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「安倍晋三記念改憲」にはNOを

打越さく良2017.05.15

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森友問題・疑惑は深まる一方
 先月取り上げた森友問題。記録がないだの私的な行為だのしかし私的行為への同行は公務だの何だの無茶苦茶な答弁が続きながらも、安倍昭恵氏と学校法人森友学園の接点が疑いようもなく明らかになってきている。2月17日衆議院予算員会で、安倍首相は福島伸亨議員の質問に答えて、「私や妻が関係していたということになれば、これはもうまさに総理大臣も国会議員も辞めるということははっきり申し上げておきたい」と明言した。

 籠池泰典前理事長は、学園側が土地取得の当初段階から首相と昭恵氏の名前をあげて財務省側と交渉したことを、明らかにした(「森友問題で新証拠の「音声データ」が!籠池氏と財務省の面談の内容が明らかに!「昭恵夫人のほうからも…」との言葉も」)。2016年3月15日の面談の音声データも明らかにされた。「昭恵夫人のほうからも、たしかここも聞いてもらったこともあると思いますけど」、「今回はやっぱりね、これは、あの方自身が愚弄されると思ったから、僕、来たんです」etc.。籠池前理事長は田村財務省審理室長に迫る。それに対し田村室長は「特例的なものは我々のところにも相談来ますんで、(略)これはちゃんと検討しますんで」と応答した。この面談の9日後に、森友学園は借地でなく購入を申し出、その後大阪航空局がなぜかゴミ撤去費用を算出した経験もないのに、約8億円と算出し(朝日新聞デジタル2017年3月1日「ゴミ撤去費、大阪航空局に算定経験なし」南彰記者)、6月20日には鑑定価格9億5600万円から「撤去費用」が値引きされた1億3400万円での売買契約が締結された。値引きの根拠の地下のゴミの位置など国側は確認しておらず、会計検査院がゴミ撤去費用の見積もりが適正だったか、一連の経緯を調査する意向を示した(「[森友学園]国有地払い下げ、8億円値引きの根拠「確認していない」会計検査院が検査へ」ハフィントンポスト2017年2月24日吉川慧記者)。

 面談の前の2015年11月には、昭恵氏付きの職員から籠池前理事長には「財務省に問い合わせ、回答を得た。現状では希望に沿うことはできないが、引き続き当方としても見守っていきたい。本件は昭恵夫人にも既に報告してある」というファックスが届いていた(2017年3月23日日経新聞)。その前に籠池氏は昭恵氏に直接電話で依頼したり(留守番電話ではあった)、陳情書を送っていたりした。職員からのFAXは陳情書に対応したものであり、籠池氏が受け止めたのと同様、昭恵氏への依頼の回答と受け止めるほかないだろう(「[森友学園]籠池氏が安倍昭恵夫人側から受け取ったFAX全文を公表「財務省に多少の動きを」に自民党議員は「疑念」」ハフィントンポスト2017年3月23日)。このファックスに登場する「国有財産審理室長」が上記3月の面談でも登場する田村室長。ゼロ回答ではなく、昭恵氏側の「引き続き」の見守りが現に効を奏し、「特例」が実現したという流れが見えてくるではないか。籠池前理事長は、14年には、財務省近畿財務局に、籠池氏夫妻と昭恵氏が建設予定地で撮影した写真も示し、支援を受けていると説明したというのだし…(「昭恵氏との写真「14年に近畿財務局に示す」籠池氏」朝日新聞デジタル2017年5月9日南彰記者)。籠池夫妻と連絡を取り合い、昭恵氏付き職員からも報告を受けた昭恵氏がこれでも「関係しなかった」といえるのだろうか。瑞穂の國記念小學院の名誉校長就任を引き受けたという15年9月の講演の際、昭恵氏は「何か私もお役に立てればいいと思っていた」と述べた(「なぜ、安倍昭恵氏は名誉校長を引き受けたのか。首相と森友学園、食い違う言い分」バズフィード2017年2月24日籏智広太記者)。実際にお役に立った、という疑惑は深まっている。Facebookで一方的に投稿するのはなく、実際にどのようにお役に立ったかを公の場で説明してほしい。

 この幼稚園での講演のほか、田植えや稲刈り、国政での選挙応援、ハワイへの私的訪問に、昭恵氏付き職員が同行した実態も判明した。これらについて、政府は、「公務執行補助活動に関する連絡調整を行うため、公務として同行した」と説明した。しかし、朝日新聞が第2次安倍政権以降の昭恵氏付き職員の旅行命令書を開示請求したところ、昭恵氏の私的活動に伴う同行分については、命令書が作成されていないことが判明した。APEC首脳会議など、いずれも「安倍首相に随行」の用務で延べ62回の旅行命令が出ていたが、昭恵氏の上記の私的活動に伴う同行分は含まれていなかった。新藤宗幸千葉大学名誉教授によると「旅行命令書なしに公務員が出張するのは、国家公務員旅費法違反の疑いがある。」とのことである(朝日新聞2017年5月12日「昭恵氏付 出張書類なし」田玉恵美記者、岡戸佑樹記者)。新藤教授が指摘する通り、公務員を「私人」の秘書にすることの無理、さらには昭恵氏を私人と言い張ることの無理が露呈している。

 記録もないと言い張り、やっと開示する記録はほとんど黒塗り(「[森友学園]黒塗りの設立趣意書は「忖度」?財務省は「それは推測」」ハバズフィード2017年5月8日籏智広太記者)。このように人々のチェックを不可能にすることがまかり通って、民主主義といえるのだろうか。

首相発議の記念改憲?
 以上が前置きのはずが長くなってしまった。今月びっくりしたのは、安倍首相が、3日付けの読売新聞インタビュー、日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」などによる3日の改憲を求める集会に寄せたビデオメッセージで、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年に改正された憲法の施行を目指す考えを示し、2012年に既に自民党が公表した改憲草案とも異なる、9条3項追加や教育無償化に言及した(「憲法改正「2020年に施行したい」首相がメッセージ」朝日新聞デジタル2017年5月3日)。5月8日の衆議院予算委員会で、改憲をめぐる見解を問われて「読売新聞を熟読してほしい」と実際上答弁を拒否して場内を騒然とさせ、浜田靖一委員長(自民)に「不適切だ」と注意されることになった(東京新聞2017年5月9日朝刊)。この発言をめぐり「憲政史上最も稚拙で最悪の答弁」、「議会制民主主義を否定する問題発言」等の多数のツイートがなされた。
 9条3項追加について論じるにはあまりに紙数が足りない。教育無償化だけ取り上げよう。教育無償化には改憲は必要ない。だいたい、民主党政権が法律で実施した高校無償化について、自民党は子ども手当などとともに「バラマキ4K政策」として強く反対した。現在でも同党のwebページには、「高校授業料無償化の問題点!」として、「理念なき選挙目当てのバラマキ政策には反対です」とある。

 自民党政権は1979年に批准した国際人権規約で、中等教育と高等教育に対する「無償教育の斬新的な導入」を掲げた部分について長らく「留保」してきた。高校授業料を無償化した民主党政権が2012年に留保を撤回したのだ。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、13年時点で、日本の高等教育機関に対する私費負担の割合はなんと65%と、韓国に次ぐ高さで、OECD平均30%の2倍以上なのだ(教育無償化に改憲必要?」朝日新聞2017年5月12日杉原里美記者)。子どもの成長と発達を支え、格差対策の役割を果たしているといわれる給食だが、実施率に大きな差があるという(「中学校の給食実施率、都市間で大きな差 主張74市区調査」2017年5月6日)。まずは教育のための財源確保をし、自己負担の割合を下げる、給食の完全実施を行うetc.、してほしいことはたくさんある。木村草太教授が指摘するように、改憲の是非を問う国民投票は1回につき850億円もかかるというが(衆院法制局の試算)、それを改憲でなく、無償化の財源に回したらいいのだ。バラマキとの批判との整合性の説明もすべきである(「教育無償化 自民が変節 旧民主党政権時「バラマキ」批判」2017年5月10日毎日新聞福永方人記者)。

 五輪をてこにしたことにも、政治利用してはいけないはずの五輪を政治利用していないかとの疑問が渦巻く(「<首相改憲発言>五輪を利用していませんか?「共謀罪」でも」毎日新聞5月11日佐藤丈一記者、曽根田和久記者)。荻上チキ氏の「セッション22」の5月3日放送分で、木村草太氏は五輪・パラリンピック記念なら記念硬貨ぐらいにしてほしいと述べたという。ははは。ウケた。

 ん?本気かも?昭恵氏が名誉校長予定だった「安倍晋三記念小學院」はぽしゃったが、「安倍晋三記念改憲」は実現しようとでも?
 いやいや民主主義ですから。そのはずですから。そうはさせない。させたくない。

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打越さく良(うちこし・さくら)

弁護士・第二東京弁護士会所属・日弁連両性の平等委員会委員日弁連家事法制委員会委

得意分野は離婚、DV、親子など家族の問題、セクシュアルハラスメント、少年事件、子どもの虐待など、女性、子どもの人権にかかわる分野。DV等の被害を受け苦しんできた方たちの痛みに共感しつつ、前向きな一歩を踏み出せるようにお役に立ちたい!と熱い。
趣味は、読書、ヨガ、食べ歩き。嵐では櫻井君担当と言いながら、にのと大野くんもいいと悩み……今はにの担当とカミングアウト(笑)。

著書 「Q&A DV事件の実務 相談から保護命令・離婚事件まで」日本加除出版、「よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて」共著 朝陽会、「今こそ変えよう!家族法~婚外子差別・選択的夫婦別姓を考える」共著 日本加除出版

さかきばら法律事務所 http://sakakibara-law.com/index.html 
GALGender and Law(GAL) http://genderlaw.jp/index.html 
WAN(http://wan.or.jp/)で「離婚ガイド」連載中。

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