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<緊急寄稿>棚卸日記 Vol.6 「成人女性に対する暴力だけが暴力だと認識されない国」

爪半月2022.05.21

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◆被差別属性の中にも情け容赦ない細分化された格差がある◆

日本の性産業は女性が供給過剰で、猛烈な買い手市場です。
女性たちは常に査定され振り分けられ、厳然たるヒエラルキーの中で競争を強いられます。
そして性産業は完全出来高制、優勝劣敗の世界です。
待機時間に時給なんて出ません。指名が一本も取れなければひたすら待機して、何時間いても1円も貰えません。
待機時間は無収入に脅えて過ごし、自分の需要のなさ/価値のなさを突きつけられ、激しくメンタルを削がれます。一日中待機すれば出勤に掛かる経費で赤字です。
若さや容姿が武器となり、ダイレクトに査定に影響するような特殊な価値観の中で、他の風俗嬢と勝負できるような武器がないなら、サービスで努力するしかない…

自己犠牲を厭わなければ、自分の人権と稼ぎをトレードオフして際限なく努力できますが、この血も涙もない競争原理の世界に組み込まれた女性たちの「生き残るための営業努力」の数々を、私は「主体性」とは呼びたくありません。

 

◆「稼げてる当事者」と「稼げていない当事者」とでは、見えてる世界がまったく違う◆

AVも同じです。
自分の価値(もっともこれは、AV業界の価値基準に過ぎません)が露骨にギャラに反映します。1本で300万もらえる単体女優がいて、同じ内容の仕事をしても20万しかもらえない企画単体女優がいて、目先の2万円、5万円のために脱ぐ女性も大勢います。

そして、「稼げてる当事者」であっても、新作を出し続けない限り収入は安定しませんし、デビュー作以降は次第に過激な内容を要求されるようになります。あるいは整形してもっと商品価値を高めるように煽られます。直接煽られなくても、そうしたプレッシャーと常に隣り合わせの世界です。このエスカレーターにいつのまにか乗せられてしまうと、自力で降りることはとても難しくなります。乗ってることに気付かないまま乗せられてしまうからです。

先日、ある「稼げてる当事者」が「自分はスタッフにとても大切にされている」という話を披露して、そこには大量の”いいね”がついていました。これは単に売れてる立場だから「大事にされてる」だけなのです。「稼げてる当事者」は「稼げていない当事者」が同じ時間に別の現場でどんな虐待を受けているか知らずに済んでいるのです。何度も何度も浣腸され、排泄シーンを様々なアングルで撮影され、恥辱にまみれた姿態を晒すことでやっと数万円の稼ぎを手にする女性もいるのです。

 

◆被害者がいるのに「中立スタンス」はありえない◆

非当事者の中には、「やりたくてやってる当事者」と「不本意な当事者」を二分して、それぞれの意見を聴いて対等に扱うことが中立だと信じてる人が多くいます。

ですが、旬の女優の話に耳を傾けただけで何かを理解した気にならないでください。

「被害者の話」をしてると、必ずと言っていいほど「無事な人」の話をしてくる人がいますが、そうやってマイクを奪い続けることが二次加害なのだといい加減気付いてほしいです。(もしあなたが何かの被害者で、metooの流れで被害を告発してるときに、突然「私は無事だったけど?」と主張する人が現れて、あなたがやっとのことで絞り上げた声が遮られたらどんな気持ちになるでしょうか)

優位にいる当事者を持ち上げれば持ち上げるほど、虐げられてる劣位にいる当事者は声を上げられなくなります。

「稼げてる当事者」を応援することは「稼げていない当事者」の苦痛を黙殺することと同義なのです。

また、引退者の中にも、「風俗があってよかった」と自分の過去を肯定的に評価する人がいます。そうした感想が出てくること自体を否定する気はありませんが、性産業の世界で加齢する前に自力で脱出して人生を再建できた当事者による生存者バイアスにまみれた言葉に対し、「待ってました!」とばかりに、しきりに「いいね」を送り賞賛する非当事者に言いたいです。

生存者バイアスは、文字通り生存者にしか口にすることができないのです。

どうか、生き残れなかった人に想像力を馳せてください。

◆当事者を「自発的」「非自発的」に二分化する弊害◆

非当事者の中には、「やりたくないのにやらざるを得ない不本意な人」だけを救済すべきだ、「やりたくてやってる人」の働く権利を奪うべきではない、職業選択の自由だ、と主張する人もいます。棚卸日記 vol.4 「やりたくてやってる」ことにされてる性産業 でも書きましたが、「選択」という行為は選択肢を持つ人にしかできません。選択肢を持たずに、あるいは昼の仕事に対する苦手意識から性産業に来た人は、すでに「職業選択の自由」を制限されているのですが…

そして、社会が当事者を「自発的な当事者」と「非自発的な当事者」とに二分して、後者のみを被害者だと認めるような態度を取れば、当事者が自らの被害を訴える際に、「自分が如何に不本意であったか」を証明しなければならなくなります。

中には、最初はポジティブなイメージを抱いて自発的にこの業界に足を踏み入れたものの、業界に入ってから徐々に苦痛が増し、引退した後になってから「自分は不本意だった」と気付く人もいますが、そうした人たちの苦痛はないものにされていいのでしょうか。

 

◆成人女性に対する暴力だけが暴力だと認識されない国◆

5月18日『困難女性支援法』が国会で可決・成立しました。

66年前に成立した売春防止法が刷新される内容だと期待を寄せる声もありましたが、第一章と第二章は存続され、


「この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることに鑑み、売春を助長する行為等を処罰することによつて、売春の防止を図ることを目的とする」


が残ってしまいました。

棚卸日記 vol.3「私に値段を付けないで。」 でも触れましたが、ここで児童ポルノ禁止法の目的を引用します。

「児童に対する性的搾取および性的虐待児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、およびこれらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする

児童ポルノ/児童買春は全て児童に対する性的搾取、性的虐待であり、暴力を助長するものだと認められているため、如何なる状況であれ買春者が処罰されます。

成人女性のポルノ/性売買も自発的/非自発的の別にかかわらず、全て女性に対する暴力だということが社会に認められるように、パラダイムシフトを目指すべきではないでしょうか。

また、児童ポルノ禁止法が「児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み」「児童の権利を擁護することを目的とする」のに対し、困難女性支援法(旧売春防止法)では依然として「社会の善良の風俗をみだすものであることに鑑み」勧誘した女性だけが責任を問われる内容となっています。(棚卸日記 vol.2「女性だけが責められる国」参照)

なぜ女性に対する人権侵害だけがなかったことにされてしまうのでしょうか。困難女性支援法のように、女性を社会的な困難から保護する目的で新設された法案でさえ、性売買は「社会の善良の風俗をみだすもの」として、女性に道徳的な責任を問う内容になってしまっています。

女性の人権を保障することを目的とした法律はいつまで経っても作られないのでしょうか。

 

◆お願い◆

今、「AV新法」がたくさんの問題を残したまま成立しそうな状況です。
最後にもう一度だけ念を押させてください。
被害者がいる事案に関して「中立スタンス」はありえません。
被害者の声はとても小さく、音量を上げることができません。
たまたま無事だった人が大声で話せば、被害の声はかき消されてしまいます。
どうか、被害者の声に耳を傾けてください。

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