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ひとりでカナダ大学生やりなおし~アラフォーの挑戦 Vol.5 海外移住と「モテ」

橘さざんか2023.02.16

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2月1日NHK放送のクローズアップ現代「“安いニッポンから海外出稼ぎへ”~稼げる国を目指す若者たち~」は多くの反響を呼んだようだ(私のTwitter タイムライン調べ)。私も日本のVPNを利用してNHKオンデマンドでこの番組を視聴したが、同時期に連載をしていた朝日新聞デジタルの連載「わたしが日本を出た理由」とも内容がリンクしていたことに驚いた。熱い感情と複雑な思いが頭に浮かんだので今回はこれをもとに話を進めていこうと思う。

「クローズアップ現代」ではオーストラリアやカナダといった外国に出稼ぎに行く若者が増えている理由について「日本での長時間労働とそれに見合わない給与といった労働市場に対する、これは若者たちの静かなストライキだ」と専門家がコメントしていた。番組の取材では、オーストラリアで農場のバイトや介護職に転職した若者が生き生きと顔出しで取材に答え、給与が上がったことを嬉しそうに報告していた。喜ぶのも無理はない。無理やり適応するのではなく場所を変えるという賢い選択だと思うし、その行動力は尊敬に値する。その若さで右にならえではない“what I want“を知っているうえに収入が上がり、英語もできるようになり、もう一度言うが若いのでこれからまだまだ人生がある……、はっきり言って嫉妬した。今まがりなりにも外国生活をエンジョイしている私が嫉妬するくらいなのだから、日本の視聴者の心をかなり動かしたのではないだろうか。
番組の途中でアナウンサーが、「しかし立場の弱さからセクハラやパワハラなどの被害にあうケースも急増しており、外務省に報告が寄せられています」と付け加えていたが、具体的な例には踏み込んでいなかった。それについては後述したい。

対して朝日新聞デジタルの連載では30代~40代の日本でキャリアを積んだ人の、出稼ぎではなく移住もしくは永住のストーリーが、これまた説得力のある形で語られている。あからさまに日本の文句を並べているわけではなく、「私の人生に必要だと思ったものを考えたら海外だった」というような筋書きが多いように思われる。連載の最終回のサブタイトルは「日本は女性が輝けない? 海外永住者、女性が6割超の背景」というもので、学者がジェンダー問題を理由に海外移住する女性について言及していた。それは私もうすうす感じていたことだったし、認めるのに抵抗があるのだが、私の留学希望理由のひとつでもある。
この抵抗はなんなのかと言われると、平たく言えば、「モテないから海外でモテたかったんでしょ?」という野次に対するものである。光浦さんなんかもさんざん言われたのではないかと勝手に想像する。

カナダでも私はとくにモテていない。歩いているだけで「おっ♡」という目で見られたりいきなり告白されたり、それはない。でも、日本でのように客体化され貨幣のように扱われ、性的価値で判断され……というのがなく、人間として存在している感覚がしっかりとあり、私としてはそれで充分大満足!!! これを求めていたの!!! である。

一方、日本という国のイメージには思った以上にブランド価値があるようだということに徐々に気づいてきており、それはいまだに高度経済成長期の日本人の頑張り(もちろんそれ以外の時代の運気もあるが)による評価が衰えていないようなのである。勤勉だ、礼儀正しい、新幹線があっていいななどと言われる。さらにカナダに来るまで気がつかなったが、パスポートが強いというのは特権だ。

また、日本人女性だけが遭遇するセクハラというのもあって「モテ」と表裏一体なのではないかと思う。ここから先はフレッシュな被害報告になり、私自身書くのがしんどく、読むのもしんどいかもしれなく、また読者の過去の記憶を喚起させる可能性もあるのでご注意ください。

カナダにきて1週間くらいのときに、とある中東国出身の大学院生に校内でナンパされ、2カ月ほど同意のもとお付き合いをしたのだが、ひどく女性差別的であった。ピックアップアーティスト(所謂ナンパ師)としての技術が卓越しており、ほんの少しの間(1週間くらい)いい夢も見させてくれたが、彼は女性を求めつつ明らかに同時に女性を憎んでいるようであった。その後知り合った日本人女性の友達も、全く同じ時期にさらにひどいセクハラを彼から受けており(付き合っていないのに連日メールが来る、別の男子学生と話しているところを隠し撮りされ後で怒られる、家に連れ込まれそうになる、アナルを見せろと言われるなど)、さらに私に対しても別れた後、彼から一方的に侮辱的なメールが送られてくるようになった。
彼は、彼自身言っていた通り(「なぜ君を選んだかっていうのは日本人はクレイジーなことをしないからだよ」)、おとなしく見えるアジア人の中でも特に日本人をターゲットで選別していた。その手法は洗練されておりスムーズで、繰り返し行われてきたことが推測される。その間、日本人女性から返り討ちに会うことはなく、なのでさらにエスカレートしていったのであろう。

しかし今回私たち日本人女性は手を取り合い、大学に通報したのである! その後の対応や結末などは、次号でお伝えします。お楽しみに。

写真©Tachibana Sazanka



カジノ:カジノは24時間営業。利用者は高齢者ばかりでした。



雪景色:雪で真っ白のグラウンド。



チャイナ:スーパーにて。チャイニーズニューイヤーのコーナーの存在感が大きかったです。

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