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ラブ七  妊婦は人間です。妊娠は予想ガイのことが起こります。

早乙女智子2014.11.12

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日本が直面している少子高齢化を解決するためには、どんどん産んでもらわないといけない―50年後も人口一億人を保つためには・・・はい!そう思ったあなた、どんどん産みましょう!今は、借り腹(日本では対応できない)、借り卵(日本では対応できない)、子宮移植(日本ではまだ臨床応用まで行っていない)など、いろいろな方法がありますから、まあ日本ではできないけど、志のある方はどうぞ。

 

先日、ある大企業に務めるキャリア女性に会った。妊婦はやはり企業では使いにくいという。特に育児休業中にまた妊娠して5年も休まれた日には・・・・って、オヤジ発言。育休中に仕込むのもライフプランとしてはありですよ、定年まで働く気なら、と妊婦を唆している身としては聞き捨てならない。権利と節度は両方必要である。他者の不利益を顧みず自分だけ突っ走るのは確かに礼節を欠く。

 

ですから、男社会に完全に適応していたら、産めないです。

 

そもそも妊娠は思い通りにならない。妊娠したくなくても妊娠してしまう、思い当ることがないのに妊娠したと言い張る女性も。いや、一回くらいはあるかなって、一回あれば十分です。一方で、排卵日にはちゃんと狙っているのに、とブーたれる不妊女子。30代の省エネエッチでは赤ちゃんは来ないよ~、省エネ子育てされるから。

 

そこへ持ってきて、どうも妊娠というのは、普段の健康とは異なる評価が下される。からだを鍛えて、節制していても、胎盤の位置や胎児の向きで妊娠経過も分娩方式も思い通りには選べないのが現実だ。つまり、ウソをつくつもりなど毛頭なくても体が言うことを聞かないのが妊娠であり、彼女が誠実でないのではなく、妊娠とはそうしたものなのだ。

 

しかしながら、え?、妊娠したの?仕事どうするの?と言われると、ああ、妊娠した自分が周囲に迷惑をかけている、あ、ごめんなさい、という言葉が口をつく。ごめんなさい、と言ってはいけない、子どものためにご配慮ありがとうございます、なら言っても良い。
産まない人が産んで欲しいと思うなら、さ。

 

というわけで、責任感強かったら産めないです。

 

最近は、できたらできたで妊婦が4人に1人。妊娠したくらいで自分の小さなお財布を手放してはいけません。もちろん大きなお財布も。少なくとも、常勤正社員職に就いているなら、石に齧り付いても産休育休制度を利用すべき。
なのに、うちの会社は土日しか休めないので、健診に来られません、とか、産休・育休がありません・・・などとおかしなことを言う妊婦あり。妊婦健診にかかる休みは取らせなければいけないことになっています。また「母性健康管理指導事項連絡カード」という、つわり、切迫流早産などでの休業や軽減業務、通勤緩和や休憩時間などの措置を申し出ることができる書類も知らない妊婦が多い・・・・つまり、簡単に言えば妊娠したらどうなるか、制度も現実も知らないで妊娠してしまっている、しかも、妊婦は限りなくイジメられている、という現状があります。

 

というわけで、知識なかったら産めないです。

 

準備のない妊婦で困るのは、まず、歯科治療を受けていないこと。妊娠中に歯科治療、抜歯?無麻酔で行く?産んでから治しますって言っても、母乳に薬が出るから一緒。とはいえ、20週から35週までの安定期に治しておかないと。一方、妊婦は見ません、といういさぎよい歯科医も。妊婦も人間だぞお。診療しろお。
それから旅行―マタタビ(マタニティー旅)妊婦。まあ、自分も32週で産休に入ってからタイに家族旅行に行ったのであまり偉そうなことは言えませんが、それこそ究極の自己責任。自分側と相手側の子孫という責任を腹に抱えているという自覚とそれ相応の扱いを受けなければ、やはり危険がいっぱい。挨拶周りに新婚旅行。友人や身内の結婚式も、台無しにしないように控えめにね。でもだからといって保育箱であるまいし、安静、安静って言われても、上の子がいれば先生の知らないところで子供乗せて自転車漕いでます。

 

というわけで、医師の言うとおりにしていたら二人目産めないです。

 

日々、妊婦と接して、産まれる現場にいて、怖いことも多々あります。胎児は低酸素に強いとはいえ、心拍数が下がれば脳性麻痺が心配になり、産後の出血が多ければ母体死亡という言葉が脳裏をよぎる。体力、気力、判断力、そして第六感をフル稼働して仕事しています。日本を守るお仕事です!(と思っています)楽しく産んで欲しいんですよね。
アッ、そのお話はまた次回!

 

子どもを産みたくなる日本になれば、産みたい人がもっと産めるのにな。

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早乙女智子(さおとめ・ともこ)

神奈川県医師会神奈川県立汐見台病院産科副科長 産婦人科専門医 「性と健康を考える女性専門家の会」会長 日本性科学会認定セックスセラピスト 家族計画国際協力財団(ジョイセフ)理事

1986 筑波大学医学専門学群卒
1986-1991 国立国際医療センター産婦人科研修医・レジデント終了臨床薬理学教室在籍
1991-2000 東京都職員共済組合青山病院産婦人科
2000-2003 NTT東日本関東病院産婦人科
2003-2006 ふれあい横浜ホスピタル産婦人科医長
2006- 神奈川県医師会 神奈川県立汐見台病院産科副科長
専門:人口問題、家族計画、セクシュアルヘルス
2009~神奈川県立衛生看護専門学校非常勤講師
2009~明治学院大学非常勤講師 
  2011~家族計画国際協力財団(JOICFP)理事
2012~性と健康を考える女性専門家の会会長
【所属学会】
日本産科婦人科学会(専門医)、日本女医会、日本不妊学会、日本人口学会、日本性感染症学会(専門医・評議員)、日本生命倫理学会(研究開発委員)、日本母性衛生学会、日本性科学会(認定セックスセラピスト)神奈川STD学会幹事
【著書】『避妊』(主婦の友社1999)『13歳からの恋とからだノート』(新講社2005) 『ガールズセックス』(共同通信社2003)他多数 

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