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私はアンティル vol.34 アンティル男化計画~薬物編パート2~

アンティル2006.01.18

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初めてホルモンを打つ日、私が最も楽しみにしていたのはオナニーだ。
ホルモンを打った日は、これまでになく性欲が強まると証言するFTMは多い。私は、とてつもない性欲の先に、どんなエクスタシーが待っているのか楽しみで、注射を打ったその足でビデオ屋に行って、オナニー用AVを3本借りた。私は、いつ性欲がムラムラと湧き上がるのか、クリトリスの変化に注意深く観察しながらひたすら待った。

「まだかなぁまだかなぁ~」しかしその時はこなかった。
いじらなくても膨張するはずのクリトリスを眺めながら、その夜、私はいつもと何の変わりもないオナニーを楽しんだ。

ホルモン療法によって起こったまず初めの変化は、生理が止まったことだった。
私の場合はホルモンを打ち始めてから1回も生理になっていない。治療から2ヶ月ほど経った頃、顎鬚が生えてきた。私はもともと毛深く、鼻の下に中学生の男子ほどの髭が生えていたので、まずそこから髭が濃くなると読んでいたが、意外にも顎がホルモンに一早く反応した。しかし、この顎鬚。生え方がどうもおかしい。顎の中心には毛が生えず、逆Uの字を描くように、不均等に生えてくる。私がイメージしていたファンッションリーダーたちが生やしているかっこいい髭とは程遠いい代物だった。

3ヶ月を経過する頃になると声が太く低くなり、いつも歌っていた歌がキーが高くて歌えなくなった。声域は極端に狭くなり、高い声を出そうとすると、上から喉に蓋をされたような息苦しさを感じる。そして同時期、クリトリスが大きくなってきた。背中を丸めて、まんこを上に引っ張ると、ちんこのような形をした小指の先ほどのクリトリスが見える。

そのクリトリスは、性的興奮の高まりとともに大きくなり、固くなるのがはっきりわかった。私はそれが面白くて、ますますオナニーをするようになった。そういう意味では、ホルモン療法の影響で性欲が高まったといえるかもしれない。イクとクリトリスがドクンドクンと動く。私は容易に目で見えるようになったクリトリスが面白くて、毎日クリトリスを観察していた。

半年たった頃になると、髭はさらに濃くなり、頬にも髭が生えてくるようになった。

オンナであることを、どんどん想像させにくくする私のカラダ。男化していき、鏡に映る裸の私は、Fカップの胸と髭面の顔を同居させた、奇妙な生き物になっていった。(しりあがり寿作のヒゲのOLをほうふつとさせた。)そして、そんな私の正体を知らない社会は、私を男として受け入れていったのだ。

“社会と同化する”私には馴染みのない体験だった。“私がここにいて当然”“誰もあなたの存在を攻撃しないよ。という空気。“男である”“女である”と名付け、生活する世界には、私の“生”を否定するこを躊躇しない、存在が0以下の世界”の恐怖など、微塵もなかった。常に0を目指してきた、私にとっては、安心して息が出来る、夢のような世界だった。

『なんて楽なんだろう!』
社会と私が同じ絵の中で描かれることの不思議を感じながら、私はその絵を眺める私を意識していた。

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アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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