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<緊急寄稿>棚卸日記 Vol.7 「性産業の『当事者』とは誰なのか」

爪半月2022.05.21

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◆性産業の「当事者」とは誰なのか◆

性産業には、買われる当事者(風俗嬢)、買う当事者(買春客)、斡旋して利益を搾取する当事者(スカウト、店舗経営者)がいます。性売買は、性に値段をつける人と、買う金を持ってる人がいない限り成立しないマーケットです。

ところが、この三者を混同して「どっちもどっち」としたり、全てを肯定したり、或いは全てに憎悪を向けるような論調が未だにあるのです。

私は性産業引退後に鬱で寝込んでしまい、大学病院の精神科を訪ねたことがありますが、初診で聞かれるまま経緯を話すと、担当の男性の精神科医は開口一番「君はセックス依存症なの? いや~俺の同僚にもいるんだよね。風俗通うの大好きな奴が」と言われ、あまりにも衝撃で返事ができずに通うのをやめたことがあります。

確かに風俗客に医者は多いです。ですが、「風俗利用客」と「風俗嬢」は同じではありません。まったく違います。誤解してる人があまりにも多いですが完全に別の立場です。

生活の何よりも性欲を優先するタイプの客と、生活があるから休めない風俗嬢が同じなわけがないのです。

そして売る側と買う側は対等ではないです。「どっちもどっち」「どっちも終わってる」本当によく言われますが、明らかに立場が違うから同一視しないでください。

 

◆接客は性行動やセックスではない◆

性風俗店で行われる行為を「性行動」と捉えられるのは消費する側(客)だけに限定されます。風俗嬢側からしたら苦痛と忍耐と作業でしかないのです。

ここを混同するような語りをする研究者などもいますが、そうした論調は客と嬢の区別がつかない人の誤解を助長させるし当事者を傷付けるので絶対にやめてください。

ソープで「セックス」してるのは客だけです。ソープ嬢は慰謝料と口止め料を先に握らされた状態でレイプされてます。

「接待される側」と「接待する側」は、傍から見たら同じように楽しそうに見えるかもしれませんが、支配欲が満たされ気持ちよくなれるのは接待される側だけです。接待する側はひたすら気を遣い神経を摩耗するだけなのです。「楽しんでる人」と、「楽しそうに演じてる人」を同一視しないでください。後者はひたすら精神労働を強いられてる状態なのです。

 

◆「#セックスワーカー差別に抗議します」という欺瞞◆

2020年、コロナ禍で休業を余儀なくされた事業者向けの「持続化給付金」「家賃支援給付金」が支給対象外となったことで、デリヘル経営者が国を提訴した事件が話題になりました。

国が出した「性を売り物とする本質的に不健全な営業」という回答に対し、「#セックスワーカー差別に抗議します」「#セックスワークにも給付金を」といったハッシュタグがTwitter上を賑わいました。

ところがこの訴訟は、「店舗経営者」が起こしたものでした。

現場で働く「デリヘル嬢」には1円も入りません。家賃ももらえません。何の助けにもならないのです。

なのに、「#セックスワーカー差別に抗議します」というハッシュタグが出回り、あたかも「セックスワーカー」を助けるアクションであるかのような印象付けがなされました。状況を理解しないまま、(困窮したセックスワーカーを差別してはいけない…)といった正義感が先行し賛同した人も多くいたのではないでしょうか。

店舗経営者というのは、「風俗嬢を使役する搾取者」です。上前を跳ね、利益を搾取する業者を指します。

店の人間がどうやって飯を食ってるか知ってたら、とても応援する気にはなれません。

現場で怖い思いをし、歯槽膿漏の口でなめまわされ、身体をいじくられ、歯を食いしばりながら蹂躙に耐えることで客が払う料金を回収してくるのは女性たちです。デジタルタトゥーになるリスクを冒しながら写メ日記を書いて集客するのも女性たちです。

店長やボーイはフェラチオしなくても女性たちが回収した料金の中から給料をもらえる立場です。

店の人間というのは、女性たちに身体を売らせた金で生きてる人たちなのです。

中には、「店が潰れればどっちみちデリヘル嬢も困るんだから、搾取者だろうと店に給付金を支給すべきだ」という考えの人もいるかもしれませんが…なぜそこで女性に直接支援が届けられるべきだという発想にならないのでしょうか。

 

◆社会は他の選択肢を増やす努力を怠るな◆

「セックスワーカー差別」に抗議している人たちは、性産業の女性たちが福祉や支援に繋がりにくい構造を解消しようと思わないのでしょうか。「窓口恐怖」(※)を感じてる女性でも安心して利用できるようなプライバシーに配慮した専用の相談窓口を設けるとか、今より1%でもいいから「助けて」が言いやすいように、社会がメッセージを送ることはできなかったのでしょうか。こんな訴訟が進行している間にも途方に暮れて自殺する女性がいることに思いを馳せなかったのでしょうか。

それとも、これから先も性産業の現場に縛られ、他の選択肢を奪われたまま搾取され続けてほしいと願っているのでしょうか。

(「窓口恐怖」自分のまっとうさに自信がなくて本当のことが話せない当事者に対して、高圧的に説教したり、正論を突き付けて生き方を否定したり、頭ごなしに見下すような職員が未だにいます。こうした職員と一度でも接触してしまうと、窓口に向かうこと自体が恐怖体験としてトラウマになってしまう)

 

◆性売買に反対することと、性別賃金格差の解消は両輪で取り組む必要がある◆

ホームレス排除と同じで、貧困の問題を解決するために貧困そのものを叩けば単なるジェントリフィケーションになってしまいます。

いま現場にいる女性に別の生き方を提示できる社会でないといけない。

風俗以外の生き方を想像する機会に恵まれないまま、「どうせ私には風俗しかできない」と諦めて、この世界に過剰適応してしまった女性たちの自尊心を回復させるのは容易ではありません。

生活保護を勧めても検討してもらえないことが多いし、昼の仕事への苦手意識も根強い。

自分の「まっとうさ」に自信がなくて馬鹿にされないか怯えてる人も多い。

せっかく風俗を辞めて昼の仕事に行ったのに、昼職でセクハラやパワハラに遭い風俗に出戻りする女性はとても多くいます。

これは女性蔑視、性別賃金格差、低賃金で派遣労働者を使い捨てにする社会に大いに問題があります。性差別解消を目指す包括的な社会改革と支援が必要な問題なのです。

 

◆人権侵害を告発すると「セックスワーカー差別やめろ」と非難される◆

そして奇妙なことが起きました。

当事者が性産業で感じた苦痛を告発すると「セックスワーカー差別やめてください」と批難され、トーンポリシングされるのです。

「風俗は地獄だった、現場でこんな人権侵害があった」と吐露すると、なぜか「ネガティブなイメージに繋がるからやめてください」と注意されてしまう。風俗嬢は仕事の愚痴を言うことも許されないのでしょうか?

引退して、漸く構造のおかしさや、偏った情報しか与えられない世界で洗脳されて視野狭窄に陥っていた当時の自分を俯瞰できた私が、身バレのリスクを感じながらも重い口を開いたのに、浴びせられる言葉は「セックスワーカー差別やめろ」という非難でした。

私が…私を「差別」?最初は意味がわかりませんでした。

さらに不思議なことに、「セックスワーカー差別やめろ」と怒っている人のほとんどが、どうやら非当事者の男性なのです。

性売買で行われる人権侵害を告発した当事者を「セックスワーカー差別だ」と非難するのは、奴隷解放運動を「奴隷差別だ」と反対するくらいおかしな話です。

搾取構造の解体を目指すことが被搾取者への差別であるはずがないのに。

「セックスワーカーの権利」を全力で守ろうとする人たちは「女性が搾取される権利」をこの先も守り続けたいのでしょうか。差別とは何か、今一度整理する必要があるはずです。

私は、次世代の女性たちに自分と同じように酷い目に遭ってほしいと思いません。

だから私は「あの業界には行くな、危険だ」と言います。

こうして自分の後悔から警鐘を鳴らす行為は「セックスワーカー差別」なのでしょうか?

次回、障害者差別について解説します。

 

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