ラブピースクラブはフェミニズムの視点でセックスグッズを売り始めた日本で最初のトーイショップです。Since 1996

「男なんで…って言えない…」

アンティル2016.05.27

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GWの最終日、「東京レインボープライド」に行った。
代々木公園で行われるLGBTの祭宴に初めて参加したのは確か「東京レズビアン&ゲイパレード」。12年くらい前だったと思う。その頃は出店ブースも少なく、人口の少ない村祭り、でも熱気ムンムンみたいな雰囲気で、どこかまだ牧歌的な空間だった。
それに比べ今回の「東京レズビアン&ゲイパレード」の、なんと人口密度の濃いことか。ブースが所狭しと並び、来場者に溢れた公園内には、LGBT当事者から観光客風の人まで、ギュウギュウに人が押し寄せ、どうにか園内に収まっているという感じだった。
そんな中、私はラブピースクラブのブースの周りで手伝いがてら、ちょこまかと動いていた。しかしそこで事件が勃発した。『フライヤーでもまきに行こうかなぁ〜と』と思って歩いていると、なんと!前方2m先に得意先の担当者を発見!!
とっさに木の陰に隠れた。
『なんでここに?!!!・・・こんなに至近距離ならすでに見られているかもしれない!』
カミングアウトしていない私は、その場でいるはずのない人を発見した驚きで、すっかり頭が白くなった。
人間とは不思議なものだ。こういう時はありえない行動に出てしまうものらしい。気が付いたら私は、その担当者に声をかけていた。担当者は40代前半の男性、妻らしい女性と犬の散歩中のようだ。
 私「○○さん!こんにちは。どうしてここにいるんですか?」
 担「ちょっと近くまで来たから見てみようと思って」
 私「私はちょっと知り合いがブースを出していて」
『この状況、この会話がカミングアウトだろ!まずい!』
そう思った私は必死に言い訳を始めた
私「すごいですよね。こういうイベントあるんですね〜」
あとの祭り。もう取り繕うとしてもそれは無駄な努力だった。
しかし後から考えると不思議なことがある。担当者は私がそこにいることに驚いた様子もなく、私がなぜここにいるか、聞きもしなかった。一切質問なし。街のコンビニに会ったような普段と同じような態度。
『これってまさか・・・・すでに知ってた?!』
カミングアウト していないのに バレていた  字余り
ラブピースクラブのブースの斜め前に、FTMが集まるブースがあった。一息ついて休憩した時に、初めてそれがFTMのブースだと知ったくらい男の子だった。ブースの前に溢れるFTMの人人人。こんなにたくさんのFTMをいっぺんに見るのは初めてだった。
私は目が釘付けになってしまった。『どこから見ても男!』『えっえ!あの人も元女なの?!』『すごい筋肉ね』出てくる感想はTVでマイノリティを観るおばちゃんのよう。私はたまたま横にいて同じくFTMに興味津々の、ラブピースクラブのコラムで御馴染みの高橋フミコさん、ふーさんをけしかけた。
「ふーさんFTMと話してきなよ。こんな機会なかなかないよ!」
3m先でFTMに囲まれているふーさん。何を話しているのか気になった私は、その輪の外で会話を傍聴した。
ふー「胸を取ってどんな感じ?」「手術はどこまでしたの?」・・・・
ふーさんの話に、3人のFTMが真剣に話していた。炎天下の人生苦労話大披露だ。10分経過・・・
ふー「私、今ドキドキしてる。男ではこんな気持ちにならないのに。乙女になった気分」
ふーさんの顔が生き生きと上気し始めた。私が聞いていることも知らずに、その場を離れる気配もない。
しかしホント、みんなかっこいい。ヒゲを生やし、堂々と自分語りをし、仲間を思い合っている。見ているだけでも伝わるFTM同士の友情。熱い。私はたまらず話しかけてしまった。
私「合コンとかするの?」
いきなり背後から声をかけられ、FTMの人達はぎょとしていた。それでも真面目に答えるFTMたち。
F「合コンっていうか、コミュニティにはいろんな人が集まるんで、集まってバーベキューしたり、お花見したりしてます。」
私「本気の合コンは?」
F「えーまー」
私「ふーさん今度やりなよ合コン」
私は混ざりたかった。FTMの合コンに行きたかった。女子との出会いが欲しいわけではない。どちらかというと女子側の席にいて、FTMと話したかった。
私にはFTMの友達がいない。これまで会ったFTMは、男より男らしく、そして男社会を賛美していた。ただでさえ男社会で疲れているのに、プライベートまで男社会を味わいたくないと思う私に、FTMの友達は必要ないと思った。一度呼ばれて参加したFTMの会では、「うーす」「女はやっぱ胸だよな」などと下卑た笑いを浮かべたFTMが、運動会系の部活のような上下関係の頂点に立って場を仕切っていた。それ以来私は、FTMとは分かり合えないと思っていた。雑貨の話しもできなければ、好きなカフェの話しもできない。私が出会ったFTMは、“自分は正真正銘の男で女が好きな女ではない、マイノリティではなく異性愛者だ。だからレズとかゲイはキモい”と平気で言うような人たちだった。
しかしこのFTMたちはどこか違う。「ゲイでもレズビアンでもヘテロでも誰でも参加出来るイベントとかやってます」と爽やかな笑顔で答えている。私もときめいてしまった。もし私にFTMの友達がいたらどうする?何を話す?
『お前〜』『何だよお前〜』とジャレ合う風景が頭をよぎる。男というものを信用できず、深い友達になれない男でもなく、女だという自認の上で女が好きだと語れるレズビアンの女友達、そして学生時代の女友達とも違う、FTMの友達。
どんな会話になるのか、それはどんな関係なのか?考えるとワクワクした。しかしあるFTMの一言で私はその妄想を止めた。
F「俺たち男なんで・・・・」
『俺たち・・・私は?私は“男なんで〜”って言えない・・・・・』
横にいたふーさんは、酔っ払った親父のように顔を赤らめ、すっかりFTMにときめいていた。
今回の「東京レインボープライド」の特設ステージに、FTMのイケメンユニット「SECRET GUYZ」が上がったそうだ。当日、観ることができなかったので、後日公式HPを覗いてみた。
かっこいい・・・エロい・・・・。
80年代のアイドル風な3人の写真に釘付けになった。今度コンサートに行ってみようかしら。
私は何になりたいんだろう。

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アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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