ベジタリアンの食事、コーヒーも禁止、というルールだったらしい。でも数日経つうちにどうしてもコーヒーが飲みたくなった彼女。こっそり抜け出して宿舎の裏手にあるカフェに行ったら、なんと他の参加者たちもそこでコーヒーを飲んでいたのに出くわしたとか。もう、笑っちゃったわ、という彼女の話を聞きながら、やっぱりドイツ人って本当にコーヒー好きなんだなと、確信した次第だ。
 ちなみにドイツのカフェでのお茶の注文はお勧めしない。よく出てくるのは、熱湯が注がれたカップにティーバッグが添えられてくるスタイルで、これだったら自宅でお茶飲むわ、とケチな私は思う。ドイツに来たら、ぜひコーヒーをどうぞ。

 これは、昨年訪れた台湾のギャラリーカフェのオーナーが自ら作ってくれたラテアート。牛乳嫌いの私ですが、カプチーノのミルクの泡はOKです。皆さんはどんなコーヒーがお好みですか? nakazawa20160812-2.jpg
© Aki Nakazawa

Loading...
中沢あき

中沢あき(なかざわ・あき)

映像作家、キュレーターとして様々な映像関連の施設やイベントに携わる。2005年より在独。以降、ドイツ及び欧州の映画祭のアドバイザーやコーディネートなどを担当。また自らの作品制作や展示も行っている。その他、ドイツの日常生活や文化の紹介や執筆、翻訳なども手がけている。 

RANKING人気コラム

  • OLIVE
  • LOVE PIECE CLUB WOMENʼS SEX TOY STORE
  • ばばぼし

Follow me!

  • Twitter
  • Facebook
  • instagram

TOPへ