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(社)希望のたね基金(キボタネ)企画「韓国の #Me too、With Youに触れる旅」(3月16日〜20日)に参加しました。 この旅の報告を2回で連載します。

キボタネ(希望のたね基金)とは(以下、HPより) キボタネは、日本の若者が「慰安婦」問題について学び、性暴力のない社会づくりに役立てるための基金です。日韓の若者間の意識ギャップを埋めて、「終わらせる」のではなく「記憶・継承」することで、二度と同じような被害を生まないための取り組みを、日韓の若者、ひいてはアジアの被害国、さらに世界の人々とともにおこなえるよう「希望のたね」を撒いていくことをめざします。

https://www.kibotane.org/about-us

そのキボタネ事業の一つにスタディツアーがあります。  ツアーのタイトルを見ただけで、迷わず「行きたい!」と即決でした。 韓国の #Metoo 運動は社会に大きなうねりをもたらしました。その現状を体感すること、慰安婦問題、日韓の歴史と史実に向き合うこと、性暴力・性売買・女性の人権に取り組んでいる韓国から学べること、「十代女性」支援の現状に触れるというプロジェクト。もう、魅力満載です♪

私は以前から韓国のフェミニズム、フェミニストたちに魅了されていて、細々と手探りで動いていたものの、言葉の問題もあって、接点やつながる難しさを感じていました。 ちょうど『私たちにはことばが必要だ〜フェミニストは黙らない』(イ・ミンギョン)を読んだばかりでウズウズしていたところ。 こちらラブピサイトにあがっている「FEMI FEST STATION」(Vol.3)を、皆さんはお聞きになりましたか? 「韓国の女性50%が“私はフェミニスト”と自認しています!」ですよ。 その中枢にいる人たちと直に会えるチャンス。生でその人たちから話が聞けるなんて、文句つけようがありません。

参加したのは全国から18名(うち男性3名)、スタッフ4名、後半にこちらラブピースクラブを創業して活動している代表で作家の北原みのりさんが加わって総勢23名。 ツアーコーディネーターは梁澄子(ヤン・チンジャ)さん。キボタネ代表理事・日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表。(この人にも会いたい♪) 参加者は、長年、人権活動や市民運動をしてきた人、女性相談や支援現場にいる人、大学教員・研究者、ジャーナリスト、元メディア関係、スクールソーシャルワーカー、大学生など多彩です。4泊5日、学びと寝食を共にしました。

ツアー3日前に1人でソウル入りした私は、久しぶりのミュージカルを楽しんで、まずは自分の充電。そのころはまだ冬並みの寒さで、3月のソウルはやはりダウンが必要です。 事前学習もせねば、と「昌徳宮(チャンドックン)」へ。昌徳宮は朝鮮王朝古宮の中で唯一の世界遺産。「景福宮(キョンボックン)」が消失してのちに、約270年間にわたって正宮として王が最も長く住んだ、自然と建築物の融和が美しい宮殿です。 午前と午後「秘苑(ピオン)」に日本語無料ガイドがあって、合わせて2時間半参加しました。このコースはおススメですね。 ガイドさんの話はユーモアもあってわかりやすいのですが、恥ずかしながら歴史や年号ってすぐ忘れちゃう。それでも、朝鮮という国の史実から考えることは多く、日本と無縁ではない歴史、その史実から学ぶって大切だなと改めて実感。日韓の歴史教育の温度差や無知が生み出す偏見や差別のことも考える時間でした。

昌徳宮ではドラマ撮影も多いようで、「チャングムの誓い」「太陽を抱く月」、映画「ラストプリンセス」など、ドラマや俳優のこぼれ話になると、がぜん参加者のうなずき方に力が入って目がキラキラ。「あのシーンはここだったのね♪」と皆さん、やはり韓国ドラマ観てらっしゃる方は多いようでした。

ツアースケジュールは、

・前半 「慰安婦」戦時性暴力と歴史的事実、運動史とその実態、植民地の歴史を学ぶ編

・後半 韓国における性暴力・性売買・十代女性への人権問題への取り組みやワンストップセンターなど具体的支援体制の現場訪問とその実際を学ぶなど、フィールドワークを取り入れての現場を知る編

このプログラムの充実度がおわかりになりますか? スケジュールどおりの行動がとれたのは万全な準備のおかげです。私はスタディツアー初経験なので比較できませんが、企画、運営スタッフの力量はあっぱれ! ヤン・チンジャさん以外は30代です。

今回のコラムは前半編です。ほぼレポートのようになりました。

*  *  *  *  *

 

第1日目。まずは「戦争と女性の人権博物館」を訪問。 2012年に開設された、日本軍「慰安婦」女性たちの歴史を記憶し、教育し、解決するために活動する空間です。現在も続く戦時性暴力問題を解決するために、連帯し、戦争と女性への暴力のない世界をつくるためのアクティブ・ミュージアムとして、世界で今も続く戦時性暴力の実態やベトナム戦争時の韓国軍による性暴力についても展示している施設です。

「なかったことにはしない。黙らない」 

1991年、金学順(キム・ハクスン)さんは長い沈黙を破りました。 戦時性暴力の被害者が、自ら名乗りをあげ、直接出ていったのは世界で初めてでした。 スピーク・アウトは、ここから始まりました。 今や被害を受けたサバイバーは、被害者ではなく「平和の人権活動家」となりました。

私は、慰安婦問題を戦時性暴力問題ととらえていた……誰が解決する問題? と距離を置いてきた。何もせず、傍観者でいたのです。なので、今回は自分に厳しい時間になることを覚悟の参加です。 戦時下に限った個別の問題として矮小化してはいけないこと、女性への暴力を許さない、性暴力への告発だと教えてくれる場で考え直すこと。 この問題は、女性相談の世界・女性問題につながる私自身に向き合う機会になるはず。 彼女たちが歩いてきた苦難の時間を無駄にしない。忘れてはいけない。二度と同じことを繰り返さない、そのための問題解決行動とその「記憶」を「継承」していこうとするキボタネのあり方から学び、自分を問い直す時間です。

館長のキム・ドンヒさんから、「正義記憶連帯」の活動や話を聞きました。 博物館は別名「平和の勉強部屋」とされ、昨年は2万人が訪れています。中高生の女の子たちは、被害者が自分たちと同じ年齢なので感情移入するようです。 男の子たちは数年前から変わってきている。それはベトナムの展示を見て。自分たちが被害者だけでなく加害者でもあると、韓国軍による性暴力加害の歴史があった事実を見て表情が変わるといいます。 (※博物館にはベトナム戦争での韓国軍による性暴力加害事実を展示している) 韓国政府はいまだ公式謝罪もしてないし、教育でも教えていない。平和教育をしてこなかった。でも韓国の若者は、ベトナムのことを知ったらもっと知ろうとする。 若い人たちには、被害者がかわいそうという視点はありません。 「勇気をもって堂々と闘った人として尊敬します。そういう人になります」と言います。

ドンヒさんは「94年、大学2年の時初めて水曜デモに出た。自分は無知で、先輩に誘われて仕方なくついていった程度。ところが全国女子大生の集まりが集会を主催した時、警察 が駅で学生を足止めして動けなくした。そのときハルモ二が“もし自分が死んでも、自分の意志を継いでくれる者たちがいてくれる”。その言葉に頭を打たれた」と。 ドンヒさんの人生を決めたのは、ハルモ二のその一言でした。

「韓国社会は女性が変えていく社会です!」

静かに語るドンヒさん。 まいった! 女性が社会を変えていく、それができると確信してる。 こんなふうに言い切ることができる韓国のフェミニストに、早々に脱帽! 

*  *  *  *  *

2日目は、「植民地歴史博物館」(2018年8月開館)、「植民地歴史コース 孝昌園」フィールドワーク、「白凡金九記念館」観覧 (10時〜15時)

案内人は、「植民地歴史博物館」学芸室の野木香里さん。 「日本の朝鮮侵略、植民地支配とは何か、継続する植民地主義とは何か、どのような未来を切り開いていくか、学び、考え、行動する博物館」(資料参考)です。 歴史上の史実について、日韓の認識と温度差が縮まらない中で、問題を研究し究明することはなかなかに厳しいことです。加害であれ被害であれ、事実から学び、痛みや苦痛も受け止めあわなければお互いに前には進めません。 歴史から目をそらして、事実や真実を否認し続けていたら、いつまでも終わらないのに。 真実を忘れないこと・記憶を継承すること、それは人権教育でもあり、未来を志向するためにも必要な教育で、必然です。一方だけが学び、もう一方は教えない・なかったことにしている現状を、この溝とギャップを、誰が責任とるのでしょう。

この日、ハルモ二たちが暮らすシムト(シェルター)「平和のウリチプ」を、可能であれば訪問する予定でしたが実現しませんでした。 1月28日金福童さんが亡くなった後、入居者は吉元玉さん一人になり心労が重なっていること、また、ちょうどこの日が金福童さんの49日で法要と重なったからです。

*  *  *  *  *

3日目午前

*米軍基地村訴訟に関する講演(講師:中央大学校 イ・ナヨンさん)

「世界」や「現代思想」の寄稿を読んでいて、直に話が聞けると楽しみでした。

「米軍基地村訴訟」問題は、実はほとんど知らなかったこと。 「この問題は、性売買、性暴力、慰安婦問題とつながること。日本には反性売買運動がないが韓国では80年代に始まっていること。性売買は女の問題ではなく男の問題。薬物、レイプ、ポルノともつながっていること。自発とか強制の問題ではなく、(性差別社会)構造の問題だということ」など、論点整理されていてさすがです。 韓国にはすでに「性売買防止法」(2004年施行)があります。性売買を「ジェンダー化された搾取」と規制しています。ただ、現実は限界や批判、ジレンマの難しさを抱えているそうです。

言葉のキレ、鋭さに圧倒された2時間。 質疑応答で「日本の意識は相対的に立ち遅れている。なぜ問題提起できないのか不思議!」と言われ、返す言葉がない面々でした。

イ・ナヨンさんの「世界」(2018年8月号)「韓国“#MeToo革命”〜女性が主導する“第2の民主化運動”」から、一部を抜粋して紹介します。

「韓国の#MeToo運動は女性運動の長い歴史の文脈で見なければならない。慣習と文化という名で正当化されてきた差別構造に、持続的に疑問を投げかけ抵抗し、時代をゆさぶってきた女性たちの運動の中に、位置づけなければならない」

「韓国の #Metoo運動の元祖は、日本軍性奴隷制によって苦痛を受けた金学順さんのカミングアウトだということ」その告発が「全世界の市民を無知という沼から目覚めさせた」

「(これは)#Metoo革命と呼ぶことができる。フェミニストとして覚醒した女性たちが主導するこの運動は(中略)韓国女性解放運動の中でもっとも大きな地殻変動になるでしょう」

韓国の女性運動が「時代をゆさぶってきた」という力強さ、キッパリと確信ある言葉にうなってしまう。 ここから学んで自分の世界でできることをもう一歩考えてみようという気になります。

ここまで、3日目午前までの前半です。

*  *  *  *  *

さて、余談ではなく、ソウルでのもう一つの楽しみはやはり食事!  この食事が大満足だったんですよ。 「おいしく食べてもらいたい」というスタッフの心配りがわかるもの。バランス絶妙、パーフェクト! 連日、食べるのに追われて悲鳴をあげるほどでした。 美味しい&満腹三昧の スタディ&グルメツアー! ですね。

2つ目、特筆すべきはコーディネーター、ヤン・チンジャさんの同時通訳。行く先々で学びを深められたのは、わかりやすく的確な日本語通訳があればこそ、でした。 頭も言葉も、ビックリするほどの回転速度。エネルギー使いまくってるはずなのに、しゃべりも歩きも早いのなんの、元気の源のような人です。

次回のコラムはツアー後半です。

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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