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民主主義マイブックフェアを続けよう

打越さく良2015.11.18

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ジュンク堂事件
10月、ジュンク堂渋谷非公式(@LibraryUnited)というアカウントは 「レジど真ん前にて『自由と民主主義のための必読書50』を展開しております! 精鋭4名 が選書し、期待の若手デザイナーが看板を作成した自信作です!」とツイートし、続きフェアを応援するユーザーに対し、「年明けからは、選挙キャンペーンをやります!夏の参院選までうちも闘うと決めましたので!」と返答し、さらに賛同が示されると、「うちには闘うメンツが揃っています。書店としてできることをやります!一緒に闘ってください」と呼びかけた。
ところが、その後不買運動の呼びかけや「反日」といった攻撃にさらされ大炎上、上記アカウントは削除された。その後、丸善ジュンク堂書店の公式アカウントは、上記アカウントは従業員による「特定の意見を指示するツイート」で「弊社の公式な意思・見解とは異なる」としただけにとどまらず、ツイート発信に至った経緯を調査した上で従業員を処分する可能性すら言及した。
選書の内容も、「本来のフェアタイトルの趣旨にそぐわない選書内容」とまで言い切った(一連の展開について、以下の記事が参考になる
http://lite-ra.com/2015/10/post-1609_3.html http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/23/democracy-bookfair-eliminated_n_8375490.html )。

自由と民主主義のためのフェアがこのように草の根の攻撃にさらされるや、事なかれ主義の中立病にかかったかのように萎縮してしまう。このジュンク堂事件は、この社会がまさに自由と民主主義が今まさに危機にあることをまざまざと示す。その思いは、再開されたフェアの選書リストを確認して確信に変わる。

憲法の定評のある基本書、デモ、全体主義、政治の右傾化を分析する本、ひとりひとりが動くことで社会を変え得ることを示唆する本etc.…なぜこれらを「本来のフェアタイトルの趣旨にそぐわない選書内容」と判断したのか、丸善ジュンク堂公式アカウントよ、教えてほしい。そして新たに選書リストに盛り込まれた本は、基本書等定評があるとは到底言い難いもの、あるいは「特定の意見を指示する」のがまずいようにおっしゃっていませんでした!?」と呻きたくなるようなもの。

安倍首相を支持する保守系団体日本会議の代表委員にしてNHK経営委員、産経新聞オピニオン「論壇」執筆者etc.である埼玉大学名誉教授長谷川三千子氏の著書ですか…。選択的夫婦別姓反対、男女共同参画社会反対、女性は家で子を産み男性を養うのが合理的と主張したり、野村秋介の朝日新聞東京本社襲撃を称える文章を追悼文集に寄せたりした長谷川氏の著書のほうが「本来のフェアタイトルの趣旨に沿う」という理由がわからない。
憲法を外し、デモ等の現場の視点を除外する。これは、今回のフェアで著書を外された長谷部恭男教授が「「憲法によって政治権力を縛る」という立憲主義を破壊するような人びと」と評したさらに、国会議事堂周辺等各地のデモ等で表明された反対の世論を無視した安保関連法の成立(成立にすら疑義がある)を強行した安倍政権の姿勢とピッタリ重なる。震撼とせざるを得ない。震撼とするっ、という声がSNS上あふれているというのに、各紙でみつけた「識者」のコメントが総じて「のどか」なものであることになお一層恐ろしい。
たとえば、朝日新聞での、國分功一郎先生の「表現の自由に対する圧力で一番怖いのは、政府の検閲よりも、世間の空気に対する自粛や忖度(そんたく)。今の時代、まさに、そうした圧力が強まっている」と分析されたところまでは頷くが、再開について、「このまま中止になるかと思っていたが、よかった」というコメントには驚きを禁じ得なかった。よかった?世間の空気に対する自粛や忖度の効果がありありとしているというのに。

来るべき民主主義
しかし、國分先生の『来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治学の諸問題』(幻冬舎新書)は面白かった。私たちはこの社会を民主主義であると思っているが、実のところ行政に私たちは関与していない。立法権に「たまに部分的に」しか関与することができない。ううう。とそこで脱力することはない。
行政の決定プロセスに、私たちが参加できる制度や仕組み(住民投票、パブリックコメント、審議会、ワークショップetc.)を数多く作れば良いのだ。そうすれば、「たまに部分的」な立法府への関与たる選挙のときだけではなく、さまざまなところで、私たちの意思を反映することができる。完璧な民主主義はなく、いつでも「来るべき」ものなのだ。國分先生の具体的な提案は、私たちを励ましてくれる。
それにしても、ジュンク堂のブックフェア中断と再開後の選書にぐさりとひとことおっしゃってほしかったが…。

民主主義は止まらない
 再開されたジュンク堂フェアから外された『SEALDs 民主主義ってこれだ!』(大月書店)の帯に「民主主義は止まらない。」とあり、励まされる。本著におさめられたSEALDsのメンバーひとりひとりのスピーチには、「自由と権利を守るために、自分の言葉で、自分の意思を示したい、それが「不断の努力」だ」という思いがあふれていて、胸を打つ。

 再開後のブックフェアにも残った高橋源一郎・SEALDs著『民主主義ってなんだ?』河出書房新社も元気になる。民主主義って、「めんどくさい」。その定義だって定かではない。起源のギリシアだって女性を排除するなど問題があった。正しさと民主主義が折り合いがつかない場合だってありそう。劇毒のときだってある。でも、「かなりめんどくさいけど、「民主主義だから仕方ないし、やるか…」的な。」(155頁、奥田くん発言)。「我々は平和を愛し…」と複数語を主語にせず、「俺はムカついてて」と個人個人の日常の言葉で始めたい。
 民主主義が終わった、と呆然としていてはいられない。「民主主義ってなんだ?」「こうじゃないかな」…延々と実践していこう、と読者も元気になってくる。
 もちろん、SEALDsのメンバーのコールやスピーチ、文章には、ツッコミどころを探そうと思えば盛りだくさんだろう。懸命に考えてはいるが、しっかりした方法論と知識の蓄積がある論文でもないのだし、ビシビシその足りないところを討っているより、安保関連法のなど批判すべきことは盛りだくさんだ。もっとも、何も批判はダメ、というのも不健康。SEALDsのメンバーを「正解」を教えてくれる「救世主」や「ヒーロー・ヒロイン」のように崇めるのも違うだろう。若々しさがまぶしく、ついそうしたくもなるが、ぐっとこらえよう(勝手に崇めると、逆に幻滅も激しくなりそう…。不毛だ)。非常に目立っただけに、毀誉褒貶激しいらしい。へんな消耗はしてほしくない。大切なのは、SEALDsをどう評価するかより、民主主義を実践していくことだ。SEALDsが何を言ったかを問題にするより、むしろそれぞれが発言すればいいのだ。「ちょっとちがうんじゃね?」「こう考えたほうが良くね?」(←言い回しはすぐ真似したくなる性分です)と延々と対話をしたい。対話を続けながら、立ち止まらず、できるだけ、自由で、平等な社会にしていきたい。
そうそう、民主主義ってこれだ!

 まだまだブックフェアから外された本の紹介をしていこうと思ったが、限りがないので今回はここまで。ん?そうだ、何もジュンク堂だけがブックフェアをやっているわけではない。ジュンク堂ブックフェアが良書を外したと落胆し続けるなんてもったいない。そうだ、マイブックフェアを続ければいいのだ。マイ民主主義本フェア、マイカウンター本フェア、マイフェミニズム本フェア、マイ脱原発本フェア…。なんだか無性に元気になってきた(^.^)/!!!

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打越さく良(うちこし・さくら)

弁護士・第二東京弁護士会所属・日弁連両性の平等委員会委員日弁連家事法制委員会委

得意分野は離婚、DV、親子など家族の問題、セクシュアルハラスメント、少年事件、子どもの虐待など、女性、子どもの人権にかかわる分野。DV等の被害を受け苦しんできた方たちの痛みに共感しつつ、前向きな一歩を踏み出せるようにお役に立ちたい!と熱い。
趣味は、読書、ヨガ、食べ歩き。嵐では櫻井君担当と言いながら、にのと大野くんもいいと悩み……今はにの担当とカミングアウト(笑)。

著書 「Q&A DV事件の実務 相談から保護命令・離婚事件まで」日本加除出版、「よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて」共著 朝陽会、「今こそ変えよう!家族法~婚外子差別・選択的夫婦別姓を考える」共著 日本加除出版

さかきばら法律事務所 http://sakakibara-law.com/index.html 
GALGender and Law(GAL) http://genderlaw.jp/index.html 
WAN(http://wan.or.jp/)で「離婚ガイド」連載中。

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