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浜崎あゆみとEXILE。日本の芸能界における「長生き」の秘訣…

高山真2015.05.18

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 あたくしはこの連載で時々、「ショービズ」と「芸能・芸能界」という単語をほとんど考えなしに使っていますが、こういうところで言葉を使う人間としての、自らの甘さを痛感します。ええ、「ショービズ」と「芸能」は歴然と違うものです。

 どんなに「ショービズ風」に作り上げた歌手や俳優、グループであっても、「芸能」からは逃れられない。いや、むしろ「長もちしたいんだったら“芸能”っぽくなくてはいけない」と言うべきなのかもしれません。「芸能」というものに必ずついて回るある種の「ダサさ」や「くさみ」、それらを拒否した人たちのタレント寿命など、せいぜい3年がいいところです。そんなことを痛感したのが、友人に教えてもらったこのニュースです。このニュースの存在を教えてもらったあたくしは、その友人と1時間にもわたって電話をすることになりました。

 EXILEが行う刑務所慰問。なんでしょう、この異様なまでの座りのよさ……。最初に見た瞬間、ATSUSHIじゃなくてラッツ&スター時代の鈴木雅之かと思いました。エポーレットがついたジャケットにきっちり締めたネクタイ、そして白手袋……。フォートップスとかテンプテーションズといった50~60年代の黒人ボーカルグループにインスピレーションをもらったラッツ&スターのありようそのまんま。本当のところ、ATSUSHIが着ているのは刑務所職員の制服なのでしょうが、それがきっちりラッツ&スターに見えるのが「芸能」の底力というものでしょう。

 動画の後半で、この企画の中心人物・杉良太郎と並びで囲み取材を受けるATSUSHIの「なじみ方」にも舌を巻きます。慈善事業(杉良の場合は「チャリティ」ではなく「慈善事業」と言いたい)に投入するお金を稼ぐため、杉良太郎ステージの芝居パートでは、はだけた着流しのすそからチンポロを続けるのがお約束……という噂がまことしやかに語られ続ける杉良。いかがわしいことこのうえありませんが、このいかがわしさ、くさみこそが芸能です。J-POPの中心的存在のように語られるEXILEですが、その延長線上にあるのはグラミー賞とか海外のアーティストとのコラボなどではなく、刑務所慰問。やっぱりこうでなくてはいけません。「芸能」ってのは、西麻布のクラブなどではなく北関東ナンバーのカーステで強大な支持基盤を持ってなきゃいけないんです。

 そうそう、動画ニュースの中盤にちょっとだけ映る、職員姿の浜崎あゆみの、ATSUSHIを軽く凌駕する座りのよさにも瞠目せざるを得ません。髪の色こそタレントのそれですが、体型は職員のほうに寄せていますもの。素晴らしい……。

 確か自分の本にも少し書いていたかと思いますが、あたくしやゲイ友達は、2000年あたりには、浜崎あゆみのことを「3代目」と呼んでおりました。3代目J SOUL BROTHERSならぬ「3代目あゆ」。初代はいしだあゆみ、2代目は中村あゆみなのは言うまでもありませんが、3代目あゆには、同時に「お浜さん」という通り名もありました。このセンスを、当時のノンケたちはなかなかわかってくれなかったのですが、このニュースを見た後ならば! 誰もが浜崎あゆみを「J-POP」などという薄っぺらな枠ではなく「芸能」という枠に入れることに賛成してくれるでしょう。3代目を「お浜さん」と呼ぶことにも、なんのためらいもなくなるはずです。

 刑務所慰問の女王といえば、誰がなんと言おうと亜紀ちゃん(八代亜紀)です。席を回り、そこかしこから伸ばされた手を優しく握り返しながら歌う『舟唄』に、お勤めびとたち(いまは受刑者と言わなくてはいけないのでしょうが)は男も女も肩を震わせ涙するのです。鉄板とも呼びたいその強力すぎる牙城を、お浜は崩せるでしょうか。ええ、あたくしはけっこう期待しているのですが。と言うのもお浜さんは、すでに刑務所向きのキラーチューンをお持ちなのです。それは『SEASONS』。著作権の兼ね合いがありますので歌詞をここで書くのは控えますが、ぜひ検索していただきたい。歌詞をチェックしたあとで想像してください。いかがでしょうか、この歌詞に泣き崩れるお勤めびとたちの姿が目に浮かんできますでしょう……?

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