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おかんとコピ Vol.17 コピの目とコロナとマスク

李信恵2021.03.04

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去年の2月の初めのある日、コピは片方の目が開けにくくなっていた。そして、涙も少し出ている。些細なことかもしれないが、翌朝には朝一番で動物病院へと向かっていたのだった。コピを保護した時、両目がほとんど開いていなかったので、ずっと目薬を差して薬を飲ませて回復したのだが、今ではとてもきれいになっている。ときどき吸い込まれそうになる、黄色い目。だけど、その時のことがあるので、油断してはいけない。

診察室に入ると、点眼薬を指されたコピ。すると、眼球が蛍光色に染まった。びっくり。すると、傷が浮き出て見えるとのこと。眼球にある小さい傷があるけど、涙の原因は小さいときの猫風邪のウイルスの再発かもしれないらしい。とりあえず、点眼しながら様子見と云うことになった。今日は混んでなくて良かった。丁寧に診察&検査して、目薬貰って、お会計がなんと730円だった。経営は大丈夫なのかなと思うけど、それは余計な心配だ。

キャリーバックがすごく狭くなったので、また買わなきゃとも思った。最近、またコピが大きくなっているような気がしていたけど、やはり体重が5.5キロになっていた。まだ10ヶ月なのに、そりゃ重たいわ。でも、まあとりあえずひと安心。ちなみに今日の先生のこれまで診たなかで一番大きかった猫ちゃんは13キロあったそうだ。すごい。それは本当に猫なのだろうか。世界は広いし、猫もいろんな猫がいるんだな。そしてコピは、おめめが落ち着いてから去勢手術をすることになった。

ちょうど同じ時期、コロナがあっという間に広がりを見せて、どんどんいろんな行事が中止や延期になっていった。自宅で過ごすことが多くなり、徐々にストレスもたまっていった。そういう時に、マスクの作り方をネットで知った。私のストレス発散は、手芸と料理でもある。ネットも楽しいんだけれど、ネットにはヘイトスピーチが転がっていて、ときどき辛い。コロナに関連するヘイトも次第に増えてきた。そんなのを見るとさらに辛い。

このマスクでは、感染の完璧な予防にはならないだろうけど、ないよりはましかなと思って作っていた。時間が過ぎていく中で、作ること、プレゼントすること、誰かとつながることで寂しさとか、ヘイトに打ち勝つなにかになったらいいなあとも思った。最初に作ったマスクの布は、猫柄のWガーゼだった。チョゴリ用の布地、端切れもたくさんあったので、それでも作った。そのマスクは、毎月第一水曜日に開催される水曜デモのみんなにもプレゼントした。それからしばらくして、さいたま市の朝鮮幼稚園へマスクが配られないことを知った。なので、そこにも送った。マスクを手に入れにくいお年寄りがたくさんいるだろうと、高齢者の施設などにも。

また、手芸店で猫柄の布を見付けては、マスクを作った。みのりさんと会う機会もあり、その時に「コピ柄も作ったら良いのに!」と云われたので、黒い布で本当に作った。あんまりにも多くのマスクを作るので、マスク屋が出来そうだと笑った。ふざけた柄のマスクも作った。私が在日朝鮮人のせいかもしれないけれど、しんどい時こそ笑う、笑かすというのが身に沁みついている。ときどきすべるけど、気にしたら負けだ。

自宅で過ごす日々がこんなに長くなるとは思わなかったけれど、ずっとコピがそばにいてくれたので良かった。生活ががらりと変わったので、不安もなかったと云えば嘘になるけど、コピがいるのでそんなに寂しくなかった。コピと遊ぶのも私の仕事だ。コピの方は、逆だと思っているかも知れないけれど。コピの目に映る自分が、私を映してくれるコピの目が大好きだ。いつも笑顔が映せますように。

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李信恵

李信恵(り・しね)

1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日2.5世。フリーライター。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
2015年1月、影書房から初の著作「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」発刊。 

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