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「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」はしているものの……

茶屋ひろし2020.12.02

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「推定4人の読者の皆様、こんにちは」
この入り方も好きでした。謙遜のようでいて、読んでいる人に直接語りかけてくる。

高山真さんの訃報を聞いてしばらくは、彼の繰り出してきたフレーズが頭の中をグルグル回っていました
「ノドに小さな松田聖子が住んでいる」
「職業・美人」
「欲しいものはパリ」
「オカマ界の山田詠美」
「うふふふふ」

お会いしたことは三回くらいしかなく、しかもちゃんとお話しできた記憶もありませんが、文章は数えきれないほど読んできました。ザ・ファンでした。

20年前の京都で、友人に薦められて知ったこのラブピースクラブのサイト。北原みのりさんの本(『はちみつバイブレーション』)はすでに読んでいたと思います。ただ私はパソコンを持っていなかった。歩いて15分ほどだったその友人宅のMacの前に座り、北原さんと高山さんの文章をむさぼるように読ませてもらっていました。お二人の軽快でエネルギッシュな文章に、笑ったりいろんなことに気づかされたりして、元気をもらっていました。

ひさしぶりに本棚から高山真さんのデビュー作『こんなオトコの子の落としかた、アナタ知らなかったでしょ』を取り出したら、高山さんのサインとメッセージカード(LPCにて)付きで、それを誕生日にプレゼントしてくれた友人のメッセージも書き込まれていました。ラブ完璧。

高山さんの、オトコの子ちゃん、オンナの子ちゃん、という言い方が好きで、そのあと働きだしたノンケのバーで、オカマ! と言われるたびに、「ちゃん」付けて! と応用していました。
高山さんの連載で何より驚いたのが、その本のタイトル通り、「見目麗しいノンケのオトコの子ちゃん」を自在に性的に操っている様子でした。はーこれはもう雲の上の存在だね、と当時、まだノンケの男子を好きなだけだった私はため息をついたものです。そのあと二丁目に行って、男の乳首は性感帯、肛門も性器、という世界にたっぷりひたることになるのですが、耳年増として知ったのはそれが最初だったかもしれません。

そのころのバイブルは蔦森樹さんの『男だってきれいになりたい』や『男でもなく女でもなく』という本で、好きなノンケ男子に好かれるには「女」にならなくちゃいけないのかしら、私だって「女」のように男から愛されたい、などと迷走している時期で、そんななか、ド直球の「そんなことしなくてもヤレるわよ」というメッセージのなんと響いたことか。

先日新刊で、デパントというフランスの女性作家の『キングコング・セオリー』という本が店に入ってきたので読んでいたら、「演出されたポルノ女優の性欲は、男の性欲である。男は、本当はすべての男とつながりたい(セックスしたい)のである」(意訳です)という文章にくぎ付けにされました。

だよねー! みたいな納得。
この本がフランスで刊行されたのは2006年、しかも著者が『ベーゼ・モア』という映画の原作者で監督だったことを知り、感慨深くなりました、当時(2000年?)北原さんのコラムで知って見た映画です。
ということは、ゲイ男性の性欲は、この家父長制の社会ではストレート(直接的)なものであるっていうこと? なんかこういうことがわかるとうれしい。でもこれって、男性側にはやっぱりわからなかったことなんだわ、という気もします。

話がずれましたが、初期の高山さんの「恋愛がらみ」のエッセイや、芸能・文化ネタに、どれほど新しいものの見方を植え付けてもらったことか、わからないくらいです。その後だんだんとご自身の人生に向きあう内容が増えてきて、それはそれで膝を正して拝読していました。

今回家で見つけられなかった本が、別の名義で書かれた私小説でした。たぶん引っ越しの時にブックオフに売ってしまった。売ったらアカンやつでした、嗚呼。

近年、高山さんのtwitterアカウントを発見したときはうれしかった。お体のこともあってか、まとまった文章を読む機会が少なくなってきたところに、変わらぬ芸能ネタ。昔の映像を引っ張り出してきてコメントをつけたり、今の芸能人と比べたり、そんな技。ちあきなおみのものまねの元祖はコロッケではなくてピーターだったとか、その証拠映像とともに教えてくれました。

木皿泉の『すいか』というドラマや紅白歌合戦について語った文章やコメントは、実況中継のようで、本編を二度も三度も味わえるおいしさがありました。そのほか、『大奥』(よしながふみ)や、『その女、ジルバ』(有間しのぶ、新刊出たよ!)などの漫画の解説も。願わくは、安野モヨコの『後ハッピーマニア』について書かれた文章が読みたかった。

そして、『ガラスの仮面』の結末を見届けることなく逝ってしまわれた人の一人になりました。でもあれはもうあの世では完成していて、今頃みんなあちらで読んでいるような、そんなレベルの作品かもしれません。

変な追悼文になりましたが、高山真さん、たくさん楽しませてくれてありがとうございました。最も影響を受けた一人として、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

「生きているうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」
森崎東監督作品:1985年公開
旅回りをしているヌード・ダンサー(倍賞美津子)と、原発ジプシー(原田芳雄)が主人公。最高。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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