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風立ちぬ、今は秋。
これは、聖子。

ようやく涼しくなってきましたね。いま私が子どもだったら、この先40℃超えの日本にも耐えられる体になっていくのかもしれませんが、昭和生まれに身体の進化を望むには、もう厳しそうです。

このところ、このコラムで上沼恵美子について書いていたら、大阪の冠番組が突然終わってしまいました。週刊誌やネットの情報によると、レギュラー出演していた男性芸人への上沼恵美子のパワハラが原因で、そのことに彼女が納得せず、局側と話し合いが決裂した、ということでした。
それを職場で話題にしたら、「時代やのう~」と女性スタッフはしみじみ、ひと言述べました。

そのあと上沼恵美子がラジオで、番組のスタッフたちを連れて毎回美味しいものを食べさせていたのに、その場では感謝もされていたのに、いま、そのスタッフたちから全然声が挙がってこないということは、やっぱり嫌々参加していたのか、そういうことなんでしょうね、と寂しげに語っていた、というニュースを読んで、さもありなん、と思いました。

本人にしてみたら、可愛がっていた、面倒をみていた、という認識が、パワハラという言葉で否定されてしまって不本意だったことでしょう。

女性のマネージャーに暴力をふるい問題になり、その後「反社会的勢力」とつるんでいたということで芸能界を追放された、島田紳助のことを思い出さずにいられません。

あの時に明らかに時代が変わって、芸人(芸能人)は社会からはみ出した者ではなく、しっかり社会に組み込まれた存在で、しかも模範的な社会人であることが求められるようになっていったのだ、と思われます。

「反社会的勢力」とつるんでいたといえば、最近も何人かの芸人がテレビから姿を消しました。その時、彼らの同期だったという芸人たちが上沼恵美子の別の番組に出演していて、「正直なところどう思いますか」と事の顛末について上沼に聞かれた際、「寂しいですね」とか、「なんとかまた一緒にお笑いをやりたい」と答え、上沼恵美子は、「そんなん、嘘やわ」と一笑に付しました。
「これでライバルが消えた、って喜ぶのが芸人ちゃう?」と続けて怒るように言いました。

これは林真理子が、「近頃の若い作家が、みんな仲良し! とか言っているのが気持ち悪いし信じられない」というようなことを書いていたことと同じでしょう。

ライバルを蹴落とし、腕一本でのし上がってきたんじゃ、という凄みを感じます。

先日はラジオで、終活について語っていて、「それでハワイの別荘も売りました。もうひとつマンションもあったんですけどそれも売りました。国内では白浜の別荘も売りました」と、立て続けに言って、もうひとつ別のところにある別荘は残して、あと都内か府内か(忘れた)のマンションも一つ処分しようと思ってます、と淡々と言っていました。

*youtubeで聞いたのですが、もう一度聞こうと探しましたがみつかりませんでした。うろ覚えです。


甲斐性があるなんてもんじゃない。お決まりの、「家は大阪城です」というネタもそう大げさではなかったんだわ、と感嘆しました。

一方、番組では旦那の話もよくしていたのですが、「主人と食事するとき私はほとんどしゃべりません。主人の話をニコニコ聞いているだけです」と、旦那を立てる古風な妻を演じていることを明かしていました。
ただ、旦那が家事一切をやらない、感謝や労いの言葉もないことを、その倍以上語ってお茶の間の共感を呼んでいたと思われますが、そのことがストレスだったのか、数年前から別居していると、あるとき発表しました。

芸能界で成功を収め、そのへんの男たちより稼いで経済力でも頂点を極め、旦那にストレスを感じつつも離婚はせず、「良き妻良き母」を演じ切る、そのバランスを保つためにどれだけのエネルギーを要するのか、想像を絶します。

比べても詮ないことですが、明石家さんまや島田紳助に、ここまでの迫力と生々しさを感じることはありません。
ついでに比べると、『女帝 小池百合子』にも。彼女は優れたゲームのプレイヤーというイメージしかもてません。

田嶋陽子が、「小池さんは女の皮をかぶっているけれども、中身は男性だと思う」と述べたと、例の本には書いてありましたが、上沼恵美子なら、「男の皮をかぶろうとした時もあったけど、すぐ破れてしもたわ」と笑いそうな気がします。

それほどまでに「女」、この世界で「女」であることの矛盾を一切合切引き受け、言えることは全部しゃべる。そこに強烈に惹かれます。
好きな女性の芸能人はたくさんいますが、彼女ほど、その「女」を売り物にしている人はいないんじゃないかと思うくらい。もちろん、男性への媚としての「女」ではなく、ただの生身の女性という意味で。

痛いねん、しんどいねん、嫌やねん、むかつく、それはようわからへん、そんなんあかんやろ。

そんなことをテレビやラジオでポンポン言ってくれるから、聞いている側は胸がすっとして笑って元気も出る。
そこで、合の手を入れる相手としていつも選んでいるのが、彼女より若い男性の芸人ということで、セクハラ魔界への入り口もふさいでいる。

明らかパワハラの部分はアップデートしてもらって、なんか、今度は歌番組とかしてほしいわ~と思っています。演歌でいいから。

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茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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